第八話 聞こえちゃってる者

 ルビアス王子は真剣な眼差しだ。


「聖剣ってなんですか?」 

 カトリーヌはシラをきることにした。

「聖剣エクスカリバーだ。知らないとは言わせない」


『まずいぞ。エリザベート。こいつお前の正体に気づいているんじゃ』

『うーん。大丈夫。誤魔化すわよ。切り抜ける』

 カトリーヌは少しだけ焦った。

 

 よく考えてみたら最近は同い年ぐらいの男の子に剣の訓練以外にこんなに近づかれたことなんてなかったからちょっとドギマギする。


「おいっそこの犬! 俺にはお前の声が聞こえている」


 ビクウッ。

 犬の姿のジスが飛び上がった。


「この島ではカトリーヌと名乗っている、君が漆黒の勇者エリザベートで。

 その犬は漆黒の勇者に仕えし聖獣だな」


(あちゃー。なんでジスの声が聞こえてるのかしら)


「ジス。仕方ないわね。部屋に入るわよ」

「了解カトリーヌ。仕方ねえなあ。」


 カトリーヌと犬のジスはルビアス王子を恨めしげににらみつけながら、王子の部屋に入った。

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