第366話、わたくし、チート転生勇者って、魔法少女そのものだと思いますの。【解説編・前編】
メリーさん太「──うふふふふ、どうよ、思い知ったかしら?」
ちょい悪令嬢「……思い知ったかって、何を突然言い出しているのよ、『メリーさん太』さん?」
メリーさん太「もちろん前回の、『わたくし、チート転生勇者って、魔法少女みたいだと思いますの。【実践編】』のことよ!」
ちょい悪令嬢「……ああ、あの唐突極まる、得意の『妄言垂れ流し』エピソードのこと? それがどうしたって言うの?」
メリーさん太「も、妄言じゃないし! だからさあ、あれって基本的な展開としては、例の某『魔法少女アニメ』、そのまんまじゃないの?」
ちょい悪令嬢「えっ、前回のって、むしろ『異世界転生』作品のテンプレじゃなかったっけ?」
メリーさん太「もちろんそうだけど、ようく部分部分を細かく検証してみなさいよ。『チート勇者の潜在能力を秘めている、非常に有望な少女』に、『それに目をつけて、異世界転生を勧めてくる女神様』に、『その見返りとして、何でも一つだけ願いを叶えてくれる契約』に、『それに対して、不治の病の妹の快復を要求する』に、『女神の支配している異世界に転生して、邪悪なる魔女たちと闘う』に、『そのために、人ならざるチート能力に目覚める』とくれば、まさしく『まど○ギ』や『マギ○コ』の基本設定以外の何物でも無いでしょうが?」
ちょい悪令嬢「──ほんとだ? すごい! これぞ『箇条書きマジック』⁉」
メリーさん太「しかもそれでいて、あなたの言う通り『フォーマット』のほうは、完全に異世界転生系Web作品の、『お約束』そのものでもあるわけだしね」
ちょい悪令嬢「……ということは、つまり、チート転生勇者って、魔法少女だった──というわけなの⁉」
メリーさん太「
ちょい悪令嬢「い、いや、でも、こうして『魔法少女』と『勇者』とを、なぞらえるようなエピソードを作成することによって、むしろ『根本的な違い』こそを、浮き彫りにしたとも言えるんじゃないの?」
メリーさん太「ほう、根本的な違い、とは?」
ちょい悪令嬢「当然、『異世界転生』よ! 前回のエピソードにおいても、『勇者少女にとって、「病気が快復した妹」が、「異世界の妹」なのか「現代日本の妹」なのか』こそが、最大の争点になっていたじゃないの⁉」
メリーさん太「──おおっ! さすがは本作の主人公、いいところ突くじゃないの! そうなのよ、『異世界転生』こそが、今回の解説編の最重要事項であり、実は『魔法少女』モノの、根幹をなすものとも言えるのよ!」
ちょい悪令嬢「へ? 異世界転生が、魔法少女モノの根幹をなす、って……」
メリーさん太「実はすべての魔法少女作品は、その本質として、異世界転生モノだったの!」
ちょい悪令嬢「はあああああああああああ⁉ ちょっと待って! むしろ、逆じゃないの⁉」
メリーさん太「逆、とは?」
ちょい悪令嬢「だから、前回のエピソード的にも、いかにもテンプレな『異世界転生モノ』の導入部が、最近話題の『魔法少女アニメ』そのまんまってことだったじゃないの? 他にも本作ですでに取り上げたように、軍艦擬人化美少女は異世界に転生させることによってこそ、より活躍させることができるけど、それは何よりも彼女たちが、『魔法的な存在』──すなわち、魔法少女みたいなものだからって、話だったでしょうが⁉」
メリーさん太「うん、そうね、その認識で、間違ってないわ」
ちょい悪令嬢「だったら!」
メリーさん太「でもねえ、この世には、『逆もまた真なり』って、言葉もあるのよねえ」
ちょい悪令嬢「──っ」
メリーさん太「そもそもねえ、現代日本のような、いわゆる『完全なる現実世界』において、『魔法少女が魔法を使って邪悪なる魔女を退治する』なんてことは、絶対に実現できっこないのよ? ──各魔法少女作品の制作者の皆様は、『物理法則』というものを、お忘れなのではなくって?」
ちょい悪令嬢「──だからどうして、むやみやたらと全方面にケンカを売ろうとするのよ⁉ そもそも『まど○ギ』なんかにおいても、魔女と戦うために魔法を使うシーンは、『結界』が構築されたりして、現実世界と──すなわち『物理法則』と、隔離されているでしょうが⁉」
メリーさん太「そう、現実世界からの逸脱──それってまさに、『異世界転生』の一種、とは思わない?」
ちょい悪令嬢「──なっ⁉」
メリーさん太「考えてみれば、魔法なんかを自由自在に使えたり、どんな願いでも叶えられたりすることが、物理法則によって支配されている現実世界において、実現されるはずがなかったのよ。実は魔法少女は、普段のただの女の子から魔法少女に変身するごとに──あるいは、最初に魔法少女となる契約を結んだ時点において、『魔法少女が普通に存在していてもおかしくない異世界』に、転生していたのよ。何せ、Web小説でお馴染みの異世界こそが、剣と魔法のファンタジーワールドの代名詞であり、魔法少女や魔女が存在していようが、どんな願いが叶えられようが、不都合は微塵もあり得ないのですからね」
ちょい悪令嬢「……え、ちょっと待って、魔法少女としての契約を結んだ時点で、異世界転生をしていた、ですって?」
メリーさん太「前回の【実践編】においても
ちょい悪令嬢「た、確かに! これでは、反論、できないッ………………いや、待てよ、ようく考えてみると、反論、
メリーさん太「……おや、あたしの完璧な理論に、反論ですと? ほうほう、一体どういった点においてですかな?」
ちょい悪令嬢「むしろ、一目瞭然でしょう? 転生勇者のほうは、ある意味魔法少女のようなものとも言えるかも知れないけど、魔法少女のほうは、とても転生勇者であるとは言えないでしょうが? ──だってそもそも、すべての魔法少女作品において、
メリーさん太「──だったら、元祖『まど○ギ』における、『ほむ○む』さんは、どうなんでしょうねえ?」
ちょい悪令嬢「──参りましたああああああ! 降参ですうううううう!」
メリーさん太「うん、あたしが言うのも何だけど、異世界と言うとすぐに、『剣と魔法のファンタジーワールド』の類いだと決めつけがちだけど、文字通り『現代日本とは
ちょい悪令嬢「た、確かに、『ほむ○む』さんがこれまで無数に経験してきた『別の時間軸の世界』なんかも、いわゆる『
メリーさん太「それは『マギ○コ』の冒頭シーンも同様で、実は主人公の少女は、魔法少女になることの代償として、『病気の妹なんか、初めから存在していなかった世界』へと、異世界転生させられているってわけなのよ(※ネタバレになるから詳しくは述べませんが、原作ゲームにおいては違う解釈となっております)」
ちょい悪令嬢「え、でも、『マギ○コ』の場合は、主人公を始めとする関係者全員の記憶から、『妹の存在』をそっくりそのまま抹消しただけじゃないの? そもそも本作における、『唯一絶対の現実的な世界の改変』の仕方って、まさしく『記憶操作』によるものだったはずだし」
メリーさん太「その場合、役所とかに保管されている『戸籍謄本』とかには、妹さんの情報が記載されたままになるけど?」
ちょい悪令嬢「あ、あれ? ──そうか、この『完全に現実的な記憶操作』方式では、物理的な改変がまったく行われないので、『物的証拠』のほうはすべて残ってしまうんだったっけ⁉」
メリーさん太「うん、戸籍謄本どころか、家の表札には名前が書かれたままになるし、写真から姿が消えたりもしないし、姉妹二人で一つの部屋の中にも、ちゃんと私物が残っていたりするはずよ?」
ちょい悪令嬢「だったら、駄目じゃん! 『マギ○コ』は一体どうやって、『妹』の存在を完全に抹消できたわけ⁉」
メリーさん太「ほら、今回(第2話)において、例の『白いインキュベーター』が言っていたじゃないの、『──この世から一人の人間の痕跡を完全に消し去ることなんて、ほとんど不可能であり、むしろ君は、「自分に妹がいたという偽りの記憶」を、与えられただけじゃないのかな?』って」
ちょい悪令嬢「……うわあ、いかにもあの陰獣が言いそうな、『ミスリード』だこと」
メリーさん太「ところがどっこい、確かに原作ゲーム的には間違い(というか、故意の大嘘?)であるものの、まさにQべえが言ったことは、リアリティ的には大正解であり、しかも『異世界転生』の本質を突いていたりするの♡」
ちょい悪令嬢「──ええっ、あのおためごかしそのままの台詞が、異世界転生の本質そのものですってえ⁉」
メリーさん太「……少々字数がオーバーしてしまいましたから、続きは次回にさせていただきますので、どうぞご了承ください」
ちょい悪令嬢「こんないいところで次話回しとは、焦らし上手なことねえ……」
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