第816話、【夏のホラー】わたくし、聖女の力はブラックだと思いますの⁉
ちょい悪令嬢「──間に合いましたよ! 今回こそは、ちゃんと間に合わせましたわ!」
メリーさん太「……………は?」
ちょい悪令嬢「ちょっとメリーさん、聞いているんですか? 間に合ったんですよ! 本当に本当に、よろしゅうございました!」
メリーさん太「いや、だから、一体何が間に合ったんだよ⁉ ちったあ落ち着いて説明せんか⁉」
ちょい悪令嬢「それはもちろん、本日締め切り最終日を迎えた、『小説家になろう』様毎年恒例のイベント、『夏のホラー2021』ですよ!」
メリーさん太「へ?…………………って、ええっ! 結局間に合ったのかよ⁉」
ちょい悪令嬢「はい、締め切り日である本日8月26日に日付が変わるのとほぼ同時に、『【隠れ鬼】ウチの聖女様はブラックです⁉』という短編連作作品を、一挙に全三話公開いたしました!」
メリーさん太「日付が変わる頃って、真夜中の午前0時と言うことか? 締め切りが今日だとして、ギリギリ何時まで受け付けているんだ?」
ちょい悪令嬢「夜の23時59分──すなわち、本日終日が受付対象となっております」
メリーさん太「つまり、締め切りのほぼ24時間前に投稿したの? 何で丸一日も余裕をおいたのよ?」
ちょい悪令嬢「……ほら、先の『第9回ネット小説大賞』においては、日付ばかり気にかけて、具体的な『時刻』のほうをすっかり失念していて、締め切りに間に合わなかったじゃありませんか? 今回こそは同じ轍は踏むまいと、絶対に落とすことの無い、締め切り日スタートの午前0時に投稿したわけなのです」
メリーさん太「あー、そういえば、そうだったなあ。いやすっかり、『トラウマ』になっているようで。まあ、できるだけ締め切りを守ろうとするのは、感心なことだけどな」
ちょい悪令嬢「『ネット小説大賞』に関しても、別に作品を創っていなかったわけでは無く、締め切りの時刻を間違えただけですからね。自分の『うっかりミス』で、せっかくの作品を無駄にするなんて、金輪際御免ですわ」
メリーさん太「……そういや、ちゃんと新作を用意していたんだな? 本作の作者のやつ、ここしばらくの間、新しい作品を作成している素振りなんて見せなかったのに。まさか、旧作の再利用とかじゃ無いだろうな?」
ちょい悪令嬢「いえいえ、完全新作でございます」
メリーさん太「うん、試しに読んでみると、これまでの『くどい』作風が鳴りを潜めていて、やけにあっさりと読む進めることができたしな」
ちょい悪令嬢「時間が足りなくて、くどくする暇も無かっただけなんですけどねw」
メリーさん太「それにしても、間に合っただけでも驚きだよ。一体いつの間に書いていたんだ?」
ちょい悪令嬢「正直に申せば、本来なら間に合っていなかったのですが、最近作成しかけたまま放置していた、『聖女の力はブラックです⁉』という仮称の短編連作の『第一話』だけが完成していたので、それを今回の『夏のホラー』の応募規定に合致するように、結末への道筋に若干の変更を加えつつ、残りの二話を書き上げて、応募することにしたのです」
メリーさん太「やはり、『とっかかり』はついていたんだ。それならこのような短期間での作品づくりも、けして不可能では無いよな」
ちょい悪令嬢「何と言っても小説づくりの『キモ』は、いかに『書き始めることができるか』にかかっていますからね。既存の『保留作品』の利用を思い立ったのは、まさしく『天啓』でした」
メリーさん太「でも、別にホラー作品でも無かった作品を、よく『夏のホラー』のエントリー作品に改編することができたものだな?」
ちょい悪令嬢「実は今回の『夏のホラー』の統一テーマが『かくれんぼ』だったりするのですが、偶然にも当該作品のクライマックスにおいても、
メリーさん太「……なるほど、『鬼』を登場させるのなら、『ホラー』路線とも合致しているし、むしろ好都合とも言えるかもな」
ちょい悪令嬢「そもそも原案の『聖女の力はブラックです⁉』という作品案を思いついたのも、今年の『春アニメ』の某作品を見ていた時なんですが、何と万能の力を持つ聖女様が、自分を現代日本から召喚した異世界の王国の兵士たちの、どんな怪我でも立ち所に魔法で治癒してしまうんですよ。──それこそ、『四肢がもげてしまうような』大けがであろうと、元通りの五体満足の状態に戻してしまったのです。それを見て(なぜかイケメンばかりの)王国の上層部の皆様が大喜びとなって、聖女様をチヤホヤと持ち上げていくんですけど、確かに支配階級の皆さんにとっては、兵士がいくらでも修復可能だったら非常に好都合でしょうが、当の末端の兵士としては、それで本当に『幸福』なのかって、ふと疑問に思ってしまったのです」
メリーさん太「と、言うと?」
ちょい悪令嬢「もしも四肢を引きちぎられて、肉体的には死ぬような激痛に見舞われて、精神的には人生をあきらめてしまうような絶望に駆られてしまっていて、反則技の魔法で『
メリーさん太「──ッ」
ちょい悪令嬢「
メリーさん太「──そうか、『寿命』と言うものは人それぞれだけど、たとえ極端に短かろうが、精一杯生き抜いたのであれば、その者なりにちゃんと人生を全うしたとも言えるわけか⁉」
ちょい悪令嬢「むしろそう思わないと、病気や事故や戦争で早世された方々に対して、失礼というものですよ!」
メリーさん太「……なるほど、確かにそう言った考え方も、一理あるな」
ちょい悪令嬢「実はこれは、現在絶賛開催中の『東京パラリンピック2020』の開会式を見ていて、それこそ天啓のごとく思い至ったのであり、これもまた機会があれば、作品化したいかと思っております」
メリーさん太「うん、あの開会式は、是非とも見ておくべきだよな」
ちょい悪令嬢「そう言った諸々を踏まえますと、激戦続く最前線の兵士にとっては、実は『死』こそが唯一の『救済』だったりするのであって、それを聖女様だか何だか知らないけれど、反則級の超治癒魔法なんかで、何度も身体を修復されたり命そのものを甦らせられたりしたんじゃ、堪ったものじゃないですよ。ただでさえ軍隊は『ブラック職場』だというのに、唯一の救いである『死ぬ権利』すらも奪われたんじゃ、もはややってられないってことで、ついには兵士たちが大挙して王国に反旗を翻して、聖女様を亡き者にしようとしても、無理は無いでしょう」
メリーさん太「……うん、それっていわゆる『不死の軍団』てことで、敵にとっても当の兵隊たち自身にとっても、いろいろな意味で『ホラー』だよな」
ちょい悪令嬢「とはいえ、実は聖女様のほうも、このファンタジー異世界に召喚される前は、現代日本においてブラック企業に勤めていたりして、とても一筋縄ではいかず、ちゃんと『善後策』を考えていたのですよ」
メリーさん太「善後策、って?」
ちょい悪令嬢「己の命を狙ってくる、大勢の兵士を返り討ちにできるように、凄腕の剣闘士だった奴隷の少年を引き取り、お得意の『超治癒魔法』によって『不死の戦士』に仕立て上げて、自分専用の護衛にしたのです」
メリーさん太「──結局『同じ過ち』を犯しているだけじゃん⁉ その少年だって、いくら戦い続けようが死ねないことに嫌気がさして、いつの日か聖女に刃を向けるんじゃないのか?」
ちょい悪令嬢「実はそこでこそ、『隠れ鬼』という基本コンセプトが生きてくるのですよ! この護衛の少年に関してのみは、いくら戦い続けようとも、いくら死んだり生き返ったりを繰り返そうとも、少しも不満に思うこと無く、ずっと聖女様の護衛であり続けようとするのです!」
メリーさん太「……何で? その聖女様のことを、心から心酔しているとか?」
ちょい悪令嬢「所詮は現代日本のアラサーOLだった女性に、それ程の魅力なんかありませんよ?」
メリーさん太「──おまえ、この瞬間に、すべての『現代日本のアラサーOL』の皆様を、敵に回したぞ⁉」
ちょい悪令嬢「この護衛の少年がOL聖女様に絶対的に従うことには、ちゃんとした理由があるのです」
メリーさん太「だから、それは一体何だと、聞いているんだよ⁉」
ちょい悪令嬢「それは、当作品を実際に読んでの、お楽しみと言うことで♡」
メリーさん太「──結局また、そのパターンかよ⁉」
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