第461話、わたくし、オキナワの『狼』少年、ですの。(その19)

「このように、偶然に頼ること無く、意図的にいつでもどこでも、自分や他者を集合的無意識とアクセスさせて、他の世界の存在ジンブツの『記憶や知識』をインストールすることによって、事実上の異世界転生を実現することが、いわゆる『上位のアクセス権』の基本中の基本なのでございます」




「この段階ですでに、普通の異世界人に現代日本人の『記憶や知識』をインストールさせることによって、『日本人としての前世の記憶』及び『現代日本の最先端の知識』を有した、あくまでも生粋の異世界人でありながら、まさしく『なろう系の主人公』そのままに、現代日本の知識を最大限に駆使して、『NAISEI』や『現代兵器の開発』等を行っていき、『なろう系』Web作品のかなりのパターンを実現できることになります」




「更には先程も述べましたように、最初からチートスキルを仕込んでいるホムンクルスやゴーレム等のいわゆる『人造人間』を、錬金術でこしらえておいて、その人造の脳みそに『集合的無意識との上位のアクセス権』により、現代日本人の『記憶と知識』をインストールすることによって、自分のことを人造人間では無く、現代日本人が転生した生粋の異世界の人間と思い込ませつつ、まさしく『なろう系』Web小説そのままに、チートスキルすらも存分に使いこなせる、『転生主人公』の出来上がりという次第なのです」




「これにて『なろう系』作品のうち、『異世界転』パターンはほぼすべてカバーできたかと存じますが、実は何とこの『集合的無意識との上位のアクセス権』を使えば、ほぼ同じやり方によって、『異世界転』についても、ほぼすべてのパターンを実現できるのでございます」




「それと言うのも、『集合的無意識との上位のアクセス権』は、自分自身の肉体や、周囲の物質や、果てはありとあらゆる物質──すなわち、をも、改変させることができるのですから」




「例えば、チートスキルを有するホムンクルスに、現代日本人の『記憶と知識』だけでは無く、やはりありとあらゆる世界のありとあらゆる情報が存在している集合的無意識を通じて、本人の『形態情報』をもインストールすることによって、ホムンクルスの肉体自体を現代人の姿へと変化メタモルフォーゼさせて、事実上の『チートスキル付きの異世界転』を実現するというわけなのです」




「何せ本人に、現在の自分の身体がホムンクルスやゴーレム等できていることを伝えなければ、自分の肉体そのままで現代日本から移動してきたように錯誤させることも、それほど困難ではありませんしね。チートスキル等を付与されていることも、『なろう系ではありがちなこと』と、のんきに納得してもらえそうだし、まさしく『なろう系様々』ですよwww」




「ただしそのためには、そもそも『受け皿』であるホムンクルスを、ファンタジーワールドならではに、クトゥルフ神話で名高き不定形暗黒生物『ショゴス』によって、構成しておく必要があります。何せ普通の人間の肉体に別の存在の形態情報をインストールしたところで、『集合的無意識とのアクセス権』が無ければ、転生者そのものの肉体に変化メタモルフォーゼさせることはできませんからね」




「──そうなのです、つまり逆に言えば、『最上位級のアクセス権』さえ持っていれば、あらかじめショゴスで形成された『受け皿』を用意しておく必要も無く、あらゆる物質をショゴスそのままに意のままに変化メタモルフォーゼさせることができるのです!」




「なぜなら、そもそもショゴスとは、本来ならミクロレベルでしか許されないはずの、万物の物理量の最小単位である量子ならではの、無限の形態情報の重複状態──すなわち前述の『重ね合わせ状態』を、我々が普通に活動している日常的空間であるマクロレベルにおいて実現しているからこそ、ありとあらゆる物体へと変化メタモルフォーゼできるわけで、つまりはショゴスとは、『重ね合わせ状態の量子』そのものなのであり、よって量子によって構成されている万物は、ショゴス同様の変化メタモルフォーゼ能力を秘めていることになり、『集合的無意識との最上位のアクセス権』を有していれば、すべての物質を『ショゴス状態=無限の形態情報の重ね合わせ状態』にすることによって、ありとあらゆる物質を意のままに変化メタモルフォーゼさせることができるようになるのですよ」




「『すべての物質は、クトゥルフの不定形暗黒生物ショゴスによって構成されているようなものである』とか言うと、いかにも『頭の狂ったたわ言』とでも見なされがちですけど、万物とはそもそも『変化し続けるもの』なのであり、むしろ至極当然なことを述べているだけなのです」




「何せ、今この瞬間にも成長や老化をしていない生物なぞ存在し得ず、石ころや工業製品等の無機物ですら、『経年変化』をしているし、そもそも世界そのものが、時間の推移に合わせて変わり続けていることに対して、異論を唱える方はおられないでしょう」




「この『変化メタモルフォーゼ』の過程をより具体的かつ詳細に述べますと、『集合的無意識との最上位級のアクセス権』によって、対象の物質にショゴスの形態情報をインストール──つまりは、構成するすべての量子を『重ね合わせアクティブ』状態化をさせて、『今ならあらゆる物質に変化メタモルフォーゼOKッス!』となっているところに、目標とする物質の形態情報を同じく集合的無意識からインストールすることで、その物質へと変化メタモルフォーゼさせるといった寸法なのでございます」




「実はこれこそが、私のような軍艦擬人化少女を現実のものとしている、『技術』あるいは『量子論的魔法』とも呼ぶべきものなのであって、私たちが何も無い空間からいきなり大砲や機銃等の軍艦の武装を展開する際も、周囲の大気等の形態情報を集合的無意識を介してショゴスの形態情報に書き換えることで、『重ね合わせ状態アクティブ化』させた後に、続けて『戦艦大和』の兵装の形態情報をインストールすることによって実現するとともに、弾薬等についても適宜空気等を変化メタモルフォーゼさせることによって、無限に補充することを可能としているのです」




「これが『中つ国』のオークの皆さんのほうの話になると、更に複雑になって、異世界側の召喚術士等に『集合的無意識との最上位級のアクセス権』があるものと思われて、彼らによって少なくとも『集合的無意識との上位以上のアクセス権』を有するオークに、集合的無意識を介して、『当該中つ国のオークとしてのの記憶と知識』をインストールすることによって、そのオークに事実上、現代日本に異世界転生した経験を有するようにさせているのでございます」




「何せ何度も何度も申しましております通り、あくまでも可能性の上の話とはいえ、世界と言うものは『あらゆるパターン』が存在し得るのですから、今申しました、『異世界の中つ国のオークとしての前世を持つ現代日本人』が存在する可能性はけして否定できなくなり、(文字通り並行世界パラレルワールド的に)無数に存在する『現代日本』のうちには、『オークが異世界転生してきた』パターンの世界があり得ることになり、『集合的無意識との最上級のアクセス権』を有する召喚術士による、『尖兵としてのオークの現代日本への転送』大作戦は、必ず成功することになるのです」




「しかもそのオーク自身も『集合的無意識との上級以上のアクセス権』を有しておりますので、たとえ転生した肉体が普通の日本人のものであっても、集合的無意識を介してショゴスの形態情報をインストールして『重ね合わせ状態アクティブ化』させて、その後引き続いてオークの形態情報をインストールすることによって、異世界の時の自分自身と同様に、オークの肉体へと変化メタモルフォーゼさせることすら可能なのですよ」




「この特殊な召喚術を異世界側で、一気に大勢のオークに施すことによって、今回沖縄に対して行われたような、『オークの先遣部隊の派兵』なんてものだって為し得るし、更にはまさにその『上位のアクセス権を有する転生オーク』によって、多数の日本人や他の東アジアの人々に対して、集合的無意識を介して異世界人の『記憶と知識』をインストールすることで、『洗脳』さながらに異世界人のシンパに仕立て上げることすら実現できるのです」

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