第4話 ニンジンと歌唱力
前回のあらすじ~
「ニュースぺりゐのお時間です。まず最初のニュースから、本日マッスルレスリングの決勝戦が行われます。対戦するのはデブット・ポチャット選手と残念王者ダレワレ・デブヤネン選手です。世紀の対戦に全米は揺れ熱気に包まれています。続いて……」
ニュースキャスターが話題のニュースを解説していく。しかしスタッフから渡された臨時ニュースの原稿にキャスターは驚いた。
「た、大変です!臨時ニュースです。あのマルドナルド日本店長マックン・ハバガンがまじかる武蔵に倒されたことが先ほど明らかになりました!依然として犯人の足取りは掴めておらず、アメリー達は不安で夜はトイレに行けないほど追い込まれています!」
その報道は見ている人に大きな衝撃を与えた。あの大手企業の支店長が倒されたのだ、たとえ極東の小国で起こった事件だとしても波紋は大きく広がった。
「それでは引き続き最近話題のニュースです。日本でニンジンの化け物が発見?SNSなどで話題になっているニンジンの化け物がいます……」
だが報道の世界ではあらゆる情報が
「うをおおぉ!ニンジン祭りじゃ!ニンジン!にんじん!人参!CARROT《きゃろっと》!早く逃げねえと食っちまうぞ!」
武蔵がウサギの恰好をして謎のニンジンに手足の生えた生命体を追いかけまわしている。
「ぎゃー!食われる!」
「僕は人参じゃない!大根だ!」
「なんでこんなひどいことするんだ俺たち悪いことしたのか?」
ニンジンたちはそれぞれ逃げまどい、混乱んと恐怖でパニック地獄と化していた。
「ねぇ武蔵さん?なんでウサギの恰好でニンジン追いかけまわしてんすか?」
「ニンジンのエネルギーを手に入れこの世界をキャロット王国にするのだ」
やっぱり話が飛躍しすぎている。武蔵とミコッツは旅の途中アメリーたちに襲われていたこの村に訪れたのである。そこは人参の生き物が住むニンジン村であった。そこで武蔵はアメリーたちを撃退し村を救ったのでだがそこで悲劇が起こった。安定の武蔵の暴走でニンジンたちは次々と食されていったのだった。
「そんなことしてないでさっさと次の目的地いきましょう!情熱の村”羅武村”へ」
マルドナルドからこの地域の店舗地図を手に入れていたのでそこをしらみつぶしに暴れていこうとなったわけなのだが、開始からこの様である。
「うるさーい!ここでまだまだニンジンと戯れていたいんじゃ!」
「はいはい分かったからもう行きましょうね?」
駄々をこねる武蔵。ここまでくるとこの人ほんとにダメすぎる人なんじゃないかって疑うよ。いやもうすでに失望してるか。
「グオオォォォ!」
突然耳をつんざくような
「なんだあれ!」
「わが村に伝わる伝説のニンジン様じゃ……ああ恐ろしや、この争いにお怒りなのじゃろう」
「なんすかそいつ!?」
村長が言うにはあいつは気が済むまで暴れて大根魔人と結婚したら鎮まるらしい。大根魔人って誰?
「はっはっは!そんなこと知った事ではないわ!侍魔術”千切りを通り越した一刀両断”!」
「ふっ、俺の体にはそんなもの効かないぜ」
ニンジンが喋る。
「なにっつお前は!」
ウルトラドッキンング!
「人馬一体!さぁ!国語の補修に出てくるぜ!風のように、召喚!ブルーレッド置くだけドラゴン!」
「何してんの!それ遊☆王じゃん!」
ニンジンと武蔵が合体し、意味不明な掛け声とともに、謎の召喚を始める。
「いでよ!我らの仲間、ニクソン中将」
まばゆい光とともにその人物はこの地に降り立った。そいつは忍者服を着た見覚えのあるようでないヤツだった。
「思うんだけどさ、俺ってかっこよくね?……なにこれ?」
「あのー、二話で出てきたよね?」
「なんだ二話って!あれは突撃!マルドナルド本店だろうが!馬鹿かてめえは!」
うんこの人忍者に人だ。絶対そうだ、なんで男なの。
「俺は変装の達人なんだ!今お風呂上りに呼び出されたからこれがすっぴんなんだよ!みんじゃね!」
「出た実は〇〇でしたパターン」
ミクモは男の忍者であった。
「お前が俺の仲間か?」
ミクモが仲間になりたそうにこちらを見ている。
仲間にしますか? はい/いいえ/腐った骨付き肉を投げる。
武蔵は
「甘い!紅魔流忍法”百裂バット”」
しかしミクモはそれを投げ返す。
「ぐわああ!」
武蔵はモンスターボールに吸い込まれてゆく。
ころ、ころ、ころ、ぴたっ。
てってっれ、てってっ、てってってってー。ミクモは武蔵を捕まえた。名前を付けてね。
「よし、それじゃあ行くぞ”あああ”」
「うう、私名前があああになっちゃった、もうバトルできない」
逆に捕まって新たな名前を付けられたようだ。武蔵は絶望の淵にいる死んだ顔をしている。
「今のなに?小説だよね!?この適当な文章絶対怒られるよ」
「違うんだよ、ミコッツそれでもわかって書いてるんだこの作者は」
「そうだ、俺だって最初女だったけど性転換できるくらいに奴は迷走しているんだ」
そんなこと言っていいんだろうか。確かにこの小説はひどいと思う。
「そうなんですね?ところで少しインタビューいいですか?」
「なんだと?」
女性の声が後ろからすると思って振り向いたら後ろにいた。俺も何を言っているのかわからないがとにかくこいつはやばいってことだ。
「あの、あなたの乗ってるそのニンジン詳しく見させてもらっていいですか?」
女は何かの記者のようでカメラマンと一緒に行動をしていた。
「こいつか、そろそろポトフになる運命だったんだ。食べてくか?」
「そのこ食べちゃうの?」
「まあ?いいんですか?是非いただきたいです」
「あんたもすんなり食べるんかい」
ニンジンは愕然としてうなだれる。さっきまであんなに乗っていたのにすぐに食べられてしまう。だがニンジンは恨みはしなかった、それが定めなのだから。
「このカレーおいしいですね」
結局ニンジンはカレーにされた。あの息絶える最後の瞬間は悲しかった。「おいしく食べてくださいね」その言葉がいつまでも心の中に響いている。
彼女たちは米国の記者で動くニンジンの噂を求めてここまで来たという。
「それで、あなた達は何をしてここまで?」
「召喚された」
「ブロードウェイに立ちたかったから」
「なんとなくです」
なんか一人変なこと言ってる奴いなかったか?
「へえーそうなのねみんな夢があっていいな」
女記者は嬉しそうに話す。
「そう言えばこの間のマルドナルドの事件の犯人、何だかあなた達に情報が似ているんだけど気のせいかしらね?」
情報というのは侍っぽいまじかる。ボケみたいな顔したツッコミだそうだ。これは確実に特徴を捉えられた危険な情報だ。
「気のせいじゃないな、それは俺たちのことだな」
武蔵が答えた。この人何してんのダメでしょ答えちゃ、空気読めよ。
「へーそうなのね、じゃあ、あなた達の命もらってあげる!」
女記者の様子が急変した。暗殺者のような鋭い目つきがこちらを睨んでいる。そして襲い掛かってきたのだった。
「あんたたちをやれば私たちの番組は大きなネタを掴めるんだ、そのために死ね」
態度が変わり命を狙っているというのに彼らは動じず、まだカレーを食べていた。
「危ない!」
ミコッツが叫ぶも時すでに遅し女記者の拳は武蔵を捕らえていた。
「なんだと、お前何者だ」
彼女の拳を彼はスプーンで止めていた。
「そんなにネタが掴みたいのならいいだろう掴ませてやる夢の片道切符をな」
武蔵はマイクを握りステージに立った。バックにはベースのミクモとドラムにミコッツがいる。
「それでは聞いてください。”俺の冴えない人世生きる喜びはあなたの言葉でした”」
一人電車に飛び乗って 金があるまで乗り続ける そんなあなたはマゼラン
牛乳飲んで吐き出して そんな時でもあなたはいてくれた 私はそれでよかった
世界中の心に灯が燈らなくても 私は叫ぶ 太陽に向かって走るあなたが好きだから
どんな暗い夜でもあなたは輝くから それを目印に生きてきた
そんなあなたの口癖は ここ電波悪くね
歌が終わり会場は歓声に包まれた。あるものは涙しまたある者は共に思い出を語り合っている。彼らの歌はこの会場を変えたのだった。
「これが歌の力だ。これが世界を変える共通言語だ!それを分かれたならお前はもう一流のジャーナリストだ」
武蔵は笑顔でそう言った。この世には変えることのできる運命があるのだ。
「ありがとう、私頑張るわ」
感謝の言葉を残し彼女らは去って行った。
「結局何がしたかったんすか?」
「バンドをやってみたかったんだ。感動的なバンドをな」
また意味の分からないことを言った武蔵だったが今回はなんとなく理由が分かった気がした。
「で、ミクモお前は俺らの仲間になるのか?それともその辺で草食って生きるか?」
「そんなの決まってんだろ、お前が俺に忠誠を誓え俺がモブなんて納得いかん」
また理不尽な言い分だここに出てくる人はろくな人間がいないな。
「いいだろう今度からこの小説のタイトルは”バンドしようぜ中島君”で決定だな」
「仕方ないな、仲間になってやるよ」
こうして忍者ミクモが仲間になった。そしてこの旅はまだまだ続くのである。
次回予告 情熱村に着いた武蔵一行だがそこでは情熱で情熱を作る音楽の村だった。そして彼らはアメリーの作曲家の心を動かす曲を作ることができるのか。
次回 ときめく心はリンゴの味ではなかった お楽しみに!
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