第476話、わたくし、悪魔に身を任せながら、女神様の夢を見ますの♡

「……さすがの『悪魔』も、こうなってしまっては、形無しね」




 高い高い塔のてっぺんにある、あたかも牢獄でもあるかのように四方を鉄格子で囲われた、石造りの広大なる部屋の中で、甲高い声音が鳴り響きました。




 その声のあるじであるところの、可憐なフリルやレースに飾り立てられたゴスロリドレスに小柄な肢体を包み込んだ、年の頃十歳ほどのいまだ幼い女の子は、真夜中の濃い闇の中だというのに少しも怖じ気づくこと無く、手燭の明かりだけを頼りに、部屋の中央まで歩み寄っていきます。


 何とそこには、象が丸ごと一頭入っても余裕があるほど、大きな大きな鳥かごが鎮座していて、その中には一人の十三、四歳ほどの女の子が、


 ──やけに露出度が高く身体の線がくっきりと浮き出ている、扇情的な漆黒の衣裳をまとった、幼く華奢な肢体の至る所を、武骨な鎖で繋ぎ止められていたのです。




『……×××』




 鳥かごの中の少女の、あたかも鮮血のごとき深紅の唇が、何やら人の名前のようなものをつぶやきました。




『×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××。×××』




 どうやらそれは、鳥かごの中の少女にとって、よほど大切な相手の名前であるようで、部屋の中に別の女の子が入ってきたのにも気づかずに、うわごとみたいにつぶやき続けています。


「そうよ、あなたの最愛の×××さんも、私たちと同じ魔法少女なのだから、あなたの力が無ければ、いつか絶望して『△△』になってしまい、身も心も朽ち果ててしまう運命にあるのよ? ──だからあなたは『悪魔』として、我らが○○市の魔法少女たちの絶望を、すべてその身に肩代わりすることによって、この閉ざされた魔法少女のためだけの世界を、浄化し続けなければならないの」


『──×××!』


「ええ、ええ、ピンクの髪と瞳をした、可愛らしい子よね。──わたくしの『お姉様』に、そっくり♡」


『×××! ×××! ×××! ×××! ×××! ×××! ×××! ×××!』


「馬鹿言わないで、わたくしが愛しているのは、『◇◇◇お姉様』だけなんだから、あなたの大切な『女神様』には、手出しなんかしやしないわよ」


『……◇◇◇?』




「そう、あなたにとっての×××さんと同じく、私にとって命よりも大切な、この世でたった一人のお姉様。この魔法少女のための○○市は、本来はお姉様のためだけに創り上げた、『夢のゆりかご』なの。──だから申し訳ないんだけど、あなたの最後の魔力のひとしずくまで、搾り取らせてもらうつもりよ。異論は無いわよね? 何せそれこそが、私のお姉様のためであり、あなたの大切な×××さんのためでもあるのだから。『悪魔のくせに女神様を自分だけのものにしようとする』などといった、最大の禁忌タブーを犯したあなたにとっては、彼女のために死ねるのなら、むしろ本望でしょう?」




 そのように、いかにも謎めくセリフを言い終えるや、心底満足したかのようにして、部屋を後にして行く、ゴスロリ姿の幼い女の子。




『……×××』




 一人残された、もう一人の『悪魔』と呼ばれた女の子のほうは、相も変わらず最愛の少女の名前をつぶやきながら、その子のためだけに、自分の魔力を放出し続けていたのでした。




 ──さあ、舞台は整いました。これよりお待ちかねの、魔法少女たちによる、魔法少女たちのための、、魔法少女たち同士の愛の物語の、第二幕の始まりです!




   ☀     ◑     ☀     ◑     ☀     ◑





メリーさん太「……何よ、これって」




ちょい悪令嬢「いえね、最近【座談会】ばかり続いていたから、たまには趣向を変えて、『本編っぽい』のもやっておこうかと思ってさあ」




メリーさん太「何だよ、『っぽい』って⁉ あんたは、大日本帝国海軍所属駆逐艦、しらつゆ型4番艦の擬人化少女か! ──ていうか、あまりにも唐突だし、内容もあやふや過ぎて、意味がわからないんですけど⁉」




ちょい悪令嬢「ああ、これって、本作の作者による、妄想版『マギア○コード』第二期セカンドシーズンの、冒頭シーン(仮)なのよ」




メリーさん太「──結局今回も、『ま○マギ』ネタなのかよ⁉」




ちょい悪令嬢「そう言わずに、これにはちゃんとした、理由があるのです。──実は本日は、『マギ○コ』アニメ版にとって、非常に重要な日なのですから」


メリーさん太「え、そうなの?」




ちょい悪令嬢「はい、皆様ご存じのように、現在『ア○マTV』様においては、『マギア○コード』アニメ版の第一期が、4話ほどまとめて無料再配信されておりますが、第一弾の第1話から第4話までの限定配信が、明日の夜明けまでで終了となっており、更には第三弾の第9話から最終話までの限定配信が、明日早朝の午前4時からの開始予定となっておりますので、今夜の24時──すなわち、明日の午前0時から視聴を始めれば、今回の限定再配信の期間中において、全13話を最初から最後まで一気に視聴することのできる、唯一のチャンスだったりするのです! 『マギ○コ』アニメ版全話を一気にご視聴なされたいと思われている方は、この機を逃さずに(およそ五時間半から六時間ほどかかる)オールナイト一気見に、是非ともチャレンジしてみてください!」




メリーさん太「──結局、『宣伝』かよ⁉ ……いやまあ、全話一気見ができるのが、その日程しか無いと言うのなら、確かに貴重な情報だけどな」


ちょい悪令嬢「こういう情報の収集に努めてこそ、『真のオタク』というものなのです! ……それに比べて最近の『似非オタク』どもときたら、『与えられたエサ』で満足するばかりで、自分から行動を起こそうとはせず、嘆かわしい限りでございますわ!」


メリーさん太「……言うほど、この作品の作者って、『アニオタ』だったっけ? そもそもそんな『真のオタク』だったら、『ま○マギ』なんか、初放映時に見ていたはずだろうが?」


ちょい悪令嬢「──やめて! 私を正論で、追いつめないでえ!」


メリーさん太「やかましい! ──それよりも、あの冒頭のわけのわからない寸劇って、一体何だったんだ、ちゃんとわかるように説明しろよ⁉」


ちょい悪令嬢「ほら、『マギ○コ』のアニメ版の第二期セカンドシーズンが実際に放映されるとしたら、やはり元祖『ま○マギ』の主人公コンビである、ま○かちゃんとほ○らちゃんが登場しなければ、お話にならないじゃない?」


メリーさん太「……そりゃあ、この期に及んであの二人が登場しなかったりしたら、『元祖ま○マギ原理主義者』たちを始めとして、暴動を起こしてもおかしくは無いわな」


ちょい悪令嬢「だからといって、原作のソシャゲのように、普通にただの魔法少女のま○かちゃんとメガほ○ちゃんとが、神○市にやって来ても、面白くも何とも無いじゃん?」


メリーさん太「う〜ん、そこはあくまでも個人的な意見かも知れないけれど、確かに今更原作ゲームのシナリオ通りにやっても、あまりインパクトは無いよね」




ちょい悪令嬢「──それで、本来なら絶大なる力を誇る『概念的存在』であるはずの、アルま○ちゃんとかデビほ○ちゃんとかが、実はすでに『マギ○ス』陣営に囚われていて、組織の野望を実現するために、その超常にして強大なる力を利用されているといった、驚天動地のオープニングだったりするのも、面白いんじゃないかと思ってね♫」




メリーさん太「──驚天動地過ぎるよ⁉ 何で女神様や悪魔のような概念的存在が、魔法少女とは言え、小学生たちなんかに捕まっているのさ!」


ちょい悪令嬢「だってさあ、『マギ○スのお三方』のほうも、(う○ちゃんを含めて)数人で分担しているとはいえ、すべての黒幕にして宇宙生物である、『キュ○べえ』の力を丸ごと使えるわけなんだから、うまく策略を巡らせれば、女神や悪魔をとっ捕まえて、意のままに操ることすらも、十分に可能かと思われるんですけど?」


メリーさん太「……た、確かに。特にデビほ○ちゃんに対しては、ま○かちゃんをエサにすれば、言うことを聞かせることも、それ程難しくはないかも⁉」


ちょい悪令嬢「──というわけで、今やすっかり神○市において、魔法少女を救済するための『結界』を創り出すためのシステムの一部に組み込まれてしまい、その身の魔力を搾り取られて、もはや正常な思考もできなくなりつつも、ただひたすらま○かちゃんの名前を呼び続ける、デビほ○ちゃんでありましたとさ♡」


メリーさん太「──酷い、酷すぎる! 悪魔の純情なる恋心を利用するなんて、『おガ○様』たちときたら、どこまで人非人ひとでなしなの⁉」


ちょい悪令嬢「……いやあ、これってけしてネタバレでも何でも無く、場合によってはオリジナル作品の一場面として使用可能とすら思われる、120%本作の作者の妄想なんだけどさあ、本当にあり得そうなところが、怖いよね?」


メリーさん太「しかし、何でデビほ○ちゃんなの? 莫大なる力を利用したいのなら、アルま○ちゃんでもいいじゃない?」


ちょい悪令嬢「アルま○ちゃんは、自分の力は世界のみんなのために使うべきだと決意しているから、どんな甘言や脅しにも屈しないと思われるけど、デビほ○ちゃんのほうだったら、ま○かちゃんさえ引き合いに出せば、結構易々と思いのままにできそうじゃん?」


メリーさん太「──うん、大抵の『ま○マギ』ファンも、同意見だろうな!」


ちょい悪令嬢「とはいえ、実はそれだけでは無くて、今回『マギ○コ』の再配信を見ていて、気になったことがあったのよ」


メリーさん太「へ? 気になったこと、って……」




ちょい悪令嬢「第1話における、何かと話題の『黒○さん』のことよ。あの子ってばよく見ると、黒い髪に紫の瞳と、まさにその二つのカラーリング主体メインのコスチュームだなんて、まんまほ○らちゃんと、そっくりそのままじゃないの?」




メリーさん太「──ああっ、そ、そういえば⁉」




ちょい悪令嬢「あの『ま○マギ』シリーズにおいては、『単なる偶然』と考えるには、ちょっと無理があるよね?」


メリーさん太「……確かに、第1話と最終話にしか登場しなかったとはいえ、主人公の友人ポジションにいたのだから、どうしてもま○かちゃんにとってのほ○らちゃんを連想してしまうわよね」


ちょい悪令嬢「実際、原作のソシャゲ版においては、いかにも黒○さんを彷彿とさせる、『黒羽○(匿名希望)』というキャラが登場していて、モブであるはずの『黒羽○』のくせに、サイドイベントである『魔法少女ストーリー』において、何とメガほ○ちゃんと友情を育むという、驚きの役割を演じるのよ!」


メリーさん太「……そうなると、第1話における、黒○さんの『すでに別れてしまった想い人』ってのが、俄然気になってくるよな」


ちょい悪令嬢「あの時の会話の流れからして、普通に『男性』かと思われたけど、実は『女性』だったりしてね☆」


メリーさん太「さすがは、『魔法少女のための夢のかご』神○市! 別名、『スーパークソレ○シティ』!」




ちょい悪令嬢「まあ、そういう意味も含めまして、『マギ○コ』アニメ版には、少なからず『ま○マギ』本編にも関わってくる、いろいろな伏線が仕込まれておりますので、『ま○マギ原理主義者』の皆様におかれましても、けして『食わず嫌い』なぞなされずに、この機会に是非ともご視聴なされることを、強くお勧めいたしますわ♡」




メリーさん太「何せ、今回全13話を無料で一気見できるのは、今夜が唯一最後のチャンスですからね、少々時間がかかってしまいますが、午前0時から見始めれば、朝の6時頃に見終えることができますので、『我こそは真のアニオタ』と自認なされている方は、こぞってチャレンジしてみてくださいませ♡」

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