第367話、わたくし、チート転生勇者って、魔法少女そのものだと思いますの。【解説編・後編】

メリーさん太「……やれやれ、本作を始めとして作者の各著作において、散々言ってきたじゃないの、異世界転生系Web小説の主人公たちは、実際には異世界転生なぞ、ただ単に、ありとあらゆる世界のありとあらゆる時代のありとあらゆる存在の『記憶と知識』が集まってくるとされている、いわゆる『集合的無意識』を介して、現代日本人の『記憶と知識』を、己の脳みそにインストールしているだけだって」


ちょい悪令嬢「──あっ」




メリーさん太「これについては、『マギ○コ』の主人公の少女も同様で、少なくともアニメ第一話の開始時点においては、元々彼女には、何かの拍子に集合的無意識にアクセスをしたことによって、別の世界の『妹がいる自分』の記憶に触れることになってしまっただけの話なのよ」




ちょい悪令嬢「ええっ、アニメ版の主人公には、元々妹なんかいなかったですってえ⁉」


メリーさん太「ただし、何度も何度も言うけど、原作ゲームの解釈とは違うわよ? これはあくまでも、完全に『現実性リアリティを優先』した場合における見解なの」


ちょい悪令嬢「……なるほど、現実性リアリティを優先すれば、むしろ例の『白いインキュベーター』の言っていることが、最も正しいことになるのか」


メリーさん太「正しいと言っても、あの陰獣野郎が邪悪な存在であることは、間違いないんだけどね」


ちょい悪令嬢「あ、やっぱりそうなんだ」


メリーさん太「あのインキュベーターやその上位存在である『大宇宙の意志』とやらが、どれ程の超常の力を有しているのか知らないけど、どこぞの『全世界で一千万部突破の神様少女ラノベ』でもあるまいし、世界を改変することなんて絶対に不可能なんだから、最初から、魔女はわんさかといるけど病気の妹なんかはいない世界で暮らしている、一人っ子の女の子に対して、集合的無意識と中途半端にアクセスさせて、『……実は私は、「いないはずの妹」の病気を治してもらうことを引き換えにして、魔法少女になったのかも知れない』などと言う、『偽りの記憶』を植え付けて、実質的には『ただ働き』で、魔女退治をやらせているって次第なの」


ちょい悪令嬢「……うわあ、ほんと悪質だな、あの陰獣って⁉ それにしても、某ラノベにおいては『何でもアリ』だった『大宇宙の意志w』であっても、世界の改変なんて、絶対に不可能なわけなの?」




メリーさん太「これまで本作等において何度も何度も口を酸っぱくして言ってきたけど、現代物理学の中核をなす量子論や、集合的無意識に代表されるユング心理学に基づけば、世界と言うものは、完璧なる現実世界である現代日本は言うに及ばず、ありとあらゆる世界において、何らかの『改変』を加えることなんて、絶対に不可能なの。──なぜなら、世界と言うものはありとあらゆるタイプのものが、のだから、当然のごとく、ある世界の『改変後の世界』も最初から存在しているので、改変する意味自体がまったく無いの」




ちょい悪令嬢「……ああ、それって本作の作者の諸作品における、根本原理の一つだったっけ?」


メリーさん太「更に加えて、『世界とは一瞬だけの停止した時点に過ぎない』理論からすれば、世界と言うものは一瞬の時点のみに『固定されている』から、変更を加えることなんて、そもそも原理的に不可能なのよ」


ちょい悪令嬢「ああ、うん、それも耳にたこができるくらい、しつこく聞かされてきたわ」




メリーさん太「そうなると、前々回の【実践編】に登場した(うさんくさい)女神様や、例の白く邪悪なインキュベーターは、どのようにして、世界を改変しなければとても実現不可能かと思われる、何かと過剰に夢見がちな思春期の少女たちの願いを叶えているかと言うと、先程から幾度となく述べているように、『最初から少女たちの願い通りに改変されている世界』へと、異世界転生させているわけなの。──どうよ、これによってまさしく、『魔法少女=転生(勇)者』論が、更に確固として実証されたでしょう?」




ちょい悪令嬢「……う〜ん、ここまで明確に理論付けされてしまえば、魔法少女なんていう超常なる存在が、現実世界とは別の世界──つまりは、『異世界』においてしか存在し得ないことは、確かに否定できないかあ」


メリーさん太「特に、元祖の『まど○ギ』の主要キャラの一人である、某『キマシタワー』系魔法少女の固有能力が『時間操作』であるからして、これまでも『ループ』そのままなことを繰り返していたことが周知されているゆえに、現在絶賛放映中の某外伝『魔法少女アニメ』を、『まど○ギの並行世界パラレルワールド的なもの』と捉えている向きも多いけど、実は『大正解』だったりするの」


ちょい悪令嬢「──っ。つまりは、『まど○ギ』シリーズは、けして単一の世界ではなく、ある意味『無数の世界の集合体』のようなものなわけなの⁉」


メリーさん太「これについては、以前本作において、『小説内に描かれている世界も、世界としては本物である』と言うことを説明した時に、詳しく述べたでしょう? 小説の作成に当たっては、当然のごとく内容を幾度となく加筆修正しながら完成させていくことになるけど、そのつど対応する世界が改変されているわけではなく、対応する世界自体が別の世界に切り替わっているのであり、そう言う意味から小説とは、『無数の世界の集合体』のようなものとも言えて、それは小説同様に創作物であり、しかも元祖のアニメ作品以外にも、ゲームやマンガ等の多角的な展開が行われている、『まど○ギ』シリーズにおいても同様なのよ」


ちょい悪令嬢「……はあ、良くオタク系評論家の論説として、『受け取る人間の数だけ、別々の「まど○ギ」が存在する』なんて言われているけど、そもそも『まど○ギ』世界そのものが、無限にあるようなものなんだから、当然のことでしかなかったんだあ」




メリーさん太「そうそう、さっきも言ったように、世界というものはあらゆるタイプのものが、最初からすべて存在しているのだから、元祖の『まど○ギ』も、外伝の『マギ○コ』も、『ほむ○む』がこれまで経験してきた無数の『別の時間軸の世界』も、そのすべてが量子論で言うところの、『別の可能性の世界』──いわゆる『多世界』なのであり、Web小説で言うところの、『異世界』そのものであって、異世界(転生)を司る女神様なら、前々回例に取り上げたように、『妹の不治の病を治したい少女』を、『最初から妹が健康な世界』に異世界転生させることによって、本来は叶えることができないはずの『願い』を、叶えてやれるってわけなのよ」




ちょい悪令嬢「そうすると、某『劇場版』においては、ま○かちゃんが存在しない反面、何とマ○さんが生き返っていたのも、別に世界そのものを改変したわけではなく、元々そういったキャラ配置の『異世界』だっただけの話なのね?」




メリーさん太「どうやら、ご理解いただけたようね。とにかく、以上に述べた諸々の論拠に基づけば、魔法なんかで現実世界のことわりをねじ曲げようとする『魔法少女アニメ』とは、異世界転生系Web小説そのまんまと言えるのと同時に、魔法少女自身についても、チート転生勇者そのものであることが、読者の皆々様におかれましても、十分おわかりになられたことでしょう♡」

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