第19話

「ここにいなよ」

私はなんでそんなこと言ったんだろ


この人が世間を騒がす殺人犯、今の主人公

でも怖いとは感じなかった

むしろ優しくて弱い人なんだろうなって思った


彼を玄関から引き戻しソファに座らせた


「私ね、前はアイドルしてて今もモデルみたいなことしてるから

稼ぎは結構あるの

だけど家事が苦手で、でねこの家の家事それが家賃ってことでどうかな?

あなたは外には出れないし

うちで家政婦してくれない?」


「はははわかった

君も出来ないんだ

そこも同じだ

じゃよろしくお願い致します

え、てかアイドルだったの?

ごめん俺テレビとか見なかったからわかんなくて」


むしろ知らなくって良かった

「前の話よ大したことないの

それと私のことはしおりって呼んで」


「え、」

「あ、ごめんなさいやっぱり嫌よね?

彼女と一緒にされたら」

「いや、じゃあしおり」


もうひかりで居たくなかったからせめてうちの中だけでも

別の人間でいれたら思って彼にお願いした

難しいかと思ったけど彼は受け入れてくれた


私は彼との世界でしおりになった



「じゃあ俺からもお願いがあるんだ」

「なあに?」

「秀くんって呼ばれてたんだ

俺のこと秀くんって呼んでくれないかな」


「秀くん」

私がそう呼ぶと

彼は恥ずかしそうな顔をしてはにかんだ

しおりさんが彼に恋をした理由がわかった気がした




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