第1076話、【沖縄復帰50年】わたくし、『艦こ○』新アニメのお手本を示しますの⁉

『──緊急ニュースです! 現在沖縄復帰50周年記念式典が国内二カ所で開催中ですが、東京会場においては大規模テロが発生し、沖縄会場においては本島以外も含めて全土的に、「東アジア人民解放軍」を名乗る国籍不明の重武装集団による多発テロが発生いたしました! 自衛隊基地及び米軍基地を優先的に攻撃し機能不全に陥れるとともに、瞬く間に那覇市を始めとする主要都市と、アジア大陸部に臨む港湾部を占領しつつ、自分たちに協力を表明した「自称市民団体」以外は大規模虐殺を敢行中! 更には今回の事態に呼応するかのようにして、大陸人民解放軍がタイヴァーン島へと侵攻を開始したとのことです!』




 皇紀2682年5月15日、シン・ニッポン新生海軍首脳会議場にて響き渡る、テレビの女性アナウンサーの金切り声。




 しかし、そこにお集まりのお歴々の表情には、動揺の色なぞ微塵も無かった。




「……始まったようだな」


「すべては、予測通りだ」


「問題は無い」


「まさか、沖縄と同時に、タイヴァーン侵攻までも強行するとはな」


「それだけ『先方さん』も、焦っているわけだ」


「何せ自分たちの主要都市に引き続いて、子分のキタゴミュニズム人民共和国にまで、自分たちが開発した『バイオ兵器』が蔓延し始めたのだからな」


「馬鹿めが、ご自慢の核ミサイルなんていう80年前の骨董品よりも、最新の生物化学兵器のほうがよほど効果が有ることを、自ら証明してしまったのだ、もはやこのままでは人民解放軍なぞどこからも恐れてもらえず、『アヘン戦争』時代に逆戻りして、周辺列強諸国による分割統治待った無しだなw」


「それで切羽詰まって、沖縄とタイヴァーン同時侵攻か?」


「『窮鼠猫を噛む』とも言うが、鼠だってもっと『戦略』というものを考えるだろうよ」


「……まあ、いい。むしろこちらとしては、願ったり叶ったりの状況だ」


「何せ『実戦試験』の、またとない好機だからな」


「──『シン・テイトク』樋口大佐、『実験体』の配備のほうは、完了済みなのか?」


「は! あらかじめ東京会場や沖縄全土はもちろん、タイヴァーンどころか、敵本国首都『北の京』及び旧首都『南の京』並びに『上の海』や『香りの港』等々、政治的かつ経済的に重要なる拠点に、満遍なく潜入させております!」


「よし、すぐさま作戦行動を開始させろ!」


「我が『シン・レンゴウカンタイ』の未来は、この一戦にあり!」


「総員死力を尽くして、作戦を成功させようぞ!」




「「「──異議無し! シン・ニッポン海軍、バンザーイ!!!」」」




   ☀     ◑     ☀     ◑     ☀     ◑




「──どう言うことなんだ、一体! どうしていつまで経っても、『援軍』が来ないんだ⁉」




 もはや瓦礫の山と化している【沖縄本土復帰50周年記念那覇会場】にて響き渡る、すでに『プロ市民』としての化けの皮を剥がした、某国工作員の武装テロリストによる、焦燥に満ちた叫び声。




 それも、そのはずであった。




 いくら携帯ロケット砲や重機関砲等の銃火器で武装しているからと言って、限られた人数で可能なのは、不意討ちによる一時的な混乱のみであって、多大なる被害を帯びた在日米軍基地や自衛隊基地はもちろん、県内各市街地においても、長時間支配下に置くことなぞ到底不可能であり、『本国』からの正規軍による本格的侵攻が可及的速やかに行われなければ、県外の米軍や自衛隊による反攻によって叩き潰されるのは、自分たちのほうなのだ。




「──本国の『沖縄侵攻最前進基地』との連絡、いまだとれません!」


「それなら緊急手段として、北の京の中央軍司令部に、直接回線を繋げ!」


「駄目です! 応答まったくありません!」


「な、何だと⁉」


「それどころか、沖縄各港湾部の橋頭堡からの通信も、一切途絶えたままです!」


「それじゃ増援どころか、弾薬物資の補給もままならないではないか⁉」


「今沖縄を支配しているのは、我々人民解放軍では無かったのか⁉」


「それって単なる、通信妨害レベルの話なのか⁉」


「この沖縄で──否、今回我々が作戦を展開した、東アジア全域において、一体何が起こっていると言うんだ⁉」




「……何って、ただ単に、『ゴミ掃除』をしているだけですけど?」




「「「は?」」」




 その時突然聞こえてきた、あまりにもこの場に似つかわしくない、幼い少女の声音。




 ──次の瞬間、世界のすべては、まばゆい閃光と耳をつんざく轟音とに、埋め尽くされたのであった。




 そして、わずかに生き残った兵士が我を取り戻した時には、周囲一帯はすべて、地獄の劫火と仲間たちの無惨な死体にあふれ返っていたのだ。


「……こ、これは、一体」




「おや、中つ国のゴミ工作員どもは、『撃っていいのは撃たれる覚悟があるやつだけだ』と言う、我が国では高名なる偉人の言葉をご存じないわけで?」




「……何だと、おまえは、一体?」


 その指揮官の男は、我が目を疑わざるを得なかった。


 自分の目の前に忽然と現れたのは、何と、


 水兵服をその小柄で華奢な肢体にまとった、いまだ年端もいかない少女であるばかりか、




 その周囲の空間に、大口径の大砲を始めとした、軍艦の兵装を展開していたのだから。




「──シン・ニッポン海軍シン・レンゴウカンタイ試製、軍艦擬人化少女『大和』、沖縄への侵略者の殲滅のために参上! 東京並びにタイヴァーンへの侵攻軍は言うに及ばず、すでに仲間たちが潜入済みの北の京や上の海を含む、貴様らの本国主要都市を含めて、薄汚いコミーどもが一匹でも生き残れるなどと、ゆめゆめ思うまいぞ!」
















   ☀     ◑     ☀     ◑     ☀     ◑




メリーさん太「……またやけにヤバい、【突発短編】をつくったものだな」


ちょい悪令嬢「え? 今年が丁度【沖縄本土復帰50周年】であったので、それを記念して作成しただけですけど?」




メリーさん太「──それにしたって、あの内容は無いだろ⁉ めでたい祝典が台無しだろうが⁉」




ちょい悪令嬢「いやでも、これって二つほど、『重要な意義』が込められているのですよ?」


メリーさん太「……あんなふざけた内容に、重要な意義が有るだと? それも二つも?」


ちょい悪令嬢「まずは某国における突然の、『コロナウイルスの蔓延』についてであります」


メリーさん太「──結局、政治絡みじゃんかよ⁉」


ちょい悪令嬢「とはいえこれについては、本作の作者が以前から主張し続けていたことが、証明されたようなものなのですよ?」


メリーさん太「はあ?」




ちょい悪令嬢「どっかの肥満児王子様国家がイキりまくって、日本の方向に向けてミサイルを連発して、核開発も再開するとか得意がっていましたけど、すでにミサイルも核兵器も、およそ80年前の第二次世界大戦中から存在していた、時代錯誤の遺物に過ぎず、もはやまったく『恐れるに足らず』であると申しておりましたが、今回当の『キタゴミュニズム人民共和国』そのものが、一説によれば最新のバイオ兵器とも言われている『新型コロナウイルス』によって、あっけなく機能不全となってしまったじゃないですか?」




メリーさん太「──‼」




ちょい悪令嬢「もちろん『ウイルス兵器』に限らず、これまで本作でもご紹介してきた、日本の最新技術が投入された『ジェノサイト人工衛星』でも何でも構わないんですけどね」


メリーさん太「──それにしたって、『軍艦擬人化少女』は無いだろ⁉」


ちょい悪令嬢「わかりませんよお? 日本だったらそのうち、得意の『オタクパワー』で実用化したりしてw」


メリーさん太「もはや『褒め殺し』レベルだな、あんたの日本ageは⁉」


ちょい悪令嬢「実は軍艦擬人化少女を登場させたのは、先日ご紹介いたしました、『艦隊こ○くしょんー艦こ○ー』の劇場版初回限定BDを視聴しての影響だったりするのです」


メリーさん太「お、ようやく見たのか⁉ でもあの映画を見て、どうしてこんな内容になるんだ?」




ちょい悪令嬢「ハッキリ申しまして、期待が大きかった分、劇場版についてはほとんど満足できず、やはり本作における『擬人化路線』が正しかったことを、再認識した次第であります!」




メリーさん太「──突然ディスり始めたぞ⁉ てめえ、本当は『アンチ』だったのかよ!」




ちょい悪令嬢「いえいえ、大の『艦○れファン』ですよ? ──むしろファンであるからこそ、てんで評価できなかったのです」


メリーさん太「何でだよ、ある意味『艦む○と深海○艦との秘められた真実』も明かされたことだし、いかにもうちの作者の好きそうな内容だったじゃないか?」


ちょい悪令嬢「それは確かにそうですが、もしかしたら『尺』が足りなかったせいなのか、あまりにもあっさりとし過ぎだったんですよ。あれって『ま○か☆マギカ』で言えば、『魔法少女と魔女との関係』そのものなんだから、もっと絶望してしかるべきなのでは?」


メリーさん太「で、でも、それについては、『艦む○にただの一人も犠牲を出さずに戦いに勝てばいい』と言う打開策が判明したんだから、むしろ希望的展開とも言えるのでは?」


ちょい悪令嬢「どこがですか⁉ そんなこと絶対にできっこないでしょうが!」


メリーさん太「何で? 一応劇場版では成し遂げていたじゃんか?」




ちょい悪令嬢「違いますよ! 唯一の解決策は、『艦む○側に犠牲者を出さずに、深海○艦を全員倒す』なのです! 何せ深海○艦化した艦む○を元に戻すには、一度当人を死なせなければなりませんからね! ──つまり艦む○たちは、深海○艦をすべて倒すまで戦い続けなければならないわけで、その間艦む○の犠牲を一切出してはいけないなんて、三歳児が考えても絶対に無理だとわかるでしょうが⁉」




メリーさん太「──言われてみれば、まったくその通りじゃんか⁉」




ちょい悪令嬢「それなのに、最後には吹○ちゃんも如○ちゃんも、当たり前のように『生還』したりして。TV版の第3話では『ま○マギ』そのままにいきなり殺しておいて、まるで『マギア○コード』最終編の劣化版のような終わり方をしやがって!」


メリーさん太「ああ、そういえばあの終わり方って、『マギ○コ』ではあえて避けた、『御都合主義エンド』そのままとも言えるよな⁉」




ちょい悪令嬢「それに何と言っても、またとないスペシャルな劇場版だというのに、相も変わらずの『海上スキー』シーンの連続。……おいおい、せっかく人間の姿になったんだから、馬鹿の一つ覚えみたいに海戦ばっかりやらすなよ? その下半身に付いている二つの脚はお飾りかよ? どうせなら『軍艦に陸戦をやらせてみる』というアイディアくらい浮かばないわけ? ──特に『都市部における潜入テロ』なんかをやらせたら、威力抜群じゃん?」




メリーさん太「それってまさに、本作におけるお家芸では⁉」




ちょい悪令嬢「今回の【突発短編】で描いたように、ほとんど危険視マークされることの無い幼い少女たちを、あらかじめ国内の紛争地帯はもちろん、仮想敵国の軍事的要衝や中核都市に多数潜入させておいて、命令一下同時に軍艦の強大なる兵器によって全面攻撃をさせれば、軍事基地どころか首都そのものを一挙に瓦礫の山にすることも、けして不可能ではないでしょう!」




メリーさん太「──すげえ『敵地攻撃能力』も有ったものだな⁉ 確かに臨機応変な対応ができる『自律行動が可能な生きた軍艦』なんて、破壊力もさることながら、使い勝手の良さも核兵器なんか目じゃないぜ⁉」




ちょい悪令嬢「事実、大和の46サンチ砲を内陸部の市街地で連発させれば、核兵器レベルの被害を与えることも十分可能でしょうね」




メリーさん太「……つまり、本作の作者は、沖縄の防衛を含む日本における最も有効な軍事的手段は、『潜入工作員による自爆テロ』だと?」




ちょい悪令嬢「まさか、そんなことが本当にできて、更には十分に効果を及ぼすことが可能なのは、それこそ軍艦擬人化少女くらいなもので、現実的には、最新鋭の衛星技術を軍事用に転用したり、レールガンやビーム兵器等新兵器の実用化によって、本土の守りはもちろん、いったん事あれば敵国の軍事基地や首都等の重要拠点を攻撃可能な手段を、一日も早く実現することが望ましいでしょう♡」

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