私の“ファンタジー”……って何?
一節「私のハイファンタジー」
皆さんにとって「ハイファンタジー」と聞くと、どんな題名が出てくるでしょうか?
私は通常の小説は『指輪物語』『ナルニア国物語』、ライトノベルでは『キノの旅』『アリソン』や『境界線上のホライゾン』がパッと出てきます。(他にもありますが今後に出そうと思います。)
いま挙げた作品なのですが、世界観が割とバラバラです。特に、ライトノベルで挙げた『キノの旅』『アリソン』には魔法なんて出てきません。『境界線上のホライゾン』に至っては魔法なんて概念も定かではないほどに滅茶苦茶です。
これらをザックリまとめると。
『指輪物語』は敵の親玉を倒すために弱点の指輪を破壊する旅をする物語。
『ナルニア国物語』は少年少女が架空の世界ナルニアと現実を行き来する成長と冒険を描く物語。
『キノの旅』は主人公があらゆる文化文明を持つ国々を渡る旅のお話。
『アリソン』はある一大陸のとある少年少女の冒険活劇。
『境界線上のホライゾン』は恋人(とついでに世界の終末を防ぐ)の為に戦争を起こす物語。
統一のとの字もありませんね。これら全部ハイファンタジーです。ハイ。
ちなみに勘違いしそうなものなのですが、『指輪物語』『境界線上のホライゾン』の二作品の舞台は“地球”です。もう一度言います。“地球”です。何故そのような世界観なのかは今ここではさして重要ではないので本を読みましょう。
ではなぜ地球だなんだと言ったのかというと、「ハイファンタジーの舞台は必ず異世界であるとは限らない」という事です。
ぽっと出の様ですが割と重要な部分です。これは五作品の共通点を見ると意味が分かります。
あぁ、そうそう。今の時代はこのカクヨムを含め、「ハイファンタジー=異世界ファンタジー」という図式が出来上がっています。これは間違いであり、間違いではないというややこしい関係だったりします。
まあ、「異世界ファンタジー」については後述するので後回しにします。
話を一つ戻して、挙げてある五作品の共通点を話そうと思います。物語に統一が無く、地球が舞台の物語と架空の世界が舞台の物語。
これらに共通するのは「現実にはない飛躍した世界観を持っている」という点です。
全てに共通して「現実ではない」もしくは「現実にはない」要素が多く含まれています。それは種族であったり、異世界に行けたり、魔法であったり、信じられない国があったり、物理法則が追加されていたりと様々ですが、挙げた五作品すべて現実とはかけ離れている世界観を持っているのです。ここでのポイントとなるのは「かけ離れている」つまり「飛躍」していることです。例え舞台が地球で日本であっても「飛躍した世界観」ならばそれが「ハイファンタジー」なのです。
分かりやすい例えを言いましょう。
二つほど世界観を言いますので考えてください。
世界観①「舞台は地球。架空の存在とされる魔法使いは、実は昔から現代に存在していた。しかし、その存在や魔法は表にも歴史に出ることは無い。」
世界観②「舞台は地球。はるか昔から魔法使いは一般的なものとして存在しており、現代でもその存在は当たり前なモノとなっていた。魔法使いによる魔法は文化文明にまで関わっていた。」
さて、どっちがハイファンタジーでしょう?
簡単ですよね?
世界観②がハイファンタジーとなります。
①は魔法使いや魔法といったものは表に出ず、現実的な歴史(或はそれに類似した歴史)が昔から現代までそのまま繰り広げられているという世界観。つまり、普通の現代を世界軸にしたものであり、これはハイファンタジーと対となる“ローファンタジー”なのです。ローファンタジーについては次に語ります。
②は文化文明にまで魔法使いや魔法が関わっている。つまり、現実にはあり得ない文化文明が繰り広げられている世界観。つまり、現実からかけ離れた世界観となっており、このような飛躍した世界観を持つ物語はハイファンタジーなのです。
同じ地球が舞台でも世界にあるものが大きく異なったりかけ離れていると現実味が大きく損なわれます。
何度も言いますが、こうした飛躍した世界観を持つものがハイファンタジーというのです。
少なくとも私はそう定義付けて過去に小説を書いていましたし、そういう風に小説を見ています。
皆様もこうしたある程度このジャンルを「ここまではこうだ」と考えながら読んだり書いたりすると作品に対する考え方が広がって楽しめると思います。
ハイファンタジーはやや範囲が広く、どこまでがハイファンタジーなのか分からなくなることがありますが、そこを色々な人と議論するのも「作品を見る」という事の醍醐味です。
このハイファンタジーの話を片隅に色々なファンタジーの世界観を読み解いては如何でしょうか。
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