第1193話、わたくし、『プ○マドール』よりも『マルダイの双生児』が好みですの⁉
「──小田山博士、散々探しましたよ。さあ、もう観念して、その二人──いえ、『二体』をお引き渡しください」
軍部の目を逃れて大陸へと渡り、苦難の末にようやく中立国へとたどり着こうとしたところで、いきなり漆黒の軍服をまとった『
私は咄嗟に、幼い二人の『娘』を背中に隠すようにして、屈強なる軍人たちへと食ってかかる。
「……敗色濃い戦況の中で、こんな老いぼれを追い回すとは、『
「何をおっしゃるのです、むしろ敗色濃厚だからこそ、あなたのような皇国の宝である天才科学者を、取り逃がすことができないんじゃないですか?」
男たちの中から、指揮官らしき男が一歩前に出てきて、皮肉っぽくあげつらってきた。
「どうにかして絶望的な戦況を覆そうと、我が国の総力をあげて開発に成功した『秘密兵器』を、たとえ『生みの親』とはいえ密かに盗み出して、第三国に逃亡しようとは。まさしく国家反逆罪の現行犯として、この場で銃殺されてもおかしくは無いのですよ?」
「こ、この子たちは、兵器なんかじゃ無い! 私の娘だ!」
「……ったく、科学者のくせに、変なところでロマンティストですなあ? いいですか、わざわざ絶大な破壊力を有する兵器を、幼い女の子の姿にしたのは、敵国の首都や軍事基地等の要衝に潜入しても、極力警戒されないためなのであって、『人形』はあくまでも『人形』なのであり、情を移すなぞ軍属失格ですぞ?」
「……つまりどうしても君たちは、私から彼女たち──ピンクの髪と瞳の色をした『
「な、
そのように指揮官殿が勝ち誇ったように言い放つや、後ろに控えていた隊員たちが、各々拳銃を手にこちらへと迫ってくる。
もはやこれまでと諦めた私は、桜花と橘花のほうへと振り返った。
「──愛するおまえたちを、戦争の道具なんかにさせるものか!………仕方ない、二人共今すぐ、『自爆シークエンス』を開始しろ!」
「「──はい、お父様!」」
「「「へ?………………………いやいやいや、ちょっと待って⁉」」」
私の文字通りの『最終手段』の発動に、なぜか慌てふためき出す、
「な、何だ、自爆シークエンスって⁉」
「もちろん、彼女たちが内蔵している、超強力爆弾を炸裂させるわけだが?」
「──あんたさっき、こいつらのことを、兵器として使いたく無いとか言っていたじゃん⁉」
「いや、あくまでも人殺しの道具として、『戦争に使いたくない』と言っただけで、むしろそのためにこそ、軍部の君たちの手に落ちるくらいなら、自ら死を選ぼうとしているんだけど?」
「自爆は、自爆だろうが⁉」
「戦争などと言う、狂気の沙汰に手を貸すよりも、遙かにマシだ」
「戦争かどうかとかに関係無く、爆弾としての破壊力は一緒でしょ⁉ こんな中立地帯で最終兵器が自爆したりしたら、非交戦国の一般市民の皆様に、どれ程の被害が出るものか!」
「……くっ、やむを得ぬ犠牲とはいえ、本当に申し訳ないことだ」
「何を自分勝手なことを言いながら、『悲劇の主人公』みたいな苦痛な表情をしているの、このマッドサイエンティスト⁉ すまないと思うのなら、自爆するのをやめさせろよ!」
「──駄目だ! 今自爆をやめたら、結局貴様ら軍部は、娘たちを戦争に利用するつもりだろうが⁉ 本来彼女たちは、固体燃料ロケットエンジンとジェットエンジンで駆動する、どこかの『ウィ○チーズ』も真っ青の『自律型人間飛行兵器』として、航空戦の様相を一変させるはずだったのに、能無し軍部の失態を押しつけられて、『特攻兵器』として使用されることになったという体たらく。そんな歴史的汚点そのものの存在になるくらいなら、ここで盛大に自爆して、我々馬鹿な人間共々、歴史の闇に葬り去ったほうがいいのだ!」
「い、いや、こんなところで盛大に爆発させたりしたら、歴史の闇に葬ったりできなくなるのでは⁉」
「「──カウントダウン終了、お父様、自爆シークエンスが最終フェーズに移行しました‼」」
「よし、起爆しろ!」
「──はい、桜花、橘花共に、自爆します!」」
「「「──やめろおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」
☀ ◑ ☀ ◑ ☀ ◑
メリーさん太「……何だこれ?」
ちょい悪令嬢「ああ、率直に申しますと、今期の夏アニメにおいて本作の作者が最も注目しております、『プ○マドール』の最新第9話を見て思いついた、【実験的掌編】ですよ」
メリーさん太「そういや、物語の鍵を握ると思われる、原初のオートマタの『桜○』に、双子の姉妹的な『橘○』と言うのもいるのが、判明したんだっけ?」
ちょい悪令嬢「──それによって
メリーさん太「プ○マドールの、真実、だと?」
ちょい悪令嬢「正確には、『プ○マ』の本当の意味ですけどね」
メリーさん太「プ○マって、あれだろ? バレリーナとかの舞台の女性演者の中心人物のことで、あの歌と踊り中心のアニメだったら、おそらくはオペラの主役となる女性歌手を意味する、『プ○マドンナ』から来ているんじゃないのか?」
ちょい悪令嬢「私もそう思っていたんですが、実は違ったのですよ!」
メリーさん太「へ? 『プ○マ』にオペラやバレエ以外の意味なんて有ったっけ?」
ちょい悪令嬢「先ほど名前を挙げた、いわくつきのオートマタの『桜○』ちゃんと『橘○』ちゃんて、どういった関係にありましたっけ?」
メリーさん太「いわゆる『姉妹機』ってやつだろ? しかもほぼ同時に造られて、ほとんど同じ外見をしているから、『双子』みたいなものか?」
ちょい悪令嬢「『双子』って、別の呼び方では何と言いますでしょうか?」
メリーさん太「ええと、双生児…………………………って、おいっ、まさか⁉」
ちょい悪令嬢「そうです、『ハム』とか『ウインナー』の仲間の、『ソーセージ』であり、作品タイトルの『プ○マ』とは、オペラとかバレエとかでは無く、某『食品会社』の登録商標だったのです!」
メリーさん太「──
ちょい悪令嬢「むっ、馬鹿なこととか電波とか、酷い言われようですこと。これにはちゃんとした『根拠』が有ると言うのに」
メリーさん太「……何だよ、『根拠』って?」
ちょい悪令嬢「そもそもこの双子の
メリーさん太「それって、ほんのちょっとでも『ミリオタ』知識が有ればバレバレじゃん。『桜○』と『橘○』と言えば、旧日本軍の最終決戦兵器で、それぞれ固体燃料ロケットとジェットエンジンとを主動力とする、当時では超ハイテクの特攻兵機だろうが?」
ちょい悪令嬢「おっしゃる通りです。──それでは、悪名高き『人間飛行爆弾』の代表格である『桜○』の、開発計画コードネームは、何と言うんでしたっけ?」
メリーさん太「……ええと確か、『マルダイ』とか何とか……………ああっ⁉」
ちょい悪令嬢「そうです、『桜○』と『橘○』とはまさしく、『マルダイの
メリーさん太「──また、本作の作者お得意の、『トンデモ理論』が出たああああああ!!!」
ちょい悪令嬢「実はこの作品の本来のタイトルは、『マルダイドール』だったのですが、それでは『登録商標』的に完全にアウトだったので、同じソーセージ会社繋がりと言うことで、『プ○マドール』に落ち着いたわけなのです」
メリーさん太「もう馬鹿でもわかるデタラメ話を、さももっともらしく言うのはやめろよ⁉」
ちょい悪令嬢「でも、『桜○』──『マルダイ(計画)』──『プ○マ』──『
メリーさん太「思えるよ! そんなもの偶然どころか、うちのアホ作者のこじつけに過ぎないだろうが⁉ そんな馬鹿げた妄想だけで、冒頭のような【新規短編】を作成するなんて、どこまで暇人なんだ、あいつって⁉」
ちょい悪令嬢「まあ、ここ最近何かと『濃い内容』のエピソードが続きましたので、この辺でお気軽なネタでお茶を濁しておこうと思いまして☆」
メリーさん太「──こ、こいつ、最後の最後でぶっちゃけやがった⁉」
【※後日談】
ちょい悪令嬢「………」
メリーさん太「………」
ちょい悪令嬢「………」
メリーさん太「………」
ちょい悪令嬢「………」
メリーさん太「………」
ちょい悪令嬢「………」
メリーさん太「………おい」
ちょい悪令嬢「………はい」
メリーさん太「………今、今回取り上げた『プ○マドール』の次の回に当たる、最新第10話を見たところなんだけど」
ちょい悪令嬢「………はい」
メリーさん太「さっき紹介したばかりの、
ちょい悪令嬢「………はい」
メリーさん太「『きっか』は『きっか』でも、『橘の花』では無く『菊の花』と書くんじゃねえか⁉」
ちょい悪令嬢「す、すみません! 一部の『ミリオタ』の間では、(ロケット特攻機の)『桜花』の仲間の(ジェット特攻機の)『きっか』と言えば、『橘花』と書くのが決まりで、下手に『菊花』と誤記してしまうと、袋だたきの憂き目に遭うくらいでして、本作においても細心の注意を払ったところ、むしろそれが裏目に出てしまったわけで……」
メリーさん太「だからてめえら『ミリオタ』の常識は、一般には通用しないんだよ! これに懲りたら、以後気をつけるんだな⁉」
ちょい悪令嬢「……くっ、反論したいところだけど、今回はこちらに全面的に非が有るから、何も言い返せねえ」
メリーさん太「──とか何とか言いながら、実はただ単に公式様のほうが、『誤記』をしていたりしてねw」
ちょい悪令嬢「そうで無くても、うちの作者のような重度の『ミリオタ』からクレームが殺到して、無理やり『橘花』に修正させられたりしてねw」
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