第612話、わたくし、『無能な巨人ライナーナ』ですの♡(その3)

ちょい悪令嬢「──はい、【無能なナ○超能力講座】第3回目の今回は、かねてからお約束していた通り、主人公のナ○しゃんの固有スキルである『読心能力』について、詳細に解説したいかと思います!」




メリーさん太「……あのさあ」




ちょい悪令嬢「うん、何です、メリーさん?」


メリーさん太「前から言おうと思っていたんだけどさあ、この【超能力講座】自体がなかなか始まらないから、今まで機会が無かったんだよね……」


ちょい悪令嬢「はい?」




メリーさん太「ネタバレになるから詳しくは言えないけど、ナ○しゃんの『読心能力』って、超能力んじゃないの?」




ちょい悪令嬢「……」


メリーさん太「……」


ちょい悪令嬢「……」


メリーさん太「……」


ちょい悪令嬢「……」


メリーさん太「……おい」


ちょい悪令嬢「……」


メリーさん太「何か言えよ?」




ちょい悪令嬢「メリー、さん」




メリーさん太「──うっ…………な、何だ?」


ちょい悪令嬢「わたくしは今、非常に………………………、しております!」


メリーさん太「へ?」


ちょい悪令嬢「そうなのです! その『反応』を期待していたのです! さすがはわたくしの『相方』、抜群の『あうんの呼吸』ですわ!」


メリーさん太「はあ?」




ちょい悪令嬢「おっしゃる通り、ナ○しゃんの『読心能力』は、けして超能力ではございませんが、むしろそれゆえに、真に理想的な『本物の読心能力』と言えるのです!」




メリーさん太「……超能力じゃないからこそ、本物の読心能力、だって?」




ちょい悪令嬢「ていうかさあ、『無能なナ○』を始めとして、創作物に登場する超能力って、ほとんど全部『ニセモノ』なのですよ」




メリーさん太「──うおいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ⁉」




ちょい悪令嬢「ていうか、『見せ方』が、なっていないのです」


メリーさん太「……見せ方、って?」


ちょい悪令嬢「以前も申しましたけど、すべての創作物における最重要項目である、『演出の仕方』ですわ」


メリーさん太「あんたまさか、ほとんどすべての創作物においては、『超能力の演出の仕方』がてんで駄目だとか、言いたいわけかよ?」


ちょい悪令嬢「ええ」


メリーさん太「──『ええ』じゃねえよ⁉ あんた本当に、無限に敵を作る気なのか⁉」


ちょい悪令嬢「無限に自分より劣る者に対してケンカを売るってことで、これぞ本当の『無限劣者編』──なんちゃって、ぷぷぷぷぷ」


メリーさん太「おまえ、いい加減にしろよ⁉ いきなり某国でも大好評の、『超人気アニメ映画』ネタまで出すなよ!」




ちょい悪令嬢「まさにその某国において、同じくS社の漫画作品である『ファイテン廻戦』に対して、お得意の『イチャモン反日ムーブメント』を絶賛開催中だったりしてね。おまえらさあ、文句が有るのなら、そもそも日本の漫画やアニメを見るなよ? ……それからS社、てめえまさか、『マルタ』と『旭日旗』に引き続いて、『神風』についてまで、シモ半島の糞ゴミどもに土下座謝罪するつもりじゃねえだろうな? 今度また『売国奴的国辱行為』をしてみろ、日本人として絶対に許さないからな? せいぜい覚悟しておけよ?」




メリーさん太「──怖い怖い怖い怖い! だから、公爵家令嬢が絶対やってはならない、『ひぐ○しのなく頃に業』の新EDのジャケットの沙○子ちゃんみたいな、ものすごい邪悪な表情をして凄むんじゃないよ⁉ それにあんたは異世界の悪役令嬢であって、日本人じゃ無いだろうが!」


ちょい悪令嬢「とにかく、こういった最近大人気の少年漫画はもちろん、本作のような『なろう系』小説においても、主人公のほとんど全員が、最初からチート能力──すなわち、『超能力』の類いを持っているではありませんか?」


メリーさん太「……それの、何が悪いんだ? 武術とか格闘術とかだったら、努力すれば上達するから、その過程を見せるのも面白かろうが、超能力なんて個人の努力でどうにかなるものじゃ無いんだから、むしろ作品の冒頭部において異世界に転生する際とかに、『女神様からの恩寵ギフト』として与えておいて、どんどんと使わせたほうが、今時の『なろう系』では人気が出るんじゃないのか?」


ちょい悪令嬢「……そんなんだから、最近の『なろう系』は駄目だって言われているんですよ。やはりそこは、『演出ミセカタ』にひとひねり加えなければ」


メリーさん太「だからその、『演出』って、一体どうやればいいんだよ⁉」




ちょい悪令嬢「例えば異世界の商人の脇役が、何かと無茶をしがちな主人公の行方が気になっているんですけど、どこに行ったかわからなくて焦りまくっていたら、『──そのダサいジャージを着た、いかにも日本からの転移者風の少年なら、あっちで見たわよ』という声が聞こえてきて、振り向いたら何と兎がしゃべっていたという」




メリーさん太「そ、それって──」




ちょい悪令嬢「そう、その商人の脇役は、その時初めて、『女神様からの恩寵ギフト』に目覚めたのですよ」




メリーさん太「……た、確かに。例えば幼少の頃から当たり前のようにして、自分の周りの全生物の言葉が理解できているよりも、ここぞと言う時に突然、すぐ近くにいる動物の言葉が理解できるようになることによって、絶体絶命のピンチを凌ぐといった展開のほうが、絶対に胸熱だよな⁉」


ちょい悪令嬢「それこそが、『演出』と言うものですよ。──ていうかさあ、生まれた時から、昆虫を含めた無数の生物の言葉が理解できて、日常生活が送れるのかってえの。まさかおまえ、目の前の豚や鶏が『お願いです、食べないでください!』と必死に訴えているのに、食べることできるのかよ? …………サー○ルちゃん、最低だな」


メリーさん太「いや、サー○ルちゃんは、カ○ンちゃんのこと、食べていないから!」


ちょい悪令嬢「要はですね、超能力だろうが何だろうが、眼前の危機的状況を打破するための『不可能を可能をする力』なんてものは、生まれた時とか転生した時とかに、最初から与えられた『ラッキーアイテム』なんぞでは無く、本人が努力に努力を重ねていって最後まであきらめずに、己の『夢や願望』を実現しようとした際に、まさしく『奇跡』そのままに、あたかも『女神様』のような超常的存在が(その努力を認めて)微笑むかのようにして、獲得するものでなくてはならないのです。──むしろ、何の努力もせずに与えられた、『動物の言葉が理解できる力』でピンチを凌いだどころで、一体誰が感動するというのですか?」




メリーさん太「……努力に努力に重ねた結果、奇跡的に女神様が微笑む、って」




ちょい悪令嬢「ええ、本作において何度も何度もご紹介しております、『集合的無意識とのアクセス』の、唯一絶対の実現方法ですよ」




メリーさん太「──‼」




ちょい悪令嬢「つまり、相手が人間であろうが動物であろうが、『読心能力』の類いも当然のごとく、『集合的無意識とのアクセス』によって、実現されるというわけなのです」


メリーさん太「はあ? あんたさっき、ナ○しゃんの『けして超能力では無い読心能力』こそが、『本物の読心能力』だって言っていたけど、あれも集合的無意識とアクセスしているとでも言うのか⁉」


ちょい悪令嬢「はい」


メリーさん太「『はい』じゃねえよ⁉ あれはあくまでも、ナ○しゃんが相手の一挙手一投足を細大漏らさず観察して、それを基に己の頭脳をフル回転させることによって、あたかも本当に心を読んでいるかのように、『類推』しているだけだろうが⁉」


ちょい悪令嬢「類推とは、言い得て妙ですね。そうですよ、ナ○しゃんはあくまでも、自分の頭で現実的に『現状を完璧に把握』して、相手の心理を『類推』しているだけですが、わたくしはそれこそが、超能力なんかでは無く、真に理想的な読心能力なのだと申しているのですよ」


メリーさん太「──なっ⁉」




ちょい悪令嬢「わたくし以前申しましたわよね? 集合的無意識がもたらすのはけして、『完璧な解答』なんかでは無く、あくまでもそれに至るまでの『道筋テンプレ』だけであって、後はそれを基にして、天然の量子コンピュータである本人の脳みそで算出シミュレートして、『最終的解答』を導き出しているのだと。──今し方あなたがおっしゃった、ナ○しゃんの『卓越なる観察力による類推』って、まさにこれそのものとは思いません?」




メリーさん太「あ」


ちょい悪令嬢「それが証拠に、ナ○しゃんの『読心』て、『無能なナ○』作内においては、本物の超能力者が超能力であることを認めてしまうほど、ほぼ完璧ではないですか?」


メリーさん太「そ、それは、あくまでも作者が『ストーリーの必然性』に則って、そう言うふうに持って行っているだけで、単なる『御都合主義』でしかないのでは?」




ちょい悪令嬢「御都合主義、大いに結構! 創作物の登場人物にとっての、『作者のストーリー全体における知識』って、まさに『集合的無意識』そのものとは思いません? ──そう、実はナ○しゃんは『主人公』として、作者御自ら、ある程度『読心能力』を実現できるレベルの、『集合的無意識とのアクセス権』を与えられているようなものなんですよ」




メリーさん太「え、つまりナ○しゃんて、本来作者だけが把握し得る、すべてのキャラクターの『心のうち』を、いろいろと限定条件があるとはいえ、参照アクセスする能力が与えられているってことか⁉」




ちょい悪令嬢「──そうなのです、けして何の苦労も無く与えられた『なろう系チート能力』なんかでは無く、それを実現するために最大限の努力をし続けて、常に自分の頭で考えようとする、ナ○しゃんの『読心能力』こそ、本作でこれまで散々主張してきた、『集合的無意識とのアクセス』によってこそ実現することが許された、真に理想的かつ現実的な『超常の力』だったのですよ♡」

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