二節「私のローファンタジー」
「ローファンタジー」と聞くと大体皆様は「現代ファンタジー」を思い浮かべることでしょう。
これは間違っていて間違ってないややこしい関係です。デジャヴ? 気のせいです。「現代ファンタジー」については後に話すのでこの節では後回しです。
ローファンタジーと対となるジャンルであるハイファンタジーは「飛躍した世界観」ということを前回で話しました。
という事は、ローファンタジーはその逆で、「飛躍していない世界観」という事になります。
さて、飛躍していない世界観はどのレベルから“飛躍していない”と判断するのでしょうか?
実はというと、色々な論文や作家のエッセイなどを見ても明確には定義付けされてないジャンルだったりします。ローファンタジーは曖昧なジャンル何ですよね。
それもそのはず、ファンタジーという“幻想”と取り扱うジャンルなのにも関わらず、「ローファンタジー」は“現実的な部分”を示そうとしているため、結果として“現実の部分と幻想の部分のすみ分けがし難くなっている”というジャンル分けというものに喧嘩を売っているようなジャンルなのです。
見方を変えれば間違いなく「ハイファンタジー」という曖昧なジャンルが「ローファンタジー」なのです。
そのことに関して、私の書くローファンタジーの定義なのですが、「現実と比較して身近と感じられる世界観」として書いています。
それは現代に限らず、明治や大正時代、室町時代や戦国時代(安土桃山時代)といった過去の日本や、世界大戦といった戦争ものや、中世ヨーロッパ、西部開拓時代などの海外の歴史なども含めて、“それに可能な限り近い世界観”を持っているファンタジー物語を「ローファンタジー」と私は定義付けています。
それら“地球の歴史において魔法や超能力が介入していない現実的な世界観”という事です。
前回で世界観①と②の例を出したと思いますが、①の方がローファンタジーであると言いました。その事と、上記で言っていることは同じことなのです。
さて、このような世界観を持つ作品は何があるでしょうか?
読んでいる皆さまも好きな作品を思い浮かべてください。
私が挙げる作品は『化物語』を始めとする「物語シリーズ」と『Fate/stay night』を始めとする「fateシリーズ」(fate/grand orderは除く)の、この2シリーズですね。
2シリーズ共にいわゆる「日本伝奇小説」というジャンルのローファンタジーです。
この「伝奇小説」は本来は中国のファンタジー小説の事を指すのですが、日本においては現代を舞台にした奇妙な物語を指す小説の事を言うようになったやや特殊なジャンルで、それを「日本伝奇小説」といいます。基本的には「伝奇モノ」と言われることが多いです。
話を一つ戻して、「物語シリーズ」と「fateシリーズ」の二つを出した時に、殆どの人は「fateシリーズってハイファンタジーじゃね?」という人がチラホラいます。
違います。fateシリーズの世界観は、「現代において裏で魔術師が密かに儀式のための戦争をしている」という物語です。大前提として“魔術”というものがあっても現代にかけての歴史に干渉していませんし、実際に作中の一般人は「魔術や魔法は架空のモノ」という一般常識を持っています。
つまり、一般的な世界において、その裏で起きている魔術師の戦争をピックアップして物語にしたのが「fateシリーズ」なのです。
魔術というものがありますが、それを歴史などで中心としていない世界であり、現実から飛躍していない、かけ離れてはいない世界観なのです。
「物語シリーズ」も同様です。日本を舞台に現実にはいないとされる現象、物体、存在、つまり怪異と呼ばれる魑魅魍魎などとの交流を描いたものが「物語シリーズ」です。
この2シリーズに共通していることは物語が奇奇怪怪であること、そして舞台が“現実に限りなく近い事”です。
この二つを両立しているモノこそ私の言う「ローファンタジー」なのです。
……。
ん? 何ですか? fate/grand orderは除くのはなぜかって?
当たり前ですよ。あれハイファンタジーですから。
fate/grand orderは人類滅亡の原因である大きく改変された(魔術が干渉した)過去の歴史や異世界に赴いて戦うという、いわゆる「異世界ファンタジー」に属する物語で、完全にハイファンタジーだからです。なので、fate/grand orderはローファンタジーではありません。
以上を持って、私にとってのローファンタジーを話を終えます。
なんとか2000文字以内に収めることができました。
今後も短く簡単に書きたいと思います。
次はこのエッセイの中核であるネットのファンタジージャンルその一「異世界ファンタジー」についてです。
カクヨムに投稿されている物にも関係すると思うので興味があれば読んでください。ではでは。
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