第282話、わたくし、【ジェット機初飛行80周年】の今こそ、プロペラ機を再評価いたしますの。(その1)
『──こちら、ワルキユーレ1、状況を報告しろ!』
『──こちら、ワルキユーレ2、
「──こちら、ワルキユーレ3、
その時
その日も魔導大陸沿岸部を、哨戒任務を兼ねての訓練飛行を行っていたところ、何と
「……信じられない、このジェット機全盛時代に、よもやプロペラ機で、領空侵犯を行うなんて」
『「ワルキューレ隊」も舐められたもんやな、「
『──おいっ、ワルキューレ2及びワルキューレ3、報告は正確にしろ! そのプロペラ機の外見について、簡潔に述べよ!』
……いけね、怒られちゃった。
でもここは、リーダーの『ワルキューレ1』のヨウコちゃんの言う通りだ、これじゃ『先行任務』失格である。
「──こちらワルキューレ3、視認情報を報告する!
『──
「え、ええ、おそらくは我々ジェット機部隊からどうにかして逃れようと、必死に速度を振り絞っていて、そのうちエンジンがオーバーヒートするものと、思われるけど……」
『──それは、旧ソビエト空軍の、
ぷ、プロペラ機が、時速900キロメートルを出せるって、そんなまさか⁉
「──ワルキューレ3、全速前進!」
『──続いて、ワルキューレ2、全速前進!』
ヨウコちゃんの言葉にはいまだ半信半疑ながらも、慌ててスロットルレバーを全開にしたものの、計器の針が時速900キロメートルを上回っているというのに、なかなか『
「……な、何でプロペラ機が、時速900キロメートルも出せるのよ⁉ 本体よりも先にプロペラの先端が音速を超えてしまって、回転効率が急速に低下してしまうから、基本的に時速800キロメートル以上は出せないというのが、定説でしょうが⁉」
『こちらワルキューレ2、
……そ、そういえば。
『だったら、どうしてあんなに、スピードが出るわけ⁉』
『こちらワルキューレ1、Tu−95はプロペラ機といえども、レシプロタイプに非ず! ターボプロップ機──すなわち、ジェット駆動タイプだ! 推進力はプロペラそのものと言うよりも、むしろタービン
何、ですって⁉
まさに、その時──
「──うっ、突然めまいが⁉」
『──こ、こっちもや⁉』
なぜかいきなり、乗機のジェット機のほうではなく、あたかも自分自身がガス欠になったかのように、ごっそりと体力が抜け落ちてしまう。
しかもそんな
『こちら、ワルキューレ1! 無理はするな! おそらくHe162のラムジェットエンジンの冷却のために、
……くっ、あともう一歩といった、ところだったのに。
しかし、ヨウコちゃんの言う通り、無理はできなかった。
「……おのれ、まさかプロペラ機なんぞに、出し抜かれるとは⁉」
『仕方なかろう、「あちらの世界」においてもいまだ現役で、つい最近もロシア軍所属のTu−95が、かの有名な「
……どうして、れっきとした日本の固有の領土の空域が侵犯されたのに、よその国がスクランブルをかけるのよ⁉
「
『それこそ、「まさか」だよ、このようなふざけた真似なぞ、二度と許すわけがないだろうが? 心配するな、ちゃんと策は練ってある。どうしてわざわざ二回も、【He280特集】を組んだと思うんだ?』
……へ? 何でここで、『He280』の名前が出てくるのよ?
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