魔王ドラゴンは子供だった
ざわふみ
第1話 魔王ドラゴン
ある離れ島は雷雲(かみなりぐも)に覆われ、海の波は荒れていた。その島は入り口以外が絶壁の岩で覆われている。
その一番奥に大きな生き物は住んでいる。体長5メートルぐらいで、その頭には後ろ向きに角が生えており全身紺いろで、うろこが生えたドラゴンである。
そのドラゴンの肩の上に、コウモリのような歳をとった執事が乗っていた。
「ねぇねぇじぃ、ぼくってドラゴンだっけ?」
「何をおっしゃいますか、あなた様はドラゴンでございますよ!」
「そうだったね、ごめんねじぃ」
「あなた様はドラゴンであり魔王であるのですよ。誇りを持ってください!」
この離れ島は天気が荒れているため人もモンスターもおらず、ドラゴンの魔王とコウモリの執事だけしかいない。
「うん分かった。自信を持つよ!」
「さて、ではそろそろ火をふく練習をしますよ」
「う~ん、あまり好きじゃないけど…いいよ!」
魔王ドラゴンと執事コウモリはゴツゴツした岩がある場所に移動した。
ドラゴンは火をふくのが仕事と言っても過言ではない。しかし、その魔王のドラゴンはいまだちゃんと火をふいたことがない。火をふけたとしてもマッチに点くぐらいの火である。
そして今日もまた火をふく練習が始まる。
「お腹に力を入れて、熱くなったら息をはくのですよ。そうすると火をふけます!」
「お腹に力を入れて、熱くなったら息をはくんだね、ぐぐぐぐぐっ、スゥーーッ、ハ―――――ッ」
すると、魔王ドラゴンの口からポッと火の粉が出た。
「まだ小っちゃいね、じぃ。う~ん難しいな~」
「いえいえ、これからですよ、もっと練習を続ければ必ず出来るようになります」
「でもなんでじぃが火のふき方を知ってるの?ドラゴンじゃないのに」
「わたくしは何十年も生きているゆえ、それぐらいは知っております」
執事コウモリはチョビひげを触りながら、少し自慢げに言った。
「へぇ~~、すごいねじぃは、他にも知ってることあるの?」
「もちろんでございます、ドラゴンなので空を飛ぶことが出来ますし、魔王なので闇の力が使えます!」
「そうなんだー、でもぼくまだ空も飛べないし、闇の力も使えないや」
「練習あるのみですぞ、精進してください!」
「そうだね、ぼくがんばるよ!」
「そのいきでございます!」
かくして魔王ドラゴンと執事コウモリは、その後3時間ほど、火をふく練習をしたのである。
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