第507話、わたくし、魔法少女は大人になっても、魔女にはならないと思いますの⁉(前編)

ちょい悪令嬢「──さて、今回も前回に引き続いて【特別座談会】として、お約束していた通り、『パクリ作品は原典に重大なミスが発見された場合、修復不可能な致命的ダメージを被ってしまいかねない』の原則について、本作と超傑作魔法少女アニメ『ま○か☆マギカ』との関係を例に挙げて、詳しく述べたいかと思います!」




メリーさん太「……えー、本当にやるわけえ?」




ちょい悪令嬢「やるに決まっているではないですか? 前回あれ程大々的に予告したのですから」


メリーさん太「いやでも、そうなると今回は、『ま○マギ』の『重大なるミス』とやらを、語っていくわけでしょう?」


ちょい悪令嬢「ええ、その予定ですが?」


メリーさん太「だからどうして、無駄に波風を立てようとするのよ⁉ この作品の作者って、自他共に認める、『ま○マギ』シリーズの大ファンなんでしょうが⁉」


ちょい悪令嬢「ファンだからこそ、心を鬼にして、物申さなければならないこともあるのです……ッ」


メリーさん太「いかにも『いい台詞』のように言うな! 別に物申さなくてもいいよ! わざわざそんな危ない橋を渡って、他人様から不評を買って、何のメリットが有ると言うんだ⁉」




ちょい悪令嬢「──メリットなら、十分有りますよ。何せ『パクリ』というものが、何よりも『パクる側』にとって、非常にリスクが大きく、人の模倣をするくらいなら、すべてを自分の頭で考えたほうが、よほどマシだということを、これから証明して見せるのですからね」




メリーさん太「……へ? パクリのリスク、ですって?」


ちょい悪令嬢「Web小説界においても、誰もが本気で検証すべき、最重要テーマでしょう? 言ってみれば、このリクスの重大さを誰もが理解すれば、安易なパクリをやる輩に思い直させることすらも、十分期待できるのですよ」


メリーさん太「つ、つまり、現在Web小説界のみならず、創作界全体に横行している、『パクリ行為』に対する抑止効果が見込まれるってこと? もしそれが本当なら、むしろ『結構な話』だけど、それが一体『ま○マギ』と、どう関わってくると言うのよ?」


ちょい悪令嬢「例えば、『ま○マギ』とか『エヴ○』とか『宮○アニメ』とか『押○アニメ』とかの、共通点と言えば、何が挙げられます?」


メリーさん太「……そりゃあ、アニメ業界そのものを一変させるまでに革新的で、その絶大なる影響力ゆえに、無数の『フォロワー』作品が存在していることじゃないの?」


ちょい悪令嬢「いわゆる『パクリ元』の、代表例ですよね☆」


メリーさん太「──身も蓋もない言い方だな⁉」




ちょい悪令嬢「そのように無数の作品のパクリ元になっている『ま○マギ』に、根本的かつ致命的な『誤り』が見つかった場合は、どうなるでしょうね? 考え無しにただ表面的にパクった劣化コピー作品なんて、その瞬間に作品として成り立たなくなるんじゃないですの?」




メリーさん太「──ッ。ま、まさか、本当にそれほどまでの『致命的なミス』が、『ま○マギ』シリーズにおいて、見つかったと言うの⁉」


ちょい悪令嬢「ええ、残念ながら」


メリーさん太「……あは、あはははは、またまたあ。以前の『マ○さんてば、首チョンパされてしまったけど、ソウルジ○ム自体は無事なんだから、死ぬのはおかしいんじゃないの?』指摘の件の時のように、すでに十年近く前の作品なんだから、とっくに他の人たちに指摘されて、公式によって修正されていて、今更そんな『致命的ミス』なんて、見つかりっこないじゃないのお?」


ちょい悪令嬢「いえ、前回同様Web上でググってみたところ、今回は修正どころか、問題視した人自体も、皆無のようでした」


メリーさん太「……このWeb全盛時代において、にわかには信じられないけど、一応言ってみなさいよ、一体どのシーンなのか」


ちょい悪令嬢「それはもちろん、作品全体のターニングポイントであり、すべての黒幕であるキュ○べえにとっての、最大の見せ場のシーンですよ」


メリーさん太「──それって、まさか⁉」




ちょい悪令嬢「そう、あの宇宙陰獣がここぞとばかりにドヤ顔で、『いわゆる「少女」とは、成長途中の女性のことだよね? ──だったら、いつかは必ず魔女になる運命にある君たちのことは、『魔法少女』と呼ぶべきだよね?』とか何とか、嘯いたシーンでございますわ☆」




メリーさん太「……な、何と、文字通りに作品の『根幹部分』じゃないの⁉ その『最重要ワード』の一体どこに、『致命的なミス』が含まれているって言うの⁉」


ちょい悪令嬢「含まれているも何も、この台詞自体が、完全に間違っているのですよ」


メリーさん太「へ?」




ちょい悪令嬢「だって、『魔法少女が魔女になる』ことなんて、絶対にあり得ないのですから」




メリーさん太「……………………は? ──いやいやいや、何言っているの⁉ それこそがあの作品のヒロインたちの『葛藤』の最大の原因なのであって、『魔女化』が無ければ何も悩む必要は無くなって、ストーリーは完全に破綻してしまうわけだし、ある意味『ま○マギ』という作品の、全否定のようなものじゃないの⁉」




ちょい悪令嬢「おや、わたくしは極当たり前のことを言っただけですが? ──それが証拠に、これだけ魔法少女作品が乱立している中で、『ま○マギ』以外で、魔法少女が魔女になった作品なんて、皆無ではないですか?」


メリーさん太「そりゃあ、そうでしょう! さっきも言ったけど、ヒロインたちが『自分はいずれ魔女になる運命にある』ことを知って絶望に陥るところこそが、『ま○マギ』シリーズの最重要ポイントであり、他にはあり得ない独自設定じゃないの⁉」


ちょい悪令嬢「そんなことはありませんよ? 元祖的作品である『魔法使いサ○ー』が登場して以来、『いずれ魔女となる運命のヒロイン』なんて、数えきれないくらいおられたと思いますが。──ていうか、まさに元祖の『サ○ーちゃん』御自身が、該当するではありませんか?」


メリーさん太「……サ○ーちゃんが、あたかも『ま○マギ』シリーズそのままに、『いずれ魔女となる運命のヒロイン』ですって?」


ちょい悪令嬢「この国のアニメ界においては、成長途中の女の子のことを、『○○っ子』って呼ぶんじゃないの? だったらやがて魔女になるヒロインたちのことは、何と呼ぶべきでしょうね?」


メリーさん太「例えば、『ボクっ』と呼ぶようなものか? それなら当然『魔女』だったら、魔女っ…………………………………ああっ、そうか、そういうことか、『魔女っ子』か!」




ちょい悪令嬢「そうなのですよ、魔女になることができるのは、魔法少女、『魔女っ子』で無くてはならないのです」




メリーさん太「え、でも、それは単に、各アニメ作品おける『名称設定』的に、ちょっとした違いがあるだけで、事実上は魔法少女と同じものじゃないの?」


ちょい悪令嬢「いやいや、全然違いますよ! そんなこと下手に口にしようものなら、『魔法少女の専門家』の皆様から、袋だたきに遭いますよ?」


メリーさん太「──誰だよ、『魔法少女の専門家』って⁉」


ちょい悪令嬢「『マギ○コ』で言うなら、里見○助さんとか?」


メリーさん太「え、『マギ○コ』って、そんなキャラまで出てくるの? 男性なんでしょ、その人」


ちょい悪令嬢「里見○花ちゃんの叔父君──つまりは、里見那○他嬢の御尊父に当たり、民俗学者として長年魔法少女の研究に勤しんでおり、一般人でありながら、魔法少女や魔女やキュ○べえ等々の、『世界の真実』の核心に迫りつつあるそうです」


メリーさん太「民俗学って、『魔法少女』の研究も含まれるの? ……単なる、『オタク』じゃ無くて?」


ちょい悪令嬢「そんなことはありません! もはや現代日本において、『魔法少女』は、れっきとした学究の対象となっているのです!」


メリーさん太「……あら、そうなの? だったら教えてもらおうじゃないの? 魔法少女と魔女っ子との、根本的違いってやつを!」




ちょい悪令嬢「簡単なことです、魔女の家系に生まれて先天的に魔法が使えるのが、『魔女っ子』であり、極普通の家庭に生まれて後天的に魔法が使えるようになるのが、『魔法少女』なのですよ」




メリーさん太「──ま、魔女っ子と魔法少女の違いとは、単に『先天的か後天的か』に過ぎないですって⁉」




ちょい悪令嬢「嘘だと言うのなら、これまでの各アニメ作品を、思い返してごらんなさいよ」


メリーさん太「あー、確かに! 一口に『魔法少女アニメ』と言っても、『ヒロインが魔法を使えるのは、先天的か後天的か?』で、大きく二つに分かれるわ!」


ちょい悪令嬢「そうでしょうそうでしょう。──それでは、質問です。魔女の家系に生まれて、文字通りに先天的に魔法の使える『魔女っ子』の皆様は、将来どうなるでしょうか?」


メリーさん太「……いずれ必ず、『魔女となる運命』に、あるわよね」


ちょい悪令嬢「そりゃそうでしょう、魔女の家系と言うことは、原則的にお母様は現職の魔女であるだろうし、娘であるヒロインが将来魔女になるのも、単なる『既定事項』でしょうしね」


メリーさん太「そ、そうだ、そうだよ。かの最も有名な『魔法少女アニメ』──ううん、『魔女っ子アニメ』である、『魔女の宅○便』こそは、まさしくその代表例で、ヒロインのキ○は、将来立派な魔女になるために、修行に明け暮れていたじゃないの⁉」


ちょい悪令嬢「それに比べて、『ま○マギ』を始めとする、『魔法少女アニメ』のほうは、どうでしょうね?」


メリーさん太「……極普通の日本の家庭に生まれて、お母さんを始めとするご家族は普通の人間で、あくまでもヒロイン自身が『後付け設定』的に、真っ白な宇宙陰獣やまっ黄色のケルベロスなんかが擬態した『使い魔』に唆されて、後天的に魔法少女になっているわよね」




ちょい悪令嬢「──よって結論としては、後天的に魔法少女となった女の子たちは、絶対に魔女となる運命にあるわけでは無く、少なくとも『ま○マギ』のターニングポイントにおいて、キュ○べえがドヤ顔で言った台詞は、『大きな大間違い』であったことが、確定したって次第なのですよ!」




(※次回の後編に続きます)

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