第190話、【GW特別編】わたくし、悪役令嬢ワリーさん、今異世界にいるの。(その9)
「ようく思い返してご覧なさい、アルテミス嬢の語った(つうか、騙った?)、『
「え? 言葉足らず、って……」
──いよいよ長きにわたったゴールデンウィークも、本日で最終日。
『今現在すでに異世界転生している、もう一人の私自身』にして、自称『悪役令嬢』のアルテミス=ツクヨミ=セレルーナから聞いた情報を基に、『世界の作者』であり『すべての黒幕』にして『諸悪の根源』なる人物を糾弾した、私こと、我が国でも一二を争う名家、
「というかですねえ、あの策士だか詐欺師だかの、自称『異世界在住の悪役令嬢』ときたら、意図的にあなたに提供する情報を、取捨選択している節があるんですよ」
「……つまりあなたは、アルテミスが故意に情報操作をすることで、私を騙していたと言うの?」
「騙すも騙さないも、彼女って、『
「え?」
「ほら、彼女ときたら何かにつけて、『「
──そ、そういえば!
「い、いやでも、小説家である『
「………………はあ〜」
「──だからあ、人のことを、いかにもあきれ果てているかのように、ため息をつくなって、言っているのよ⁉」
「確かにすべての小説には、それとそっくりそのままの世界が存在している可能性があり得ると申しましたけど、けしてある作家の創作した小説と、もしかしたらどこかに存在しているかも知れない本物の異世界とが、『一対一』の関係にあるわけではなく、よってたとえ『
──えええええええええええええええっ⁉
「何で今更、自分の言ったことを、全否定するようなことを言い出すわけ⁉」
「別に僕は、小説家が意のままに、世界を生み出したり改変できたりできるなんて、一言も言っていませんよ? ただ単に、『小説家の作成した小説はすべて、
「はあ⁉ 小説を書いているだけって──」
「だってそうでしょう? 量子論に則れば、『すべての小説は、本物の世界になる
「──うっ」
「……大体がですねえ、仮に僕に『
「──ううっ」
……そりゃ、そうよねえ。
アルテミス嬢から聞いた話はともかく、祐記自身はあくまでも、『小説を作成するごとに、それとそっくりそのままの異世界が生じる
「……あ、でも、Web作家なんかが作成した小説と、それとそっくりそのままな本物の異世界とが、『一対一』の関係に無いとは、どういうことよ? 結局小説と異世界とは、『そっくりそのまま』なの? それとも『本当のところは別物』なの?」
「うん、説明が非常に煩雑になるから、あえていちいち注釈を入れなかったけど、何度も何度も言うように、世界というものはあくまでも『一瞬のみの時点』に過ぎず、これは小説に例えれば、一冊の小説そのものと言うよりも、『ひらがな五十音』の一文字一文字が、それぞれ独立した世界のようなものであって、──すなわち、無数の文字によって構成されている小説というものは、ある意味『無数の世界の集合体』のようなものでもあるんですよ」
………え、小説が、無数の世界の集合体ですって⁉
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