短編:私は炎のシンデレラ
MrR
もうこれただのキ○肉マンじゃねーか・・・・・・
昔話:私は炎のシンデレラ
むかしむかし、あるところにシンデレラと言う少女がおりました。
シンデレラは家庭の事情で継母や義理の姉妹に虐げられ苦しい生活を送っておりました。
ある時、お城で舞踏会が開かれました。
継母や義理の姉妹達は綺麗なおめかしをして、城の舞踏会に出席に、シンデレラに留守を任せました。
「私も舞踏会に行きたいけど――私なんかじゃ舞踏会に出席しても無理ね」
そんなシンデレラの元に何の脈絡もなく魔法使いが現れ、素敵なドレスにガラスの靴、魔法のカバチャの馬車を与えました。
「グッドラック。幸運を祈る」
なんか不吉な言葉を残して魔法使いはシンデレラを見送りました。
そうして辿り着いたお城の舞踏会。
プロレスリングが設置され、女子プロレスラー同士が電流爆破デスマッチを行う舞踏会ならぬ武道会になっておりました。
その戦いに義理の姉妹も出席していたようですが早くも脱落。
リングには覆面したメスゴリラの巨女がおりました。
なんか地下格闘技上とかでいそうです。
シンデレラはどうしようかと思った矢先、再び魔法使いが現れました。
「さあ、シンデレラ。このコスチュームに身に纏って戦うんだ」
「え? 私戦わなきゃいけないの?」
そしてシンデレラは王女を題材にしたレオタードの衣装を身に纏う覆面レスラーとなり、魔法使いに急かされるままリングにあげられました。
「ふん、その綺麗な顔をグシャグシャにしてやるよ」
「そんな事言われても――」
内心綺麗と言われて嬉しくも思いながらもシンデレラは産まれてこの方、戦い方どころかケンカのやり方も知りません。
そんな血の気の多い音ならとっくに継母、義理の姉妹を叩きのめしてます。
相手は身の桁2m以上もある巨女。
此方は平均的な少女の背丈。
40cm近く差もあります。
すっかり戦う前から戦意喪失しているシンデレラ。
そんなシンデレラに王子が駆け寄ります。
覆面レスラーとか筋肉モリモリマッチョマンとかではなく、優しそうで美しい美少年でした。
「頑張って――この国を守れる最後の希望は君しかいないんだ」
と、何か色んな伏線めいた応援をします。
「気に入らないねぇ。私何かメスゴリラとか筋肉女とか色々言われて――」
「え、その――」
「だから綺麗な女を見るとグシャグシャにしたくなるのさ!!」
そしてゴングが鳴り響きました。
シンデレラにラリアットをかまそうとしますが、シンデレラは反射的に丸太の様に太い腕を掴んで腕ひしぎ十字固めを決めます。
「わ、わたしどうして――」
「この流れる水の如きカウンター!! 私の目に狂いはなかった――彼女こそ運命の王女!!」
何やらリング外で魔法使いが熱弁していますが無視します。
相手選手はリングにシンデレラを叩き付けようとしますが、今度はヘッドロックを決めます。
「あ、あんた何者だ? この流れるような動作の、芸術的なレスリングテクニック・・・・・・何処で身に付けた・・・・・・」
「分からない――だけど何故だか知っている――覚えているの――」
相手選手の図太い首を締め上げながらシンデレラは困惑します。
今度はリングに倒れ込もうとしますが相手の頭部を掴んで前転し、リングに着地します。
「何者だあの子は?」
「あの女相手にあそこまで戦うとは只者ではないな――」
灰かぶりと言う名前は何処に行ったのか。
試合のペースは完全にシンデレラのペースです。
相手選手は忌々しげに睨み付けてきました。
「やれる気がする――あの技を――」
そしてシンデレラは攻めに転じます。
「そんな小柄の体で何が出来る!?」
相手選手が言う通り、上手い事カウンターでダメージを奪っていましたが体格差は絶望的です。
パワーもどの程度かは分かりません。
あの小娘は精々100万パワー程度。
自分は1000万パワーを超える超じ――女子レスラー。
その現実は変えようがありません。
下手すればキ○肉マンのティーパッ○マンとヘイ○マン戦みたいになります。
「やあああああああ!!」
シンデレラは超低空タックルをかまし、相手の図太い両足を掴んでジャイアントスイングをかまします。
相手選手も、観客も驚愕に染まりながらも試合の行方を固唾を飲んで見守ります。
ジャイアントスイングのあまりの勢いでリングに竜巻が発生し、周辺の物が、リングを囲っている柵が吹き飛んで行きます。
そのままシンデレラは相手を投げ飛ばし、高い城の天井を突き破り、そして空中に空高く飛び上がって相手の両腕を掴み、右足で相手の首を引っかけ、もう片方の足で左足を引っかけるマッス○スパークと言う超高難易度技を放ちます。
「ガハッ!?」
相手選手は吐血。
そしてそのまま相手に背中合わせになるように、変形ロメロスペシャルのような体勢でリングに落下。
シーンと静まりかえり、レフェリーがカウントを取りますが途中で両腕を頭上で交差させ決着を宣言しました。
会場に沸き上がる大歓声。
シンデレラは王子と魔法使いに迎えられました。
「あなたが僕の運命のプリンセスなのですね――」
「あの突然なにがなんだか――」
困惑しながら王子に出迎えられたシンデレラ。
しかし突如として穴が空いた天井から五つの影が現れました。
五人の覆面女子プロレスラーです。
「あの人達は?」
「とうとうこの日が来てしまったか――」
「はい?」
どうやら魔法使いは知っているようです。
「あいつらは運命の五人のプリンセス――」
「五人のプリンセス?」
「プリンセスマリポーサ―、プリンセスゼブラ、プリンセスソルジャー、プリンセスビッグボディ、プリンセススーパーフェニックス――この五人のプリンセスとシンデレラ、貴方は戦う運命にあるのです」
「ええ!?」
酷い急展開もあったもんです。
てかただのキ○肉マンじゃねーか。
それからあれよあれよと言う間に神々まで現れ、真のプリンセスを決めるためにトーナメント戦が行われる事になりました。
シンデレラは独力で仲間集めをしつつ修行をして自分の出生――自分がこの世に光をもたらす運命のプリンセスであること。
戦いの時に備えて修行していたらしいが記憶喪失になっていたこと。
そして生き別れの姉がいることが魔法使いから告げられました。
それから激戦が続いてマリポーサ―を倒した物の、運命のプリンセスとしての力を封印されたり、生き別れの姉がプリンセスソルジャーと入れ替わってプリンセススーパーフェニックスと戦うも命を落としたり、そしてこの戦いが邪悪な五人の神々と王家を疎ましく思う勢力によって仕組まれた事を知ったり――
最後の死闘で仲間を失い、最終的にシンデレラは自分を殺し掛けたプリンセススーパーフェニックスを許しました。
「ごめんなさいシンデレラ」
「いいのよ――フェニックス。あなたもまたプリンセスに相応しかった――」
「ありがとう――シンデレラ――」
その後、シンデレラとその仲間達、他のプリンセスやそのチームのメンバー達は神々の手で蘇り、シンデレラは王子と結婚して大円団を迎えました。
めでたしめでたし。
短編:私は炎のシンデレラ MrR @mrr
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