第1024話、わたくし、異世界裁判長ですの⁉【ジェンダー全否定編・後編】
「……いや、あんたの個人的な『フェミニズム観』については、完全に納得はできないものの一応理解をしないでも無いが、それと俺がたった今『有罪判決』を受けたことと、何の関係が有るって言うんだ?」
ホワンロン王国王都中央大法廷内にて、今更ながらに疑問の声を上げる、被告人席で手枷で拘束されて直立している、近衛師団長嫡男イアン=グールドマン先輩。
それに対して当法廷の裁判長を務めている、同じ学園の高等部に飛び級で在籍している、超天才幼女の
「だから先ほど申したでしょう、あなたの罪科が他ならぬ、『LGBT集合準備罪』だからですわ」
「──やっぱ君の中では、『LGBT』は、凶器や武器同様の『危険物』であるわけなの⁉」
「それを言うのなら、凶器『準備集合』罪でしょう?
「どう違うんだよ⁉」
「つまり、自ら『LGBT』を騙るあなたのような『偽物』どもが、集合して『悪事』を準備すること自体が、罪だと申しているのですよ!」
「──ツッコミどころが多過ぎて、対処できねえよ⁉ とにかく君、『LGBT』関係者すべてに対して喧嘩を売ってしまったよね⁉ それに俺は確かに『両刀遣い』──『LBGT』で言うところの『
「ああ、『LGBT』のうち特に『B』は──すなわち、先輩のような『両刀遣い』は、存在自体が
「──だから、『ジェンダー』の全方面に向かって、喧嘩を売っていくスタイルは、よせと言っているだろうが⁉」
「まあこれについては、後ほど詳しく述べるとして、先輩には『具体的犯行』が確認されているのですが?」
「……いや、具体的だろうが抽象的だろうが、そんな覚えはこれっぽちも無いんだけど」
「しらばっくれると、罪が重くなりますよ?」
「何だと?」
「あなた、
「あ、あれ、バレてたの? 悪い悪い、公爵家のメイドさんて、美人ばかりなもので、つい……………………いや待て、何ソノ『武装何とか』って⁉ 俺もしかして、何かヤバいものに手を出しちゃったわけ?」
「認めましたね」
「……へ?」
「これで『LGBT集合準備罪』が、成立しました。──それでは、この場で刑罰を実行します! 王都中央保健所の『野良犬&野良猫繁殖防止施術』担当医官、処置をお願いいたします」
「──待て待て待て、貴様俺に何をしようとしているんだ⁉ ひょっとして『ドクトル・メン○レ』の生まれ変わりかよ⁉ て言うか、どうしてちょっとばかりメイドさんに粉かけただけで、『LGBT集合準備罪』とやらが成立するわけ⁉」
「実はうちのメイドたちは全員、いわゆる『百合属性』なのですよ。………これって、本作を最初から読んでいると、自明なことなのですがねえ?」
「千話以上も続いている作品の、最初の頃の設定なんて、読者の皆様はおろか作者自身だって、たぶん覚えていないよ⁉」
「おい、これ以上罪を重ねるつもりか? 『事実陳列罪』…………じゃ無かった、『作者侮辱罪』で死刑にするぞ?」
「今、作者も忘れていたことを、暗に認めただろう⁉」
「だまらっしゃい! とにかく『B』であるあなたが、『L』であるうちのメイドに接触した時点で、『LGBT集合準備罪』が成立したのですよ!」
「いやそもそも、『LGBT』に該当する人たちが集合するだけで罪になるなんて、その法律こそおかしいんじゃ無いのか⁉ それじゃみんな揃っての『デモ』等ができなくなるし、まさしく『結社の自由』や『表現の自由』を損なってしまうだろうが⁉」
「そもそも、『LGBT』の各該当者が集まって徒党を組むこと自体が、あり得ないのですよ」
「──なっ⁉」
「例えば、先ほどうちのメイドたちが全員『L』に該当すると申しましたが、どうしてそのような『女性でありながら女性
「『特殊な性癖』って…………まあそりゃあ、『生まれつき』のものじゃ無かったとしたら、女性のほうが綺麗で可愛くて、男性なんかと比べて清潔だったり、女性に対して威張ったり強引に迫ってきたりしないからとか?」
「おお、大体いい線行っているじゃないですか? 特に最後のほうなんて、ほとんど『B』としての『自白』そのものじゃん?」
「……何だと?」
「あなたが今おっしゃったように、女性に比べて不潔と見なされがちな男性の方々は、『L』の皆様からしたら、どのように思われているんでしょうかねえ?」
「そりゃあ、『不潔』なんだから、嫌悪感とか苦手意識とを持たれて………ッ! そうか、そう言うことか⁉」
「そうです、全部がそうとは申しませんが、『L』の方が『女性のみを愛するようになる理由』としては、男性嫌いだったり苦手だったり恐怖心を抱いているからと言うのが、大きな割合を占めているのですよ」
「──‼」
「なのに、異世界の『ゲンダイニッポン』のニュース映像を見ていたら、『L』の女性の皆様が、『B』や『G』の男性陣と一緒に仲睦まじげにシュピレヒコールを上げておられているのを、よく見かけるのですが、これっておかしいですよねえ?………………やっぱり本作の作者が言うように、やる必要も無いカミングアウトを行って『LGBT運動』なんかをやっているやつらって、全員『偽物』なんじゃ無いですかあwww」
「いやいや、そんなこと決めつけられないだろう⁉ 中には男性が平気な『L』の人もいるだろうし!」
「男性嫌いが大半を占めているはずなのに、『LGBT活動』に関してだけ、男性が平気なメンバーで占められているなんて、そんな御都合主義的なことが有り得るのですかあwww」
「こういった自分たちのための活動をやっている時だけ、『我慢して』男性と行動を共にしているのでは?」
「──『L』として一番我慢ならぬことを我慢できるくらいなら、日常生活全般においても我慢して、ちょっと特殊な性癖を持っているだけで、社会全体に対して厚かましくも、『特別扱い』を要求するんじゃねえよ⁉」
「……た、確かに」
「これで、わざわざカミングアウトして『LGBT活動』なんてやっている輩が、ほとんどすべて『偽物』であることが、ようくわかっただろう?」
「あ、アルテミスちゃん、語調が乱れているよ⁉ それに俺は『LGBT活動』なんてやっていないし、本物の『両刀遣い』であることは、君だって知っているだろう⁉」
「だから、先ほど申したではございませんか? 『両刀遣い』は、存在そのものが罪だと」
「──何でだよ⁉」
「百万歩ほど譲れば、『同性愛者』や『
「……あれ? それってひょっとしなくても、全人類が俺のような『
「とんでもない! あなたこそ『LGBT』において絶対に許されない、人類最大の『極悪人』なのです!」
「──どうしてだよ⁉」
「愛する相手が同性だろうが異性だろうが、それはあくまでも『結果』に過ぎず、人はただ、たった一人だけの『最愛の相手』を誠実に愛そうとしているだけなのです! もちろん、現在の愛に冷めてまた別の相手を求めることも、あまり褒められたことでは無いものの、人間も性欲を有する動物である限り、けしてあり得ないことではありません。──しかし、あなたたち『B』の輩はどうですか⁉ 『男でも女でもいい』とか言って、最初から『不特定多数』を対象とするなんて、もはや相手の人間としての人格とか個性とかを度外視して、『性欲』だけを行動基準にしていることを、自ら白状しているも同然でしょうが⁉」
「……あ」
「ホント、真剣に『LGBT活動』をしている、他のジャンルの人たち──特に『L』の方たちにとっては、堪ったもんじゃないですよ! 男嫌いだからこそ『L』になったというのに、自分のことを『性的対象』として見ている男が、同じ活動メンバーにいるなんて! これじゃまるで、飢えた野獣の前に生肉をぶら下げているものじゃないですか⁉ ──あ、同じ男性でも『G』の人たちは違いますよ? 何せあの人たちは基本的に女性に興味は有りませんからね。むしろ『L』の人たちからすれば、唯一安心できる殿方と申せましょう」
「ええっ、実は俺たちって、『L』の人たちからすれば、『G』なんかよりも評価が低かったの⁉」
「『L』とか『低評価』とかのレベルでは無く、全人類にとっての『害悪』そのものだと言っているんだよ⁉ ──いや、ここであらかじめ断っておくけど、別に『両刀の性癖』を
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