第七話 聖剣が欲しい
「なぜ君は、俺がルビアス王子だと?」
「これです。どうぞ」
カトリーヌが男に渡す。
それは王族の
「その紋章はイルニア国の王家のもの。年齢的に噂に聞いた遊び好きで
カアッとルビアス王子の顔は赤くなった。
「なくしたことすら気づかなかった」
「じゃあ、確かに返しましたよ」
カトリーヌは
ルビアス王子としては、カトリーヌはたいへん興味深い相手で後日訪ねるつもりであったので好都合だった。
さっきはびっくりして、それにレディの部屋を覗き見たのがバレてバツが悪い思いだった。
王子なのに無礼なる行いだったなと恥じて、エリザベート達からつい逃げてしまったが――。
初めから自分らしく、堂々と正面からエリザベートに尋ねればよかったのだ。
「待て、待ってくれ! まずは助かった。礼を申し上げる。――で、あのなあ。遊び好きは一番目と二番目の兄なんだ。俺はいたって真面目。……まあ、茶でもどうだ?」
「お茶、ですか?」
カトリーヌは疑いの眼差しだ。
イルニア国の王子たちはイケメンで遊び好きで有名で、大陸中の年頃の女性たちの噂になっていたからだ。
遠く、ランドン公国にまでも。
ルビアス王子に部屋にどうぞと促されたが、カトリーヌは首を横に振る。
「単刀直入、俺は君に率直に言う。俺は貴殿の聖剣が欲しい」
「……はあっ!?」
「俺はそのために、はるばるイルニアからやって来たんだ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。