第827話、わたくし、『ホワッツァ・ワンダフルワールド』ですの♡
……いいか、アンジェ、
人間てやつは、デジタルデータなんかじゃ無いから、
一秒一秒が勝負であって、一瞬たりとて気を抜けないんだ。
──例えるなら、そうだな、
すべての人類が、深い海の水面から頭だけを出して、辛うじて呼吸をし続けながら、首から下は必死に立ち泳ぎをしている姿を、思い浮かべてくれ。
ただし、着ている服はいかにも裕福そうなものから、ボロボロに汚れているものまでバラバラだし、三度の食事にもそれぞれ明確な差があるし、大家族で仲良くまとまっている集団もあれば、一人孤独に波間を漂っている者もいるといった、バラエティに富んだ有り様さ。
──だがしかし、誰もがただひたすら泳ぎ続けなければならず、ほんのわずかでも気を抜けば、あっと言う間に水中に引きずり込まれて、海の藻屑と成り果ててしまうと言う、儚い存在に過ぎないところは、あくまでも平等なんだ。
泳げ、
泳げ、
泳げ、
泳げ、
泳げ、
泳げ、
泳げ、
泳げ、
泳げ、
泳ぎ続けている限りは、何の救いも無く『勝つ』こともできないものの、少なくとも『負ける』ことは無く、生き続けることはできる。
泳ぐことをやめれば、そこで『おしまい』だ。
──生きたかったら、泳ぎ続けろ。
そうだ、人生なんてものは、いくら闘い続けても、『勝利』の栄冠を手に入れることなんか、永遠にできやしない。
しかし、闘うことをやめれば、そこですべてはおしまいだ。
深い海の底に引きずり込まれて、息絶えるだけだ。
──だから俺たち人間は、生きている限りは、ただひたすら泳ぎ、闘い続けなればならないんだよ。
☀ ◑ ☀ ◑ ☀ ◑
メリーさん太「……何だよ、これって」
ちょい悪令嬢「本作の作者が、『パラリンピックの閉会式』と、超傑作SFアニメ作品『楽○追放』の期間限定配信を見た際の、『ファーストインプレッション』に基づいて戯曲化したものです」
メリーさん太「『パラリンピック閉会式』だって? 冒頭のセリフの中の『アンジェ』って呼称から、これが『楽○追放』の頼れる現地
ちょい悪令嬢「以前本作の第818話おいて、今回の『パラリンピックの開会式』を見ることによって、本作の作者が『パラリンピック肯定派』になったことは、すでにご存じですよね?」
メリーさん太「……ああ、
ちょい悪令嬢「それでもですね、パラリンピックやオリンピックが原因で、『コロナ禍』が更に深刻化して、自分はもちろん家族に被害が及んだりした場合は、また話は別だと思っていたのですよ」
メリーさん太「あー、確かにオリンピック開催からこっち、感染者数が全国各地で爆上がりだよなあ………………え、ちょっと待って? 『思っていた』って、どうして『過去形』なんだよ?」
ちょい悪令嬢「実はここ最近立て続けに、身の回りの近しい人たちに、ただならぬ不幸や事件が起こったのです。──つまりですね、別に『コロナ禍』とかで無くても、それ以上の不幸や事件は、いつでも誰の身の上にも起こり得るのですよ」
メリーさん太「──‼」
ちょい悪令嬢「むしろ『新型コロナウイルス』なんて、すでに予防法がしっかりと確立しているから、対処可能な分楽なのですよ。『外から帰ってきた時には、うがいと手洗い! 後はできるだけマスクを着用し、人だかりを避けること!』てな感じに、至極簡単な約束事を守っているだけで、感染の危険性をほとんど抑制できますし、これに『ワクチン接種』を加えれば、ほぼ完璧でしょう」
メリーさん太「……確かにな。それでもなお感染してしまえば、後は『運が悪かった』と言うしか無いよな」
ちょい悪令嬢「そうなのですよ、『コロナ禍』を始めとして、どんな災難や事件が我が身に降りかかろうが、それはあくまでも『運が悪かった』だけなのであって、『自分自身』はもとより、『誰か他の者』や『世界』そのもののせいにしては駄目なのです!」
メリーさん太「……自分や他人のせいにしないのはともかく、世界のせいにするなと言うのは、一体どういうことだ?」
ちょい悪令嬢「今回の『パラリンピック閉会式』のフィナーレ曲である、『
メリーさん太「ああ、それって『パラリンピック開会式』に対するファーストインプレッションの時に述べたように、『何事も
ちょい悪令嬢「そうです、今回の本作の冒頭部は、本作の作者ならではの『ネガティブ節』がいつものように炸裂しておりますが、まさしくこれを同じ趣旨でありながら、全面的に『
メリーさん太「つまり──
誰の身の上にも、不幸や災難は起こり得るけど、
だからといって、
闘うことをやめてはならない、
人生をあきらめてはならない、
──だって僕らを取り巻く世界は、こんなにも素晴らしいじゃないか?
さあ、立ち上がろう、
歩き続けよう、
闘い続けよう、
君があきらめない限りは、人生は続いていく。
だって世界は、こんなにも素晴らしいじゃないか?
君の人生だって、捨てたものじゃないさ。
君の人生を、素晴らしいものにできるのは、
君しかいないんだよ?
だから人は皆、闘い続けなくてはならないんだ。
──とか、言った感じか?」
ちょい悪令嬢「その通りです! けしてあきらめてはならないのです! 闘い続ければ、歩き続ければ、泳ぎ続ければ、必ず道は開かれると、今回のパラリンピックの選手たちが、身をもって教えてくれたのです!」
メリーさん太「……そうか、そうだよな。この世界が『素晴らしいもの』かどうかを決めるのは、むしろ自分次第ってことか」
ちょい悪令嬢「──あるいは、世界と言うものは『ただそこにあるだけ』であり、それを真に素晴らしいものにできるかどうかは、自分自身の努力次第とも言えるでしょう」
メリーさん太「……う〜ん、第818話に引き続いて、本作の作者にあるまじき
ちょい悪令嬢「プライバシーに関わる問題ですので、具体的には言及しませんが、本作の作者の人生観がひっくり返るほどの、重大事でした」
メリーさん太「──そんなにか⁉ 一体何が起こったんだよ⁉」
ちょい悪令嬢「ぶっちゃけて申しますと、親戚一同の中において本作の作者こそが、『一番のバチ当たり』なのであって、ろくな死に方をしなくても文句は言えないものと思っていたのですが、比較的エリート揃いで、しかも客観的に見ても『人格者』ばかりのはずの身内の中の何人かが、ここ最近立て続けに理不尽な事件に巻き込まれたり、想像もできなかった不幸に見舞われたりして、どう考えても『不公平』であり、まさに『この世には神も仏もない』と思ってしまったのですよ」
メリーさん太「……あの作者がそこまで言うのなら、さぞとてつもないことが起こったんだろうな⁉」
ちょい悪令嬢「でもだからこそ、頑張ることをあきらめてはならないし、『世界が素晴らしい』ことを忘れてはならないのです!」
メリーさん太「──ッ」
ちょい悪令嬢「たとえ思わぬ不幸に見舞われようとも、そこでむやみに悲観したり絶望したりせずに、『世界が素晴らしい』ことをけして忘れずに、前向きに立ち直っていくべきなのです。──いやむしろ、大きな不幸に見舞われないためにも、世界を──自分を取り巻く環境を、常に『素晴らしいもの』と見なして、前向きに努力し続けていくべきなのです。──あきらめたら、そこで終わりです! あなたが不幸なのは、あなたがそう決めつけているだけであって、世界は常に素晴らしく、前向きに歩き続ければ、必ず道は開かれるのです!」
メリーさん太「……なるほど、結局本作の作者自身も、『ハンデがある=不幸である』のは自分だけと思っていたところ、身内の不幸を立て続けに知らされて、その考えを改めるとともに、今回の『パラリンピック閉会式』を目の当たりにすることによって、『確かに世界は我々にとって残酷だが、それと同時に常に素晴らしくあり続けているのだ』と言う、どこかのラノベのキャッチフレーズみたいなことに、今更ながらに気づいたわけか」
ちょい悪令嬢「まさしく『コロナ禍』だと言うのに──否、『コロナ禍』だからこそ、オリンピック並びにパラリンピックを開催できて、本当に良かったですわ!」
ちょい悪令嬢「……最後にお断りしておきますが、このたびの『コロナ禍』においてのオリンピック並びにパラリンピックの開催については、いろいろとご意見がお有りかと存じますが、本作はそれらを頭ごなしに否定するつもりは毛頭ございません」
メリーさん太「なぜなら今回はあくまでも全面的に、パラリンピックの『
ちょい悪令嬢「ただし、『オリンピック及びパラリンピック』反対派の皆様におかれましても、頭ごなしに全否定なさろうとはせずに、せめて今回のパラリンピックの開会式や閉会式だけでも、ご視聴なされることをお勧めいたしますわ♡」
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