第12話

「俺、料理作るよ」

「秀くん作れるの?ごめんね私ね実は家事全般苦手で」

「俺がやるよ、母さん仕事で遅くなるから家事は俺の仕事だったんだ

しばらくしおりに世話になるから俺が家事をやるよ」

しおりは意外にもずぼらだった

部屋もそこそこに綺麗に見えたが見えないところにものを押し込んで隠していた

「仕事は多そうだな」


「、、、お願いいたします」


学校もサボって家にも帰らなかった

母さんに「もう帰らないから」とメールだけした

母さんからは「許さない」とだけ返信があったがそれっきり音沙汰はなかった



「ただいま、ふふふ」

「おかえり、どうしたんだよ」

「だって、帰ったら秀くんがいる

嬉しい」


それから毎日しおりが学校に行ってる時以外二人で過ごした

二人で台所に立ってしおりに料理を教えてあげたり

学校での課題を二人でやったり

夜が明けるまでベッドのなかで語り明かした


この時が、幸せが続けばいいと思い描いていた


「私ね、旦那さんとは喧嘩しても夜は同じベッドで寝るんだ

そしたら喧嘩したまま寝ても朝起きたら忘れて仲直りしてるでしょ?



私ね、映画で観てから夢なんだけど満点の星空でプロポーズしてもらうのに憧れてるの


旦那様は秀くんがいいなぁ」


寝る間際のしおりの夢物語を聞きながら眠りにつくと心が温かかった


俺もしおりを奥さんに出来たらなと思っていた



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る