彼氏

そんな私でも何も私の噂を信じず、かつ私にちょっかい一つもしてこなかった男子がいた。そいつはイケメンだし、成績も良かった。また授業は静かに聞いており、休み時間には本を読んでいた。流石に漫画とかで出てくる、スポーツもできて成績も良くてイケメンで優しくてよく友達と喋っている。みたいなオールコンプリートな人なんていないんだなって思った。だけど私にとっては理想的というか、夢の中に現れた虚像のような人。だと思っていた。だから私はそいつに告白する事を決断した。告白なんて初めてだからどうすれば良いか自分なりに考えていた。そして至った結果は、自分スタイルでやればいい。ということ。私は金曜日の放課後に決断する事を決めた。そして当日。授業なんて全く耳に入らなかった。複数の先生から

「咲柚男 どうした。気分でも悪いのか。」

と聞かれたが、

「いや。ボーとしていただけです。」

とその場限りのユーモア無い返事をしていた。さらに友達からなんか話しかけられても、

「うん。そうだね。」

と言うだけで、上の空で返事をしていた。今思えばあの時の私ははたから見れば相当変だったかもしれない。いや、絶対に変だった。それでホームルームが終わった後その男の子 篠原 啓太(しにはら けいた)を屋上に呼び出した。そして私は、

「あなたの事が好きです。信じてもらえないかもしれないけど、実は私女なんです。なっなので信じてはもらえないかもしれないけど付き合ってくれませんか。」

と言った。その時の私は相当緊張していたらしくすごくカタコトな告白だったが、啓太くんは、いきなり私にハグをしてきて耳元で

「別に疑ったりはしないよ。君が君自身の事を言うって事は、本当の事なんだよね。だから大丈夫。付き合おう。」

と言った。その瞬間全身赤く、暑くなっていく事がわかった。隠すのに精一杯だった。私は頭が真っ白な状態で家に帰った。私は何も言わずに夕食を食べ終え、部屋に入ってすぐに寝た。いつもならもう5時間が起きているはずなのに寝てしまったから両親ともに心配してきた。と言っても5時間分多く寝たわけでは無い。むしろ寝られなかった。頭の中に色々な妄想が浮かんできて、寝るどころでは無かった。仕方がないから、朝まで寝ずに起きとくことにした。ベットの横の机の上に置いてあるスマホで時刻を見ても5分づつしか進んでいない。体感的には2時間ぐらい経ったような気がするのに。私はじれったくなった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る