第14話 天空の花畑
太陽の光を反射した、海面の照り返しのお陰で潮風の肌寒さは気にならず心地好い。
ベレー帽を大海に置いたような島の港に到着した、上陸すると、すぐ目の前に建物が建ててあった。
場所がおかしい気がする波が来たら建物ごと、さよならの可能性もある。
「何でこんなとこに建てたんですかねぇ? セーリューさん」
『この先に行けばすぐ解るが、ギルドで登録ついでに聞いた方がいい、なぁ?』
どっちなんだよ?
取り合えず迷宮に入るにはギルドで登録してから行くのが決まりらしい。
建物の中に入ると、ふくよかな女性の職員から椅子に座るよう薦められた。席につくと直ぐに説明会が始まった。
『説明会を始めるわね、私は担当のセツメね、迷宮に入る人達は書類に名前と押印するのね、救援の時や残念ながら死んだ時の身分証明の為ね、迷宮だけど本当の名前は霊宮ラァストゥね、この先の結界は霊宮ラァストゥから張られてるのね、それを越えると中に閉じ込められてる霊達のエリアね、憑依されると自我が保てなくなるから注意ね、塩、御札、御守り、数珠、御経、お祓い、気合いとかで乗りきってね、霊宮は、怪物さんとトラップだらけだから注意ね、72時間経ったら一応救出部隊が編成されるけど深くまで入れないからご理解ね、ギルドからは以上になります。』
・・・酷すぎる頭に何も入って来ない説明下手か? 気合いって何だよ?
他に聞いていた船の乗り合いの奴等も同じように呆れてポカンとしている。
因みに
街でこの島にお化けが出ると聞いていたから、念の為に携帯している。
『だんな~』
「言いたい事は解るよ、ここは堪えて許可書貰って出ようぜ。セーリューさんもいいですか?」
『・・うっ婆さんや・・あぶないあぶない逝くとこじゃった、なぁ?』
この島が爺さんの棺桶になりそうだ、とは思っても言えない。
島のギルドから許可証を貰って外に出る。
「セーリューさんは前も来たこと有るんですよね? お化けとかは大丈夫なんですか?」
『ワシは体に塩もんで布で擦ると温かくなるから平気だ、なぁ』
「……レッドはどうなんだ?」
『御守りがありますよ。死んだ父ちゃんのゴーグルです』
否定しずらい。
「来なきゃ良かったかも・・・」
普通に見ると草原のような芝生が、一面に拡がり一本道が滑らかに霊宮まで続く光景だが、
目の前には海中の魚群位に幽霊が埋め尽くされ彷徨いてる、自我は無く何かを求めところ狭しと蠢いていた。
早くも乗り合いの奴等とレッドに異変が起きる。
『アッ』『うあっ』『うう』『旦…那』
憑依させないように即座に【
実際に撃っているのは普通の【
「キリがない、援護するから霊宮の入り口まで走れ!」
一丸となり走り出す
入り口に辿り着くと少し遅れて、セーリュー爺さんも来た霊達は霊宮の入り口の近くには寄っては来なかった。
どうやって貴族の子供達が入り口にたどり着いたのか気になった、一緒に走ってきた3人のうち背の高い1人が話しかけてきた。
『兄さんは、凶払者とか霊能力者の類いなのか?』
口には出せない、
『……悪かった詮索はしない謝罪する、俺達もギルドから派遣されたんだ、助けて貰ったお返しに協力させてくれ俺の名はリスト』
『よろしくフーンだ』『レイゾよ』
霊宮は直ぐに階段で下に降りていく造りだ、螺旋階段を降りきると、海外旅行で見たことあるような人の口のような入り口があった。
閉められている重厚な扉を少し開けて覗く少し先にまた同じような扉がある中の壁や柱には光る魔石が埋め込んであり明るい。
『知恵の無い魔物は外に出れないようにしてある、なぁ』
扉を少し開け中を覗くと柱だけのピロティが拡がっていた。後ろが、待っているから意を決して扉を開け放った。
中に入ると早速、魔物が寄ってきた50センチくらいの不気味な模様のサソリが数匹と2メートル位の牙付きのトカゲだ、
リスト達は慣れてるのか、片手の長い剣と大ハンマーみたいので難なく倒していく。
俺は【
動きの弱まった、魔トカゲはセーリューさんの槍の一撃で胴を貫かれ簡単に死んだ。
リスト達とレッドが魔物を真っ二つにして、何かを取り出していた、2センチ位の黒く四角い何かが脈動している。
少し気持ち悪いから近寄らずに、傍で眺めてるセーリュー爺さんに聞いてみる。
『なんじゃ【
レッドが、助け舟を出してくれる。
『セー爺、旦那は変な記憶喪失だったんすよ』
『旦那、この黒いプヨプヨには魔力が入ってるんですよ放って置くと迷宮に吸収されるか他の魔物が食べて強くなったり、胴を。後ろが❗時間が経つとアンデッド化したりして、また戦わなきゃいけなくなるんで回収するんですよ』
リストも笑顔で教えてくれた。
『兄さん、それが魔物をやっつけた証拠になるから持っていってギルドで換金してもらうんだよ、ギルドは迷宮の魔物を間引いて欲しいし【
『悪魔が欲しがる【
リスト達が先陣なので俺としては有り難い、セーリュー爺さんはアクビしている、もう飽きたのか?
前方に2つの扉が見えてきた、右側の扉を選び先にリスト達が率先して走って入って行った。
リスト達の目の前に、極楽のように拡がっている天空の庭の壮大な風景が映る。
『おお、壮観だ』
『ねぇリスト楽しくなってきたわね』
『そうだなレイゾ楽しいなフーンもだろ』
『じゃあ踊ろうか』
幻想的な天空の庭の虜になった3人が、楽しげにステップを踏み踊りを始めた。
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