第368話、わたくし、たとえ【外伝】であろうと、その登場人物たちにとっては、唯一の【正伝】だと思いますの。(前編)

ちょい悪令嬢「……いや、ちょっと待ってくださいよ、『メリーさん太』さん」


メリーさん太「おや、どういたしました、『ちょい悪令嬢』さん?」


ちょい悪令嬢「その、前回までの、『実は魔法少女アニメというものは、作品自体が丸ごと異世界転生しているようなものなのだ』という、トンデモ理論のことなんですけど」


メリーさん太「──ちょっと、トンデモ理論は、言い過ぎなの!」




ちょい悪令嬢「でもさあ、何かいかにも詭弁と極論によって、誤魔化されたような気もするんだけどねえ?」




メリーさん太「……ほう、今度は言うに事欠いて、詭弁と極論とな? 一体、どの辺が?」


ちょい悪令嬢「もちろん、『魔法少女アニメ』そのものが、現実世界から異世界へと場所を移すことで初めて、『すべてが始まる』という、もはやメタそのままな『世界の複数存在説』──いわゆる、『多世界解釈量子論の、魔法少女アニメへの導入』ですよ!」


メリーさん太「は? 今更? あれだけ数回にわたって、詳細に述べてきたのに? しかもそれって、本作の理論背景において、最も根幹をなすものじゃないの」


ちょい悪令嬢「──そうは言っても、どうしても違和感を拭えないんですよ! 本作第365話の【実践編】といい、某『魔法少女アニメ』に対する考証といい、複数の世界を一つの舞台として捉えれば、それほど問題を感じないんですが、『メリーさん太』さんご自身が述べられたように、いわゆる『最終舞台』としての異世界単独で考えると、非常に納得できない点があるのですよ!」


メリーさん太「ふうん、『違和感がある』から『納得できない』、ねえ………具体的には?」




ちょい悪令嬢「例えば【実践編】だったら、実のところは、女神様が勇者の素質のある女の子を見つけただけの話であって、『現代日本の妹の記憶』なんて、最初からまったく関係無いし、同様に某『魔法少女アニメ』の本作における考証においても、『最初から妹なんていない女の子』を魔法少女にするのに、『存在してもいない妹の記憶』を与えるなんて、どう考えても不自然じゃないの?」




メリーさん太「──っ。な、何ですってえ⁉」


ちょい悪令嬢「ふふん、どうよ、まったくの正論でしょう?」


メリーさん太「……う、うん、ちょっと驚いちゃった。まさかあなたがいきなり、『正論』なんか言い出したんだもの」


ちょい悪令嬢「ちょっと、何よ、その言い方は? わたくしのことを馬鹿にしているの⁉」




メリーさん太「いえいえ、そんなことは無いわw ──むしろ、『大正解』であることに、びっくりしているくらいなんだから♫」




ちょい悪令嬢「はあ?」


メリーさん太「実際、『違和感』を覚えて当たり前なのよ。特にあの【実践編】なんかは、解説をするための『サンプル』に過ぎないのだからね」


ちょい悪令嬢「……解説って、何の解説よ?」


メリーさん太「もちろん某『魔法少女アニメ』において、原作ゲームでは思い違いかミスリードであるはずの、『キュゥ○エのおためごかしの台詞』こそが、現実的にも異世界転生Web小説的にも、まったくもってド正論と言うことのよ」


ちょい悪令嬢「ああ、あれか。ふうん、あれこそが、わたくしの違和感の正体ってわけ?」




メリーさん太「そりゃあ、違和感も覚えるでしょうよ。今言った通り、『最初から妹がいない世界のほうが正しい』と言うのは、原作ゲームの設定とは異なっているんだし、しかも本作の【実践編】に至っては、最初から間違っている世界観をあえて、『正しいもの』として証明しようとしたのですからねえ」




ちょい悪令嬢「うんそれなら、わたくしが違和感を覚えて、大正解だったわ!」




メリーさん太「言ってみれば、両方共初めから『答え有りき』で、逆算的に整合性をつけようとしているために、『強引』というか『こじつけ』臭いところがあるのは、どうしても否めないのよ」


ちょい悪令嬢「ああ、そうそう、そんな感じ!」




メリーさん太「現実世界から一人の人間の痕跡を、物理的にも精神的にもすべて抹消するなんて、確かに絶対に不可能と言えるんで、何らかの『小細工』が必要になるんだけど、あなたが言ったように、『どうしてそんなことをしたの?』と言われてしまえば、困ってしまうわけで、やはりどう考えても、最初から妹がいない人物に、『妹がいたかのような偽りの記憶』を与える必要性なんて、感じられないわよね?」




ちょい悪令嬢「……つまり、結局のところ、当の『魔法少女アニメ』のストーリー展開のほうが、正しかったというわけ?(※ネタバレになりますので詳しくは述べませんが、アニメの原作に当たるゲームでは、本作における考証とは違った結末となっております)」


メリーさん太「現実性リアリティを、度外視すればね」


ちょい悪令嬢「……そうか、そもそも現実性リアリティを維持するための『考証こじつけ』だったっけ? ──それで、あなたがこれに『整合性』を付けるとなると、どうなるわけ?」


メリーさん太「言ってみれば、ペテン?」


ちょい悪令嬢「なっ⁉ ぺ、ペテンて」




メリーさん太「本作の【実践編】で言えば、生粋の異世界人として生まれた女の子が、チート勇者の素質を持っていて、どうしても手駒にしたかった『女神様』が、『実はあなたは現代日本から、妹の病気を治すことと引き換えに、女神である私の力でこの世界に転生してきたのだから、この世界の邪悪な魔女たちを倒すために、勇者にならなければならないのですよ♡』と言いくるめるとともに、集合的無意識とアクセスさせて、『偽りの現代日本の妹の記憶』を与えたってわけよ」




ちょい悪令嬢「うわっ、ほんとにペテンだ! 何て汚い女神様なの⁉ むしろ魔女なんかよりも邪悪じゃん!」


メリーさん太「もちろんこれは、『魔法少女アニメ』においても同様なの」


ちょい悪令嬢「え? 例の『魔法少女アニメ』で、そんなペテンなんかやっていたっけ」


メリーさん太「これは外伝の『マギ○コ』よりも、元祖の『まど○ギ』のほうがわかりやすいと思うけど、まさに『ま○か』ちゃんて、むちゃくちゃ魔法少女の適性が高かったものだから、キュゥ○エは何としてもスカウトしようとしていたじゃないの?」


ちょい悪令嬢「おお、言われてみれば! あの陰獣に言わせると、宇宙そのものの運命すらもかかっていたそうだし、そりゃあ『偽物の記憶』を与えてペテンにかけてでも、なりふり構わず魔法少女にしようとしても、おかしくは無いよね!」


メリーさん太「同様に、もしも『い○は』ちゃんが、『マギ○コ』世界の運命を担うような存在であれば、『本当はいないはずの妹の偽りの記憶』を与えて、無理やり魔法少女にして、自分の支配コントロール下に置こうとするのも、当然なことでしょうねえ」


ちょい悪令嬢「ああ、うん、原作ゲームにおいては、そこら辺のところがはっきりしていないんだけど、元祖の『まど○ギ』同様にキュゥ○エが暗躍しているとなると、そういったパターンもあり得るかもね」


メリーさん太「そもそも、世界を転移させたり、繰り返させたりするなどと言った、文字通りの『外法のわざ』を使おうとするのは、どうしても手に入れたい人や物があるからなのよ?」


ちょい悪令嬢「……どうしても手に入れたい、人や物、って」


メリーさん太「元祖『まど○ギ』で言えば、『ほむ○む』にとっての『ま○か』よ」


ちょい悪令嬢「うん、やっていたやっていた、あの『ガチレズ』JC。何とかして自分の理想通りの『ま○か』ちゃんを手に入れるために、無限のループを」


メリーさん太「おいこら、そこは『どうにかしてま○かを救うため』とか、ちゃんとオブラートに包むべきなの!」


ちょい悪令嬢「『ほむ○む』は、今更オブラートに包もうとしても、手遅れでは?」


メリーさん太「……それは否定できないけど、この作品だって、他人様のことは言えないのよ?」


ちょい悪令嬢「へ?」




メリーさん太「他ならぬあなたが、知っていないでどうするのよ? そもそもこの【魔法令嬢編】自体が、聖レーン転生教団による『実験場』みたいなものであって、『完璧なる海底の魔女セイレーン』を手に入れるために、あなたを『の巫女姫』として覚醒させようと、魔法令嬢『ブラックホーリープリンセス』ことアグネスちゃんを始めとする教団の手先を、何度もあなたに接触させていたことよ」

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