第2話 魔王の遊び

 珍しく晴れたある日のこと、魔王ドラゴンは寝床で昼寝をしていた。その寝顔を執事コウモリが温かく見守っていた。


「う~んむにゃむにゃ、ふぁ~~っ、あーよく寝た。おはようじぃ、ぼくどのくらい寝てた?」

「2時間ほどですかね、気持ちよく寝ていましたよ」

「そうなんだ。それにしても今日は天気が良いね!」

「はい、珍しく晴れております。晴れる日は、月に3回ぐらいありますね。しかし、天気が悪い方が魔王の力が強くなりますよ」

「え~、ぼくは晴れてる方がすきだよ。気分がよくなるもん」

「魔王様はお優しいのですね。わたくしはそういう魔王様も良いと思いますよ!」


 執事コウモリはチョビひげを触ってほほえんだ。


「ありがとう、じぃ。今日はなにか練習するの?」

「今日は空を飛ぶ練習がよろしいかと。少しずつ練習していきましょう!」

「わかったよ、じぃ」


 魔王ドラゴンと執事コウモリは寝床から出て、少し歩いたところのひらけた場所に移動した。初めて空を飛ぶときは助走が必要だからである。


「じぃ、空を飛ぶにはどうしたらいいの?」

「まず魔王様の翼を動かすところからです。翼に力を入れられますか?」

「う~んやってみるよ。うーーっ、えーーーーぃ」


 すると微弱に翼がぴくっと動いた。


「やったー、もう少しでできそうだ!うーーーーーーっ」


 今度はバサッと音を立てて動かせた。


「もうコツはつかめたみたいですね。そのまま飛んでみてください!」

「いくよ、うーーーーーーーん」


 バサッバサッと翼を動かすと、少し身体が浮き、魔王ドラゴンは低空飛行し始めた。


「わ~い、飛べた飛べた!」

「やりましたね魔王様!まだ低いですが十分飛べてますよ」

「よーし、もっと高く飛ぶぞー!」

「そんなに速く飛ぶと危ないですよ!」

「大丈夫大丈夫!全然平気だ…よ…うっ…」


 魔王ドラゴンは岩壁に激突した。ふぁ~ふぁ~ふぁ~ふぁ~と、効果音がしそうな感じで、下に落ちていった。


「調子に乗るとそうなりますよ。さすがのわたくしでもかばいきれません」

「うーー、いたた~~。でも…飛べたから…いいや~。これで遊べるぞ~!」

「前向きなのは魔王様のいいところですよ!」


 こうして、魔王ドラゴンと執事コウモリは日常を過ごすのだった。

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