第15話

私の仕事は週に二、三本とピークの10分の一ぐらいまで減ってしまった


さすがに私一人の専属のマネージャーではいられないと事務所から言われてチーフマネージャーに戻り駆け出しの娘のマネージメントもするようになった


「腐ってるんじゃないでしょうね?」

「そんなことないよ!いつでも仕事いれてくれて構わないんだから」

「そう?その言葉が聞けて良かった

まだ歌とダンスのレッスンいってるんだって?」

「もちろん、準備はしておかないとね」

川村さんはニコッと笑って次の現場へ向かっていった


まだ川村さんは私のみかたで居てくれる

頑張らなくちゃと思った

それだけが頼りだった


ある日レッスンを終えて事務所にいると川村さんが駆け寄ってきた

「ひかり!いい仕事貰ったわよ

ドラマよ、連ドラなんだから」

「ほんと?やったぁ!」

「頑張ってたからね、おめでとう

じゃスケジュールとか決まったらまた教えるね」


良かった、本当に良かった


次の日事務所に行くと会議室から声が聞こえてきた

「ひかり、じゃなくてかおり、をドラマに使った方がいいんじゃないか?

正直ひかりはもうダメだろインパクトがないよ」

「そんなことありません!レッスンだって毎日欠かさず言ってるしまだまだ売れる準備をしてくれてます

あのスキャンダルだって他所から仕向けられたものだしひかりは悪くなかったじゃないですか」

「じゃ、かおりはどこで売り出すつもりだ?

次はあの娘です!次の主人公です!って連れてきたのは誰だ?」

「それは、そのでも今回はひかりを」

私は耳を疑った川村さんは私のことを主人公だって言ってくれてたのに

次がいるってこと?

かおりって誰?

川村さんは私が主人公って言ってたんじゃないの?

会議室から離れた



「じゃ、今回はかおりで行くからな」

「わかりました、でも次はひかりを」

「わかったわかった」


川村さんが会議室から出てきた川村さんがこっちに気付いて走ってきた

「ひかり、あの」

「川村さんいいの、私モブキャラになっちゃったんだね

もう川村さんには別の主人公が見つかったみたいだしその娘でいいんじゃない?

それじゃ帰るから」

「待って!あなたはモブキャラなんかじゃ」

耳をふさいで走って逃げた

もう何も聞きたくなかった





終わった話を生きてくんだ私




もうどうでも良くなって家に帰った

次の日から私はレッスンをサボるようになった




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る