第3話 決着!マックン・ハバガンvsまじかる武蔵

前回のあらすじ~

 俺はまじかる武蔵むさし、頭脳も大人体も大人のやり手の敏腕びんわん探偵だ。江戸で探偵社”江戸前探偵社しゃーろっく・こなそ”を経営しており、とある依頼でハンバーガー店マルドナルドに調査に出かけていた。

 しかし、そこで無残にも殺人事件が起こってしまったのだ。

 悲劇に襲われたこの状況打開するには犯人を見つけるしか道はない。


 この事件必ず解決して見せる!将軍様の名にかけて!


「皆さん落ち着いてください。まずは状況の整理からいきましょう」

 落ち着き払った態度で探偵武蔵は語りだす。


「これが落ち着いていられる状況か!?人が死んだんだぞ、うちの店で!」

 あからさまな動揺で怒鳴り散らす男。この店の店長マックン・ハバガンだ。星条旗をイメージした色彩の制服を着ている。短絡的な兆候がありすぐに結果を求めたがるようだ。


「私はやってないわ、だってあの時トイレに行ってたもの」

 そう答えるのは怪しい忍者の恰好をしたミクモという女だ。恰好こそ怪しいもののその証言には信ぴょう性が感じられる。


「まず、死体の状況からです。彼の死因は毒によるものでしょう。目立った外傷がないため毒による中毒症と考えられます」

 武蔵が丁寧に事件を紐解いてゆく。被害者はミコッツといい、一人でこの店に訪れていた10代後半の少年だ。こんな若い命がなくなるなど悲しい事だ。


「そんなことは見ればわかることだ。私もその一部始終を見ていたんだからなた。ハンバーガーを口にしてからしばらくして急に苦しみだしたんだ」

 マックンが言葉を付け足す。


「ふむ、そうですか、ではその時あなたはどこにいたんですか?」

「え?それは、もちろんカウンターさ。店員だからな」

 突然の質問にマックンは驚く。

「では質問を変えよう。この席からカウンターは見えるかな?」


「「!?」」


 その場の空気が一瞬にして固まった。そう、今まさに致命的な矛盾が生じていたのであった。この被害者が倒れた席からはカウンターは見えなかったのだ。


「その通り見えません。カウンターからはこの席は完全な死角だったのです!それなのになぜ見ることができたのですか?」

 武蔵がマックンに迫る。狼狽しているマックンは冷や汗が滲み目は泳ぎまくっている。


「あ、ああ!そうだ、その時丁度テーブルを片付けに行ってたんだ。お客さんが出て行ったから」

「嘘をつくな!この店は私たち4人しかいなかっただろうが!」

 嘘を重ねれば重ねるだけ綻びが生じる。あとはその綻びを突けば真実は容易く姿を現す。


「どうなんだ?お前がやったのか?!」

 鬼気迫る言葉で武蔵は迫る。ここまで来たらもう自白を待つだけだ。

「くっ、それは、おまえが……」


「何勝手に殺してんじゃ!!俺はまだ生きてるわ!何くだらないことしてんだ!」

 ミコッツが起き上がり突っ込んだ。彼は死んではいなかった。ただ盾にされただけだったのだ。


「ふん耐久力のない盾が。もっと根性見せろ」

「あんたのせいでこうなったんでしょうが!なんであいつの攻撃全部俺を使って受けたんですか!」

 武蔵はマックンとの激戦の中、彼の攻撃を全てミコッツで受けていた。そのせいでミコッツは倒れこんな珍事件が発生したのだ。


「なかなかやるじゃないか俺のハンバーガー殺法を受けても立ち上がるとはな」

「お前の攻撃はもう見切った次も同じ手が通用すると思うなよ」

「それ俺の頑張りがあってこそですよね!?つーかお前俺殴った本人だろ!」

 ミコッツは自分のポジションが不満なのだろう。怒りをあらわにしている。しかし誰もそれには触れない。


「男の戦いはそういうもんだよ。黙って見守るっもんさ」

 ミクモの声がした後ろから肩に手を置かれ。あの人何してたんだっけ、あ裏口から侵入したのか。


「じゃあ続きと行こうか”ポテ突き”!」

 マックンは攻撃を仕掛ける。しかし武蔵はそれをかわす。

「ちっ、ちょこまかと」


「なぜ俺がまじかる武蔵なのか教えてやろう。それは魔法が使えるからだ」

 武蔵が唐突に語りだす。

「だったらどうなんだ?強いのか?」

「それを今証明してやろう」

 そうして武蔵はさっきとは違う構えを取った。それは落ち着き払っていて穏やかな表情だった。


「魔法が何だ!そんなのこのハンバーガー殺法には通用しない!」

 マックンが距離を詰め最大奥義”ジューシーサンド”で決着を付けに行く。


「笑止!侍魔術”まじかる抜刀術初回限定版!”!!」

 武蔵は腰に佩刀はいとうした刀で横に一閃ぶちかました。

「それ、まほう……なの?がはっ」

 爆発的な力で振り出された居合の一撃はマックンは最大奥義を破り彼を吹き飛ばした。マックンは壁に打ち付けられ撃破された。


「ひとつ言っておく、魔法とは必ずしもハリー〇ターのように、RPGのような有能なことはできないんだ。なんとなくまじかるならそれでいいんだ」


 かくしてこの地域を牛耳っていたマルドナルドは壊滅となった。

 そして武蔵は次なる場へ赴くのであった。


「武蔵さん、ありがとうございました!これで安心して普通に暮らせます。ほんとに武蔵さんのおかげです」

 マックンとの決着から数十分。ミコッツは新たな旅へ向かう武蔵を見送っていた。


「よせやい、照れるじゃねえか!それとな俺がじゃない、俺たちが取り戻したんだ。そこんところ心に刻んどけ」

 照れる武蔵はミコッツに心に響く話を言う。たまにはこの人いいこと言えるんじゃん。

「もう少し頑丈だったら早く終わってたぞ」

 一言余計だった。前言撤回そこそこいい人だ。



「あの、武蔵さん俺考えたんですけど、一緒に旅をしてもいいですか?理由は、あなたに生き様に惚れました!お願いです!お供させてください」

 ミコッツが頭を下げ同行をお願いする。


「勝手にしろ、ただ同じ仲間なんだから”さん”付で呼ぶのはやめろ。」

 恥ずかしそうにそっぽを向いてそう小さく言った。


「はい!よろしくお願いします!武蔵!」

「何勝手に呼び捨てにしてんじゃ!!ぶっ飛ばすぞ!?」

 え~今なんて言いました?理不尽すぎるでしょ。


「でも、ありがとな」

「っ……はいっ!」


 こうして新たにミコッツが仲間に加わりさなる欧米文化根絶の旅は続く。

 そして一人忘れ去られたミクモであった。


 次回 新たな仲間加わる お楽しみに!

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