四節「私の現代ファンタジー」
今回は「現代ファンタジー」について語ろうかと思います。
さて、何を話しましょうか。
……。
あれ?
話すこと残ってますか?
正確に言うなら書く必要ありますか?
だって、一節から三節で「ハイファンタジー」「ローファンタジー」「異世界ファンタジー」について語りました。
ならば逆説的にそれ以外のものが「現代ファンタジー」だと言えませんか?
……。
言えませんね。すいません。
書いているときにすこし面倒だなと感じてしまいました。
自分で言うのもあれですが、ファンタジーのジャンルは噛めば噛む程というよりは、噛む場所によって異なる味が出るような複雑なジャンルなのです。
そして、前回で「異世界ファンタジー」について語り、それは“細分類ジャンル”といいました。
今回も同じく「現代ファンタジー」も特定の作品を示す“細分類ジャンル”であることを語りましょう。
とはいえ、「異世界ファンタジー」ほどは狭い幅ではありません。
では語りましょう。
私にとっての「現代ファンタジー」を。
「現代ファンタジー」という響きから思い浮かべる世界観は恐らく、読者様方と私の考えは違うものではないと思います。
現代、それも地球が舞台のモノ。
そんな世界観の中で描かれるファンタジー。
学園が舞台の時もあれば、探偵や警察が主役の舞台が大きくなる時すらある、現実寄ったものに触れる物語。
いいですねえ。聞いているだけでもワクワクしますよね。
でも、こう思いませんか?
「どこまでが“現代”なの?」
と。
……。
私の持論なので迷いなく言いますが、
作品が「現代ファンタジー」として書かれた“時代”から少し先までの近未来の事も“現代”に含まれるものとして考えています。
でなければ『魔法科高校の劣等生』『とある魔術の禁書目録』辺りなんか現代ファンタジー以外でなんて言うのか分かりません。現代(近現代)と目される世界観なのに。(設定的には近未来と言う位置づけだそうですが、それはそれでごちゃごちゃだと感じます)
少なくとも、「”作品が書かれたときの時代に合う”または”近い時代”の世界観を持っている。」
これが私が言う現代ファンタジーです。
と簡単に「現代ファンタジー」の定義を決めました。
それは、書かれた時の年代よりも過去あるいは未来を描いた作品ではなく、書かれた年代から逸脱しない範囲の“近年代物”として書かれた物を指す。
要は、作品が書かれたときの時代に合うまたは近い時代の世界観を持っているということです。
結論に入る前にちょっと話したいことがあります。
ちょっと脱線みたいなことをしようと思います。(唐突)
このエッセイでは一節から三節までしつこく言ったものがあります。
一節のハイファンタジーの時に出した世界観の例のことです。
再度出します。
世界観①「舞台は地球。架空の存在とされる魔法使いは、実は昔から現代に存在していた。しかし、その存在や魔法は表にも歴史に出ることは無い。」
これは言わずとも分かりますね。
この世界観は「ローファンタジーの現代ファンタジー」になる。二節で挙げた「物語シリーズ」「fateシリーズ」が該当することも言いました。
ではもう一つの世界観。
世界観②「舞台は地球。はるか昔から魔法使いは一般的なものとして存在しており、現代でもその存在は当たり前なモノとなっていた。魔法使いによる魔法は文化文明にまで関わっていた。」
この世界観は一節と三節で語ったことをまとめると「ハイファンタジーの現代ファンタジー」という、何だが矛盾の塊のようなものです。
とは言ってもこういった世界観は実は別に珍しい物じゃないのですよ。
普通ですよ。ふつー。
この「ハイファンタジーの現代ファンタジー」に属するものは上で挙げている『魔法科高校の劣等生』『とある魔術の禁書目録』が該当し、他には『終わりのクロニクル』や「ハリーポッターシリーズ」もこれに含まれます。
これらすべて「飛躍した世界観」でありつつ「現代が舞台」のファンタジーとして出来上がっていて、なぜそんな世界なのかをちゃんと作中で明言されています。
面白いので買って読んでみてくださいね。(ダイマ)
さて、ここまで読んでそういえばと思った人はそれなりにいるでしょう。
「ローファンタジーの現代ファンタジー」
「ハイファンタジーの現代ファンタジー」
この二つを並べて疑問に思いませんか?
何か言い忘れていると思いませんか?
そう、「ローファンタジー=現代ファンタジーではない」という事を話していないのです。
……。
…………。
………………。
ここですよ。
冒頭で「正確に言うなら書く必要ありますか?」と言ったのはこれが原因です。
私は二節でこう書きました。
「現代に限らず、明治や大正時代、室町時代や戦国時代(安土桃山時代)といった過去の日本や、世界大戦といった戦争ものや、中世ヨーロッパ、西部開拓時代などの海外の歴史なども含めて、“それに可能な限り近い世界観”を持っているファンタジー物語を『ローファンタジー』と私は定義付けています。」
と。
そしてこの四節で「現代ファンタジー」の定義を出しました。
「作品が書かれたときの時代に合うまたは近い時代の世界観を持っている。」
と。
……。
「ローファンタジー」は“現実に近い(飛躍していない)世界観を持つファンタジー全般を指すジャンル”ということで。
「現代ファンタジー」は“現代とされる時代または近時代だけを指すジャンル”という事なんです。
つまり、“世界観の在り方”を指し示す「ローファンタジー」とは違い、「現代ファンタジー」は“地球の現代時代だけ”を扱うものなんです。
そうですね、簡単に言うと、今執筆している現在は2010年代です。
今、「現代ファンタジー」を書くのならば、概ね2000年代から2020年代辺りの文か文明を舞台に組み込むことが適切な「現代ファンタジー」という事になります。
上記のそれ以前だと現代ではなく“過去を取り扱った作品”であり、以降だと“未来(あるいは近未来)を扱った作品”になります。エヴァンゲリオンのようなものです。(『新世紀エヴァンゲリオン』は1995年から1996年に放送されたアニメで、舞台は近未来の2015年でした。)
ここでも「ローファンタジー」と「ハイファンタジー」の違いとして“世界観が逸脱しているかどうか”ということに似ていますね。
つまり、「現代ファンタジー」とは“作られた今から時代が逸脱しない時代”の地球を舞台にしたファンタジー作品を指すのです。
また、これまでのことから「ローファンタジー=現代ファンタジーではない」という事に関しての私の持論は、
「ローファンタジー」はあくまでも“時代関係なく現実の地球上を逸脱しないお話を描いたファンタジー”。
「現代ファンタジー」は“地球上を逸脱しないかつ、書かれた時代から逸脱しない現代で、多くの事象を描いたファンタジー”であり、「ローファンタジー」と「ハイファンタジー」両方の“細分類ジャンル”だという事です。
まあ、これで終わりとなります。
……。
…………。
………………。
……………………。
ある企画の為に手直し改稿しました。
それにしても短い。改稿前はこの四節は2100文字くらいだったのですが、改稿後でも3000文字ですよ。
今見ても短い。
まあ、一節から三節までに書きたいことは書いたので満足です。
四節は以上をもって語りを終えさせていただきます。
次は簡単な語りをさせていただきます。
1000文字以内で納まっているので、さっと読んでください。
ではでは。
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