第11話

家を出ると記者が待ち構えていた

「熱愛の記事は本当ですか?」

「彼とはいつから?」

「彼はどんな人ですか?」

全部の質問を無視して事務所の車に乗り込んだ


「想像以上かもね、今日のイベントはなにか聞かれても答えちゃダメよ」

「わかったわ」

覚悟は決めた

大丈夫、川村さんも守ってくれる大丈夫



案の定イベントの終盤記事についての質問が

私に集中した

車へ向かっていると出待ちをしているファンらしき人たちから罵声を浴びせられた

「裏切り者!!」

「淫乱女め!!」



数日間、一部のファンからの嫌がらせや誹謗中傷にさらされ

ワイドショーや週刊誌でも悪意をもった報道のされかたをした


加々美さんの所属している事務所の方が

私の所属している事務所より大きいということもあったかもしれない


いろんな人、ものが私に悪意を向けているそんな気がして怖くて堪らなかった



私の仕事はどんどん減っていった

それと同様に私の周りにいた人たちが居なくなった


私はヒロインなのに物語から弾き出されてしまったかのようだった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る