第18話

思わず声をかけてしまった

本当にそっくりで

しおりだと思った

警察に追われている俺を彼女は家につれてってくれた


彼女をみていると本当にしおりが目の前にいるようだった

違うとはわかっていたけど

「しおりじゃないのはわかってるんだ

巻き込んでごめんなさい

なんで俺を隠してくれたんですか?」

「本当にしおりさんって人と思い込んでるのかと思った

ねぇ聞いてもいい?」

「なんですか?」

「しおりさんってニュースでやってたあなたの婚約者の人?」

「そうです」

「あなたがその、殺したの?」

「違う母さんが刺したんだ

でも俺はそのあと母さんを刺した

殺人犯にはかわりないよ」

「なんで逃げてるの?」

「しおりを探してたんだ」

「え、だって」

「現実逃避かな、しおりを亡くしたって思いたくなくて」

「そうなんだ」

彼女は俯いた

「でも驚いた本当にしおりにそっくりで

見た目も声も

しおりに会えた気がした

最後にあなたに会えて良かったありがとう

それじゃあ」


しおりはもう居ないんだ

探しても見つからないんだ

でもこれで踏ん切りがついた

しおりのもとへ行こう


玄関のノブに手をかけたとき

彼女に声をかけられた


「秀くん死ぬ気でしょ

死なせないよ」

しおりが生きてたらそう言うだろうなって

思った

「ここにいなよ」

しおりが笑ったあの無邪気な笑顔だった



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