第14話

いつも通り料理をつくってしおりの帰りを待った

さすがにここにずっといてもしょうがないからアルバイトでもしようとしおりに相談するかななんて考えていた


ピンポーン

誰か来たようだった

覗き穴から覗きこむと母さんだった

「秀、居るんでしょ?あけて」

血の気が引くようだった、それと同時に俺の今の幸せが崩れていくようにも感じた

母さんのあけてという言葉に

本当は開けたくないと思ったが

すんなりとドアを開けてしまった

「母さん心配したんだから早く帰るわよ」

俺は何も言えなかった

でも帰りたくはない

「いや、あの、母さん」

「秀くん?ただいま」

「あなたがしおりさん?お世話になったわね

ありがとう連れて帰るから」

「いえ、そんな、、、

秀くんはいいの?」

しおりは俺をじっと見つめた

しおりのいいの?にはいろんな意味が含まれていた

天使にも悪魔にもみえた



「母さん、俺学校もやめる、母さんのところに帰りたくない

俺は父さんじゃない、秀でいたい」

母さんの顔は見れなかった


「そう」

それ以上何も言わず母さんは立ち去った




しおりはずっと泣いていた

慰めようとしても「ごめんね」としかいわない

どうしようと困ったけど

ベッドに連れていき抱き締めながら二人で寝た

明日になればいつものしおりに戻っているかなと期待をして

しおりは泣きつかれたのか寝息をたてている

良かったと安堵したら俺も寝てしまった




次の朝起きるとしおりは俺の顔を覗き込んでいた

「わぁ、おどろいたおはよう」

しおりは俺に思い切り抱きつき

謝ってきた

「ごめんなさい昨日秀くんにひどいことさせた

もし、あのときそのまま返したらもう秀くんはお母さんの物になると思ったから、

もう流される秀くんは嫌だったの!

それに私を選んでほしくて!

ずっと一緒にいたくて!

離したくなくて!

秀くんにもお母さんにも意地悪しちゃった

それなにの嬉しいって思っちゃったの、自分を選んでくれて嬉しいって

お母さんに勝てて嬉しいって」


「しおり、俺は感謝してる

しおりがいいの?って聞いてくれなかったら

そのまま帰らされてた

また母さんのいいなりになってた

でもしおりが選べって自分がしたいのはなに?って

いってくれてる気がして

ちゃんと選べたよ

しおりを

それて俺自身を」




しおりと一緒に生きて行く人生を選べた

俺は次の日高校をやめて仕事を探した

しおりは卒業したら働くといい

俺としおりが二十歳を迎えたら結婚しようと誓いあった

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