第20話
そのころ、新日本産業機構では重要な会合が持たれていた。
一人は、今日の昼に国家公安委員会に招かれていたファンドのマネージャー、塵一つないスーツで身を包んでいる。もう一人は対照的なよれたスーツを着ていた。
着慣れていないことは一目瞭然であったが、スーツで隠しきれていない鍛えられた体と剣呑な雰囲気がこの人物をファンドマネージャーと同等の地位に見せていた。
「大河内会長、今日は誰を消すんですか?」
剣呑な男が掠れた声で問いかけた。
「まだ分からない、ただ数は多い」
男は自らの主人の歯切れの悪い物言いを不審に感じると同時に「数は多い」という請負に興奮を覚えた。
「それは、いかなる事情で?消せと言われれば理由は問わずに消すのが俺の仕事ですが、ターゲットを探し出すところからやるとなると情報があったほうがご期待に添えると思います」
「それもそうだな。すべてを教えるわけにはいかないが、このマスクをつけた人間を警察より早く消してほしい」
そういいながら大河内は黒マスクの写真を渡した。
写真を受け取った男は顔をしかめた。
「情報はこれだけですか?」
「こちらで手を回して追加の情報があれば教える。こいつらはマスクでコントロールされて犯罪行為を行っていると警察は考えている。もしも社会問題化したら一般民、キャピタル双方から代理人制度の停止の世論が沸き上がるだろう」
「それは、避けねばなりませんね」
「そうだ、このマスクをコントロールしているオーナーを私たちの手で見つけ出すまでの間、この黒いマスクをつけた人間を全て狩り時間稼ぎをしてほしい」
「お任せください。配下の人員をすべて投入いたします」
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