1章 第4話

異形の少年は誰もいない空き地に入り今も眠っている少女をベットに寝かす。そして、もし目を覚まして逃げられないようについでに持ってきた手錠を手と足にかける。今さらだが完全に変質者な僕だがこんな世界になっているから尚更どうでも良い。この女には僕自信の為に利用させてもらう。そこで、ふと、思う。確かこいつら人間は異形につけられたら同じ異形になってしまうんだっけ。なら今も眠っている少女は僕が傷を負わしたことによりもうじき異形になってしまうのか。······別になろうがならまいがどっちでも構わないがなった場合僕の言うことを理解してくれるのかな。僕は一応異形だけど他の連中と違って意志がある。まあ同じ仲間だからと言っても僕は自分の為なら人間と異形問わず殺すがな。見たところ少女に変化は見られない。この女の耐性が強いのか。······自分はさっきから知らない事を知っているまるで既に体験したかのようなそんな感じに。

眠っている少女をみる。どこからどう見ても完璧な美少女だった。だからと言ってそれがどうした。見た目がどうあれ僕には関係ない話だ。利用する物は利用する。最終的にこの女がどうなろうと構わない。まあ、すぐに駄目になるのは困るがこの女次第だな。

そういえば食料がないな、自分は別に食べなくても問題ないがもしこの女が異形にならずに人間のまま行動するとなると必ず食べるもが必要になる。どうしたものかと考えていると少女が目を覚ます。


 ◈◈◈◈◈


「ん···」


少女は目を覚まして自分が知らない場所にいるのに気付き周りを見渡す。自分はヒナガお姉ちゃんと寝ていて、違う、ヒナガお姉ちゃんがいなくなって探しに行くと異形に襲われていて、ピンチだったから助けに言って、それで変わった異形と戦って負けた。


「私は生きているの?···そうだ!ヒナガお姉ちゃんは!」


とっさに起き上がろうとすると手足が何かに固定されていて動けないでいた。


「何これ!手錠?どうしてこんなものが」


「やっと、···起きたか」


かすれたような声がした方へ振り向くとそこには10歳位の異形の少女がたっていた。自分は思わず悲鳴をあげ逃げようとするが手足が手錠にかけられていて動けない。殺される!いや、ヒナガお姉ちゃん助けて。


「······」


しかし一向に襲ってこない異形を見て不思議に思う私は少しだけ冷静になり気づくそう言えば私以外声がした筈だが一体誰が?ここには今、私と目の前にいる子供の異形しかいない。なら、喋っていたのは。私は気になり子供の異形に話しかける。


「えっと、···喋れるの?」


いつ襲ってもおかしくないが恐る恐る声をかけたが反応はどうなんだろう。


「まだ、···ハッキリと···喋るのは···無理だ」


私は、初めて衝撃的に思えた。まさか、子供の異形が私に話を聞いて返してきた。こんなことがあり得るのか?あれ、と気づくこの子どこかで見たような、···あ!と声を上げる、そうだ、この子は私達が倒そうとしていた子の筈。結局私はこの子に殺されて。そうだ、私は死ぬ筈だったのにどうして生きているんだろう。私はお腹を調べようとするが手足が塞がれている事に気づきため息を吐く。


「安心···しろ、···僕が···つけた傷は···治した」


「君が治してくれたんだ、どうやって治したの?それに何故、助けたの」


「······」


黙りか、まあ一応助けてくれたんだしお礼をしておこうかな。···て、ちょっと待って?私は傷をつけられたんだよね、だったら私も異形になる可能性だってあるかもしれないじゃん。


「どうしよう、私が異形になっちゃったらヒナガお姉ちゃんを1人にしてしまうよ。それに世界を救ってみると誓ったのにそれも出来なくなってしまう」


そう言っていると、子供の異形が腹を抱えてかすれた声で笑っていた。この子は一体何を笑っているのかさっぱり分からなかった。


「あはは···世界を···救う?···それは···無理だ」


無理?この子は私が世界を救えないって言うの?確かに1人では無理かも知れないけど私にはヒナガお姉ちゃんがいるし、いずれも隕石により全ての道が塞がれているところも通るしかない、そして、その後は先に仲間を増やさないといけない。大変かも知れないけどそしていつか力をつけながら最終的には神様と戦いこの世界を平和にしてみる。


「だから、私は、こんなところでじっとしているわけにわ行かない」


「なる···程···でも、僕が···言ったのは···僕が···世界を···壊すために···その···手伝い···として···君を···利用すると···言う事···だから···世界を···救うのは···無理だ」


世界を壊すだって?ふざけないで、そんな事をこの子がやるって言うの。それこそ無理な話だ。君みたいな子に何が出来ると言うのだろう。


「一応···僕は···異形だ、···外にいる···連中を···命令できる···事だって···出来ると···思うぞ」


「だったら、私が今すぐに、君を止める」


「その、···状況で···どうやって」


「く!」


私はどうにかこの状況から抜け出すか考える。どうする?トイレいきたいと言ってその隙に逃げ出す?それとも別の何かで抜け出すかしかしそれが思い付かない。そうこう考えている内に子供の異形が近づいてきた。え、何?もしかして私を殺すの?そんな!嫌よ嫌!と暴れていると。ガチャリと手錠が外される。私はポカンとしている間にももう片方の腕と両足が外されていく。どういう事?この子は一体何をしているの。


「今から···僕は···あるところに···行く···そこに···お前も一緒に···ついて来て···貰う」


「断ったら?」


「お前に···断る権利など···無い、···今、この辺りは···異形が沢山···いる場所に···いる···逃げたところで···殺される···だけだ」


どうやらここから逃げ出すのは無理のようだった。


「その前に···腹ごしらえだ」


「そう言えば今何時だっけ?」


「昼だ」


そっか、もうその時間なんだ。でも、腹ごしらえって言っても食べる物ってあるのか聞いてみる。


「無い」


「無いんだ」


「自分は···無くても···問題ないが」


成る程、この子は異形だから何も食べる必要が無いのか、でも、それはそれで問題無いかも知れないけど、何だか嫌だな。この子にも何か食べさせてあげたいが。異形になったこの子は何を食べるのだろうか。人間とか?いや、流石に駄目だ。異形だからといってこの子にそんな物を食べさせる訳には行かない。でも、肝心の食べるものは私達がいた所に歩けどヒナガお姉ちゃんと会わせる事になる。この子がそんな事許す筈も無いだろう。


「ねえ、私、まだお腹減っていないから、君が言う場所に行こう」


「良いのか?」


「うん、多少何も食べなくても問題無いから」


そう言うと子供の異形が違うと言ってきた。何が違うのだろう。


「僕は···お前を···利用するために···連れていくんだ」


そう言う事か、確かにこの子が何しようとしているのか気になるが、もし、何かとんでもない事を起こそうとしているなら私が止めれば良いことだ。絶対にこの子に世界を壊す事なんて絶対にさせない。


「私は世界を救う以外に君を止める役目がある、もし、何かやろうとしているのなら全力で止めるから」


「出来るのなら···やるといい」


絶対にこの子を止めてみせる。そして、異形がわんさかといる場所に移動するが襲う様子がなかった。この子が命令しているお陰で私は無事にすんでいる。もしこの子がいなかったら私は無事ではすまなかっただろう。しかし問題が発生した、この子が命令しているのにも関わらず急に襲いかかってくる。私は、とっさに弓と矢を出現させ攻撃しようとするが子供の異形がいつ手に刀を持っていたのか知らないがそれで襲ってきた異形を斬る。


「どうやら···今の僕は···普通とは···違うから···襲う者も···いるらしい」


「そう、何だ、···所でさ、手に持っているそれって刀でしょ、いつ、持っていたの?」


「襲う事は···分かっていた···だから···その前に···刀を出現···させた」


まさか、異形であるこの子が異能を発動させたと言うのか。そんな事があって良いのか。もしかして傷を治したのも異能によるものなのか。お腹を触ってみるが異常は見当たらない。なら納得だ。


「ん?ちょっと待って、君は異能を2つ持っているの」


「因縁」


「え?」


「頭に直接···浮かんできた···因縁が何なのか···分からないけど···それが僕の···力だ」


因縁は様々だけどこの子が一体どんな因縁に対していっているのか分からないが傷を治したのも武器を出現させたのも因縁の力と言う事になる。私もあまり因縁について意味はよく分からないがそれでも危険な力だとは理解出来た。もしこの子が世界を壊すだけの力があればそれはまずい事になる。はたして私はこの子を止める事が出来るのか。


「突っ立って無いで···行くぞ···あまり離れると···襲われるぞ」


「あ、ちょっと、おいていかないで!」


こうして襲ってくる者は倒してこの子が行こうとした場所へつく。そこは隕石が落ちてきた場所で周りは沢山の隕石の破片が渦巻いていて異形も沢山いた。もしかしてこの子が行きたかった場所ってここなの?私は聞いてみる。


「そうだ」


「ここに一体なんのようなの?ここは異形も沢山いるし、強さも違う、それに渦巻いている中に入ることは無理だし」


「僕はまず異形の···相手をする···どうやら···こいつらは···命令が···聞かない···だから···お前も···手伝え」


まさか2人でこれだけの数の異形を倒すと言うのか。それは幾らなんでも無茶がありすぎる。その事を伝えるが、殺り損ねた奴をお前が仕留めろと言って異形の所に突っ込む。全く、こうなったらやるしかない。私は弓と矢を出現させて今、あの子が殺り損ねた者に矢を放つ。すると、こちらに気づいた異形達が数名こちらに向かってくる。ちょっと、これはヤバいと思いここから離れようとするが。逃げるなと言いながらあの子がこちらに来た異形を瞬殺する。


「お前は···そこから離れずに···僕の言った事を···していればいい···ある程度の事は···こちらで何とか···する」


そう言い次々に異形を倒していく。これ私、必要が無いよね、と思うがあの子が言われた通り殺り損ねた者を倒していく。そうして数も減っていき最終的には異形たちはいなくなった。


「まさか2人だけで全部倒すなんて、まあ、私はあまり必要が無かったかも知れないけど」


「いや···お陰で助かった···まだ力が···うまく···あつかえない···から···疲れる」


異形でも疲れるのか?いや、この子が普通じゃ無いだけだろう。それにしても周りの異形を倒したには良いが今も渦巻いている所はどうするんだろう。すると突如と声が響きわたる。


{外にいた異形が消失しました、何者かの手によるものと推測します}


何か機械じみた声で何かを発しているようだ。一体何?


{これによりブルー・メテオの周りを貼っている結界を解除します}


ブルー・メテオ?それよりも結界ってあの渦巻いている破片の事をいっているのか。すると、周りの渦巻いている破片が何かに吸い込まれるように移動する。その中心には大きな青く光る石、そこに破片が集まってきている。


{これにて今から初の試練を開始します}


あのブルー・メテオとか言う物が声を発しながら姿形が変わっていく。


「さっきから何なの!初の試練ってどういう事!」


「来るぞ」


さっきまで青い石だった物が青く光った大きな蛇へと変わる。これって何だかまずい事になってきた。まさか、こんなのと戦えって言うの?無理無理、絶対に無理だし。しかもこの子はちゃっかりと戦うように武器を構えているよ。


「殺らなきゃ···死ぬ」


「分かったよ!殺れば良いんでしょ、こっちだって死にたくないし」


こうして訳の分からない状況で戦うはめになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る