第6話 べリアルサービル
時間は少し
――
『君が来るのは解っていた取り敢えず座りたまえ』
そう言って宮殿の象牙柱の裏から、姿を表すべリアルが新しい露出の高いチア服を見せつけつつ小さい牙を見せる。
「どうせ話は聞いてたんだろ? 山賊をどうするか悩んでる良いアイデアがあったら出せ」
『僕が地上に降りたのは人間に知を与える為だった。僕に聞くのは賢明だ』
ベリアルの喋り方は何故かイライラとしてくる、人間の根元を逆撫でされてるみたいだ、しかし知恵を借りる手前怒れない率直にサッサと聞いて終わらそう先を
『君には既に僕の力を一部を譲渡しているが、少し足そう』
密着してきたのを押し返す。
「もう少し具体的に言え」
『契約によって君の喉には僕の力の象徴が刻印されている、魔力操作を出来ない君でも詠唱に近い効果を得られる』
「勝手な事をすんなよ取れ!」
『君の腰にあるオモチャを僕に手渡すがいい』
ベリアルは
『このオモチャを呪具にした「べリアルサービル」とでも呼ぼうか、君が意識を向けターゲットを決めてコマンドワードを言えば精神魔法が発動する』
「何で精神魔法なんだ? というか解決策と何か関係有るのか?」
俺の顔を見てスカートの裾を少し
自由なベリアルは口を妖艷に開き声を紡ぐ。
『使用出来るコマンドワードは【幻聴】【幻視】【精神守護】【混乱】【精心】【浄心】【呪守護】【睡眠】【友好】【改心】【憎悪】【歓喜】【悲哀】【疲労】【思考停止】【無関心】【無思慮】【快活】【起立】【座】【伏】【転倒】【撹乱】【激昂】【忘却】【沈黙】【舞踊】【退却】【行進】【守護】【開心】【隷属】【従属】【急速】【遅延】【誘惑】【幻惑】
・・・・・・・・・・・・・・』
「チョッとストップ! 覚えられる訳無いだろ! わざとだろ……悪いが今回の件にどれをどう使うかだけ教えてくれ」
べリアルは途中で止められた事にキョトンとしていたが
『君が望む望まないに関わらず指輪の契約は継続するだろう』
「それはいつまでだ?」
『さあ? この世界が終わる迄じゃないなか?』
「適当に言うな」
べリアルが顔を更に近付け真顔になる。
『君が僕を精神で拒絶せず受け入れれば何時でも君と繋がれる、何時でも会話が可能だ、お互いの理解も深まり親密性も上がるだろう』
「それは断る! 作戦アリガトよ、じゃあな」
サッサと入って来たシジルゲートから出て行く、ずっと通話中とかまっぴらゴメンだ。
ただでさえ四六時中監視されてるようなものなのに俺のプライベートは俺のだ!
終わったので確認すると、俺を主人と認めたようなので縄を解き魚のスープを飲ませてやる。そのまま2人を引き連れて納屋の外に出た。
『旦那どうしたんですか? トチ狂った……訳じゃ無さそうですね』
「レッドお前も少し付き合え」
縄を解いた俺に驚いたみたいだが、レッド・ウィンドは何も言わずに飄々と付いて来た。
いつまでも此処に居る訳にはいかない、出て行ったとはいえミホマさんの旦那さんが帰ってくるかもしれない、どんな男だろうとマホとマウのお父さんだ、俺は攻撃したくない。
べリアルの力が有る内に旅立とう、だがミホマさんの旦那が帰って来て暴力や略奪が出来ないように保険はかける。
「レッド、話が有るいいか?」
『いいですよ、何でも聞くっすよ』
「ミホマさん、これでオーケーです。じゃなくて食糧は大丈夫です」
無くなる前に保存食の増量、そして菜園作りや畑作りをグリルとドズルに指示して欲しいとお願いした。
『やはりカンナさんは魔導師様でしたか』
「魔導師では無いんですが似たような術式らしいので 半永久的に此処は安全に近い場所になると思います」
何処かの危ない営業トークのようだ、
ミホマさんだけには後で説明しておこう、ミホマさん達に負担が掛からないようになるたけ死なないようにしないとな。
薄々気づかれてると思うがミホマさんにレッド・ウィンドと話して決めた、クワトロ永久要塞の城下街へ旅立つ事を伝えた。
納屋には同志の馬達が既に入って居る、グリルとドズルも少し改築した納屋の一部に住むように命令してあり寝起きしている。荷運び用に馬を1頭連れていくことにした、野宿用の荷物や食材や道具を積む。
更に念の為ベリアルに宮殿の一角を貸して貰い
水瓶、食材、薬、宝石の一部等をを置いた。当然ミホマさんにも金策用に宝石を何個か渡してある悪魔から奪ったからあまり触らないようにも伝えた。
ーー ーー ーー ーー ーー ーー ーー ーー
レッドと
「何匹居るんだコイツら?」
『だから言ったじゃないですか、さっきの洞穴で朝まで野宿した方がいいって、夜狼はしつこいんですよ』
「あんなムカデやゴキんちょだらけの所は、俺じゃ無くても無理だろ」
『旦那! ビシバシ魔法を使って下さいよ』
『チョッと集中しないと
2人は峠を越える道程の暗闇の中、夜狼の集団からの襲撃に遭遇していた。
黄金の指環は月明かりを受けて煌めき行く末を示すように瞬いていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます