第40話、わたくし、『ちょい悪令嬢』になりましたの。【作者というチート能力】についての解説コーナー。(その2)

ちょい悪令嬢「──さあ、今宵もやってまいりました、『オールナイト・全異世界』──じゃなかった、『「作者」というWeb小説史上最強のチート能力についての解説コーナー』のお時間です! わたくしこと『ちょい悪令嬢』の司会にて、いつも通りのメンバーで、いつも通りに量子魔導クォンタムマジックチャットルームより、愛を込めてお送りいたしますよ! ──それでは前回に引き続き解説役を担ってくださる、『鬼畜メガネ』さん、よろしくお願いいたします!」


鬼畜メガネ「こちらこそ、よろしく」


ちょい悪令嬢「さて、前回は極基本的なお話として、『作者』には『外なる神アウター・ライター』と『内なる神インナー・ライター』とがあって、基本的にただのWeb小説書きに過ぎない『外なる神アウター・ライター』に対して、実は小説の世界の中に存在している、『外なる神アウター・ライター』にとってはいち登場人物キャラクター』でしかないような『内なる神インナー・ライター』のほうが、精神面限定とはいえ世界そのものを改変することができるといった、まさしく『作者』ならではの絶大なるチート能力を持っているということでしたが、これらを踏まえまして、今回は一体どのようなお話を?」


鬼畜メガネ「実はまさにそのことに関するわけなんだけど、前回は極力話を簡単にするために、『外なる神アウター・ライター』と『内なる神インナー・ライター』とを、あくまでもそれぞれ独立した別々の存在のように述べたものの、話はそんな簡単なものではないんだ」


ちょい悪令嬢「ほう、と申しますと?」


鬼畜メガネ「そもそもの話、『内なる神インナー・ライター』にとっての現実世界が、『外なる神アウター・ライター』の創った小説の中の異世界そのものであるなんてことが、単なる偶然であるわけがなく、そこには何らかの『繋がりリンク』があってしかるべきだとも、考えられるんだよ」


ちょい悪令嬢「ふむ、確かに」


鬼畜メガネ「例えば、『外なる神アウター・ライター』があらかじめ自作の異世界の中に、そのものズバリの自分の分身である、『作者』のチート能力を持ったキャラを作った場合なんかが、顕著な例だろうね」


ちょい悪令嬢「なるほど、それはわかりやすい例えですね」


かませ犬「……え? ちょっと待ってくれ」


ちょい悪令嬢「おや、かませ犬さん、何かご意見でも?」


かませ犬「もしも『内なる神インナー・ライター』が『作者』の力が使えたとしても、それはそう設定された『外なる神アウター・ライター』の自作の小説の中だけの話であって、現実の異世界にいる『内なる神インナー・ライター』が力を使える根拠にはならないんじゃないのか?」


ちょい悪令嬢「量子論に則っての『無限の可能性』説により、まさしく天文学的偶然から、『外なる神アウター・ライター』の自作と『内なる神インナー・ライター』が存在している異世界とが、ほとんど同じような状態にあるからして、『内なる神インナー・ライター』が元から『外なる神アウター・ライター』の作品そのままのチート能力が使えることだって、十分あり得るのでは?」


かませ犬「だったら『内なる神インナー・ライター』が『外なる神アウター・ライター』の自作の『登場人物キャラクター』とそっくりそのままであることも、単なる偶然の産物ってことになり、『外なる神アウター・ライター』と『内なる神インナー・ライター』との間に別に『繋がりリンク』なんて必要なくなるだろうが?」


ちょい悪令嬢「……あっ、確かに」


鬼畜メガネ「うん、相変わらず、いい質問をするね。ひょっとして『無知』であることこそが、キミにとっての美徳なのかも知れないね」


かませ犬「……それって、褒めているつもりか?」


鬼畜メガネ「つもりじゃなくて、本気で褒めているんだよ?」


かませ犬「──むう」


ちょい悪令嬢「おやおや、相変わらずお二人は息がぴったりのようですね。さすがは世界の境界線を越えての『兄弟』同士。ここは前回同様、わたくしの代わりにかませ犬さんに、聞き手に回っていただくことにいたしましょう」


かませ犬「え? ……あ、ああ、俺は別に構わないけど」


鬼畜メガネ「右に同じです」


かませ犬「じゃあ、早速だけど、そもそも存在している世界を異にする、『外なる神アウター・ライター』と『内なる神インナー・ライター』との『繋がりリンク』なんて、本当にあり得るのか?」


鬼畜メガネ「うん、十分あり得るよ。実はこの世には、不可能なことなぞ何一つないんだ。何せ『集合的無意識』とのアクセスによってこそ、どんな超常現象だって起こせるのだからね」


かませ犬「──おいおい、またそれかよ⁉」


鬼畜メガネ「つまりは、前回に述べた通りなんだよ。『内なる神インナー・ライター』ならではの『精神的な世界の改変』能力とは、自分や他人に対する集合的無意識への強制的なアクセス能力によるものなんだけど、何よりも『作者』としての最大の特徴としては、それが行われているところなのさ」


かませ犬「えっ、『内なる神インナー・ライター』って、ちゃんと自分の意思で、この世界の有り様そのものが記載されているWeb小説等の記述を書き換えることで、世界を精神的に改変しているんじゃなかったっけ?」


鬼畜メガネ「それは実際に自覚的に、『作者』の力を行使する場合においてであって、元々『作者』の精神的世界改変能力は、小説を書き換えるどころか最初になにがしか記述する必要すらなく、ただ夢を見るだけで自然と発動するんだから」


かませ犬「へ? ただ夢を見るだけって……」




鬼畜メガネ「そうなんだよ、『外なる神アウター・ライター』か『内なる神インナー・ライター』かにかかわらず、『作者』の力の根本をなしているのは、実は至極強力無比な『正夢体質』なんだ」




かませ犬「──はあああああ? 正夢体質だって⁉」


鬼畜メガネ「おや、何か、不可解な点でも?」


かませ犬「いやそれって、たかが正夢体質であるだけで、一応精神面限定とはいえ、世界を改変できるってことだろ? そんなまさか!」


鬼畜メガネ「『たかが』ではないよ、『至極強力無比な』正夢体質だと言っているだろ?」


かませ犬「どう違うんだよ?」


鬼畜メガネ「普通の正夢体質が、『現実の出来事が何となく夢で見た内容と似ている気がする』といったレベルなのに対して、『作者』ならではの至極強力無比な正夢体質のほうは、『現実の出来事が何から何まで、夢で見た内容そのものとなってしまった』といったレベルなのさ」


かませ犬「……おい、それってもはや、正夢なんて言うレベルではなくて──」


鬼畜メガネ「ああ、『予知夢』──すなわち、『未来予測』の範疇にすら含まれるだろう。しかも今言ったように、『未来予測』を実現しているようなものなのさ」


かませ犬「──なっ、そんな馬鹿な⁉」


鬼畜メガネ「そう。まさしく、『そんな馬鹿な』だよ。おそらくこのコーナーを始め本作においては何度も言及されていると思うけど、『未来には無限の可能性があり得る』ことこそを最大の原則としている量子論に則れば、唯一絶対の未来を予測することなぞ、なんだからね」


かませ犬「それが、どうして……」


鬼畜メガネ「だからここで量子論だけでなく、集合的無意識論を持ち込んでくればいいのさ。さっきも言っただろう? 『集合的無意識とのアクセスによってこそ、どんな超常現象だって起こせる』って。何せ『作者』としての世界の精神的改変能力は、自他の集合的無意識への強制的アクセスによってなされているのだからね」


かませ犬「──あ」


鬼畜メガネ「つまり『作者』の力を有する者は、無意識に自分が見た夢に関係する人々を集合的無意識にアクセスさせて、各自の脳みそに夢で見た内容そのものの『記憶や知識』を刷り込むことによって、その全員に夢で見た通りの言動をとらせることを可能にしているのさ」


かませ犬「……そんな、たかが脳みそに『偽物の記憶や知識』を刷り込まれたくらいで、複数の人物が全員、『作者』が見た夢の通りに行動するなんてことが、本当にあり得るのか⁉」


鬼畜メガネ「それに対する回答を述べるに当たって、ここで量子論や集合的無意識論だけではなく、いよいよ『脳科学』の領域まで踏み込ませてもらうけど、視覚や聴覚等の感覚器官で収集された情報を最終的に判断するのは、あくまでも脳みそなのであって、たとえ目や耳等の感覚器官が正常でも、脳自体に異状がある場合は、正しい情報が伝えられないように、たとえ『偽物の記憶や知識』であろうとも、直接脳みそに刷り込まれてしまえば、当人にとってはそれこそが『正しい記憶や知識』になってしまうんだよ」


かませ犬「……おいおい、『作者』ってそんなことまで、無意識にしでかしているわけかよ?」


鬼畜メガネ「いやむしろ、それくらいでないと、たかが自他の集合的無意識への強制的アクセス能力を持っているくらいで、精神面限定とはいえ、世界そのものを改変することなぞ不可能だろうよ。──しかもこれって、他人に対してだけでなく、『作者』自身に対しても、無意識に影響を及ぼしているんだぜ?」


かませ犬「『作者』自身にも、だと?」


鬼畜メガネ「例えば『ゲンダイニッポン』で暮らしている『作者』が、異世界において勇者となって冒険をする夢を見たとしよう。普通だったらただの夢に過ぎないだろうが、強力無比の正夢体質の『作者』が見た夢なのだから、さしずめ本当に夢で見た通りの異世界が存在していて、夢で見た通りの冒険が行われていることだろうよ。──だがこれは、こういう風にも受け取れるのではないかな? ある意味夢の世界そのものである集合意識がもたらしてくれた、実際に存在している異世界の勇者の『記憶と知識』を脳みそに刷り込まれて、彼の異世界における冒険を──ひいては人生そのものを、共通のものとしたことで、もはや切っても切れない『繋がりリンク』が生じてしまったのだと」


かませ犬「──‼」


鬼畜メガネ「いったんそうなってしまえば、『ゲンダイニッポン』の『作者』と異世界の勇者とは、もはや他人ではなく、お互いに『もう一人の自分』といった関係にあり、『作者』がその夢を基に小説をしたためれば、当然『外なる神アウター・ライター』としての『物理的な世界改変能力』を行使できるようになり、場合によっては勇者のほうも、『内なる神インナー・ライター』としての『精神的な世界改変能力』を行使できるようになるという次第なのさ」


かませ犬「た、確かに、絶対に的中する正夢体質の人物が異世界の夢を見れば、『ゲンダイニッポン』と異世界とで世界の垣根を越えて、『繋がりリンク』が生じることだって十分あり得るよな」


鬼畜メガネ「もちろんこれは、異世界に住む強力無比な正夢体質の者が、『ゲンダイニッポン』の夢を見た場合も同じことなのであって、すなわち正夢体質の者が『外なる神アウター・ライター』であるのか『内なる神インナー・ライター』であるのかは、その力を及ぼす対象が、自分が現在存在している世界か、異世界等の別の可能性の世界かによる、相対的なものでしかなく、言うなれば強力無比な正夢体質を有する『作者』であるということはつまり、『外なる神アウター・ライター』であると同時に『内なる神インナー・ライター』でもあるってわけなんだよ」


かませ犬「……それもこれも根本にあるのは、集合的無意識へのアクセス能力ってことだよな? 確かに集合的無意識にアクセスさえできれば、不可能なことは何も無くなるってのは、別に大げさな話ではないようだな」


鬼畜メガネ「そりゃあ、もちろんさ。何せこの集合的無意識へのアクセス能力こそは、目下の最大の敵勢力である、『聖レーン転生教団』における何よりの拠り所である、自他に対する『転生能力』を、完全に無効にできるんだからね」


かませ犬「──あっ、そうだ、そうだった! それこそを聞きたかったんだ。今回も驚くべき事実が次々に明るみに出るもんだから、すっかり忘れていた!」


鬼畜メガネ「ふふっ、困るじゃないか、むしろこれからが、肝心な話だというのに。これもすでにこのコーナー等で言及済みだと思うけど、異世界転生や転移って結局は、生粋の異世界の人間の脳みそに、『ゲンダイニッポン』の人物の『記憶や知識』をインストールしているだけだよね?」


かませ犬「……量子論や集合的無意識論に則って、身も蓋もない言い方をしたら、そうなるらしいな」


鬼畜メガネ「だったら同じく自他の集合的無意識への強制的アクセス能力を持ち、精神的な世界の改変能力を有する『作者』だったら、『転生者』たちに対してあえて集合的無意識へのアクセス状態を切断カットして、精神的な転生状態を強制終了させることだってできるわけだよね?」


かませ犬「──あっ、それって、あれじゃないか⁉ 俺が『ゲンダイニッポン』に『くさなぎ』として転生させられていた時に、ハロウィンのシブヤで見た、無限増殖しながら『転生者』たちを襲っていた『メリーさん』が、少年執事のうえゆうがスマホに何事か書き込んだ途端すべて消え去ると同時に、『転生者』たちも一斉に意識を失って倒れ込んだやつ!」


鬼畜メガネ「そうだね、おそらくその少年執事君には、『作者』に類する力があったのだろう」


かませ犬「おおっ、つまり『作者』としての力さえあれば、転生教団なんて目じゃないってわけだ」


鬼畜メガネ「ただし、例のロリ教皇様──アグネス=チャネラー=サングリア嬢にだけは、通用しないだろうけどね」


かませ犬「え、何で?」


鬼畜メガネ「君はおかしいとは、思わないのかい? そもそもたった七、八歳ほどの女の子が、さも当然のようにして世界宗教のトップの地位にいることを」


かませ犬「え、今更そこを、突っ込むわけ⁉ ──い、いや、それこそ彼女は、他に並び立つ者のいない超常の力を──特に転生教団にとって最も有益な、自他を強制的に『転生』させることのできる力でも持っているからなんだろう?」


鬼畜メガネ「御名答。しかもさっきも言ったように、いわゆる『転生化能力』も、まさしく『作者』同様に、自他に対する集合的無意識への強制的アクセス能力を基盤にしているんだよね」


かませ犬「それってつまり、同じような能力だから、効果を打ち消し合うとか、彼女のほうが強力すぎて、こちらから効果を及ぼすことができないとか?」


鬼畜メガネ「いや、彼女の他者に対する『転生化』効果は、『作者』の力によって、十分に無効化することはできるよ。あくまでも問題は教皇様自身であって、何と彼女は、集合的無意識とのアクセス状態が、すでに常態化してしまっているんだ」


かませ犬「常態化、って?」


鬼畜メガネ「おそらく彼女はこれまで自意識的か無意識的かにかかわらず、集合的無意識を介して、無数の『自分以外の人物』の『記憶と知識』を、自分の脳みそにインストールしてきたものと思われるんだけど、その無限の繰り返しによって、もはや本来の自分自身を見失ってしまい、今や『何者でもなくなって』いて、とても七、八歳の女の子とは思えないほどの、まるで数百数千年を生きながらえてきた、大賢者のごとき言動をするようになっているのさ」


かませ犬「な、なるほど、あのいかにも幼女らしくもない、知性や態度や言動は、別に作者の設定ミスではなく、そういったとんでもない理由があったわけか」




かませ犬と鬼畜メガネ以外の女性陣全員「「「──ちょっと、待ったあ!!!」」」




かませ犬「……な、何だよ、おまえら、急に鬼のような形相になって、大声を上げやがって⁉」


ちょい悪令嬢「今のお話って、まさしく『ロリBBA』そのものじゃないですか!」


かませ犬「は?」


メイ道「だってそうでしょう? 正真正銘幼女である外見に、長きにわたる人生において培ってきた知性を誇る大賢者の中身って、ロリBBA以外の何者でもないではありませんか⁉」


真王子様「そうか、強制的『転生化』能力を幼女に対して使えば、ロリBBAを現実のものとできるわけか!」


ジミー「我々ロリBBAを愛する『紳士&淑女』の長年の願いが、ついに叶えられるのね!」


妹プリンセス「しかも、『大量生産』だって、思いのままですわ!」




かませ犬と鬼畜メガネ以外の女性陣全員「「「これは何としても、転生教団のロリ教皇様を、我々の手中に収めねば!!!」」」




かませ犬「──何でおまえらは、せっかくのシリアスシーンを、ぶち壊すことばかり言い出すわけ⁉」




ちょい悪令嬢「さあ、そうと決まれば、早速準備に取りかからなければ」


メイ道「教団の聖騎士団等に対する防備はもちろん、教皇様『拉致監禁』並びに『人体実験』の下準備のほうもね♡」


真王子様「急に、忙しくなってきたな」


ジミー「でも、それもこれも、ロリBBAの大量生産のためだしね!」


妹プリンセス「けして手抜かりがあっては、なりませんわよ!」




かませ犬と鬼畜メガネ以外の女性陣全員「「「──ようし、俄然、みなぎってきたぜ!!!」」」




かませ犬「だからおまえら、話を聞けって…………あ〜あ、行っちまった」


鬼畜メガネ「いいではないですか、彼女たちらしくて。シリアス一辺倒の世界の住人としては、うらやましいくらいですよ」


かませ犬「──こんなとんでもないやつらばかりのコメディ的世界の中で、ツッコミ役の俺がどんなに苦労しているか、おまえなんかにわかってたまるか!」

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