1章 第3話

「ふうー、スッキリした」


アスガは今、シャワーを浴びていた。あの神様の嫌がらせにひどい目にあった後、早く自分達の本拠地に行き汚れた服を脱ぎ捨て即座に体を洗い流す。まさか、自分があんな目にあうなんて···絶対にあの神様を許さないと心の中で強く思いながらシャワーを止めてその場から上がるとヒナガお姉ちゃんがドライヤーを持って待っていた。


「アスガ、終わったのなら髪を乾かしてあげる」


「ありがとうヒナガお姉ちゃん」


ヒナガお姉ちゃんが私の髪をドライヤーで乾かす。私の髪を乾かしている間にこれからの事について話す。まず、私達が戦っている異形について。あの異形達は今はまだ私達2人でなんとか倒せるが日に連れて強くなっている。なので2人で倒すのが困難になってくる。そこで、仲間を増やそうと考えている。前に私達にも仲間がいたけど余り信頼できる人達じゃなかった。だから、出来るだけ信用できる人がいれば尚更良い。


しかし、問題がある。もし、仲間を探すとなればあの隕石が落ちてきた所を通らなければならない。今、私達がいる場所は何処に通ろうが隕石が落ちていてどの道もそこは隕石の破片が空気中に大量に渦巻いている。その渦巻いている外には異形も大量にいて強さも段違いである。それに渦巻いている所を中に入ることは無理だった。何故、それを知っているかと言うと神様が言っていたからだ。そして今、私達がいれるのは本拠地から限られた場所だけなのだ。そして、私達2人意外誰もいない。この先ずっと2人で生きているとしたらそれは嬉しいけど無理がある。私達は戦わなければならない。じゃないと、あの神様が{働かざる者食うべからずだよねー、じっとしてないで、ちゃんと戦わなきゃー、この神様からご褒美をあげないぞー、今、生きていくには僕が必要なんだからさー、もちろん倒した分だけご褒美がアップするよー、あははははは}とまあ、こんな感じになる。食べる物が無くなるのは絶対に避けたい。因みに使えなかったシャワーが浴びれたりできるのも神様のお陰と言うことになる。さすが神様、大嫌いだけど!感謝感謝、大っ嫌いだけど!大事な事なので2回言う。絶対に他の皆もそう思っている。


話が逸れた。


とにかく、隕石から通るに危険っと言うことになる。私達に他の行く道なんて何処にもない。だったら仲間を探さずにいつも通りにこの辺りの異形達を倒していく方がましだ。


「はあ、ここは何とか地道に辺りの異形達を倒していくしかないよねー」


「そうよ、無理しなくてもこの辺りの異形達は私達2人倒せると思うからわざわざ仲間を探しに危険な場所まで行かなくても良いでしょう」


そうだねー、と呟きながら裸のままベットに飛び込む。


「こら、ちゃんとパジャマに着替えなさい!」


「えー、別に良いじゃん······にしし、ヒナガお姉ちゃんも早く脱いでこっちに来なよ。私達2人きりだからあんな事やこんな事が出来るよ」


「どうやら馬鹿はいっぺん死ななきゃならないようね」


手から槍を出現させてこちらに向けてくる。私は即座そくざに土下座をするとヒナガお姉ちゃんはため息を吐き気やれやれと言って私と同じベットに入って私を抱き締める。


「ヒナガお姉ちゃん?」


「布団だけ被せても冷えるでしょ、だから私が暖めてあげるからアスガは安心して寝なさい、昼になったら起こすから」


「うん、ありがとう。······ねえ、ヤっちゃう?」


「やらないわよ」


良いからさっさと寝なさいと言われて私は寝ることにした。うへへへへ、ヒナガお姉ちゃんの良い匂いがする。しかし、体が徐々に苦しくなり始める。どうやらヒナガお姉ちゃんが私の体を強く抱き締めているみたいだ。ごめんなさい、ちゃんと寝ますから。あ、その前に。


「ねえ、ヒナガお姉ちゃん、私は誓うよ」


「何を」


「私はこの世界を救ってみる」


「また、大きく出たわね。でも、そうね、だったら私もアスガのお手伝いをしなきゃね」


うんうん、ヒナガお姉ちゃんがいれば大助かりだよ。


「じゃあ、約束だよ、決して1人で無茶はしない事」


「分かったわ、どんな時でも2人で行動ね」


でも、あの渦巻いているあれをどうにかしなきゃならないのは確かだ。それをどうにかしなきゃどの道ここから出ることが出来ない。


「よし、そうと決まれば寝ますか、ヒナガお姉ちゃん、今度こそお休みなさい」


私はヒナガお姉ちゃんの温もりを感じながら今度こそ眠るのだった。


 ◈◈◈◈◈


「全く世話のかかる子ねアスガは」


私はすやすやと寝ているアスガの頭を撫でた後ベットから出てアスガの体が冷えないようにもう1つ布団を被せて私は外に出る。アスガの約束をさっそく破ってしまうけど出来るだけ異形を倒さないと。今更だけど倒した異形はいつの間にか消えている。それは神様が{君たちが倒したゴミはこの神様が綺麗にしてあるから安心して道の中を歩けるねー、あははははは}と言い最後はいつも笑う。それに神様は異形をゴミと言っているけど私はそう思わない。異形になった人達は例え死んでいたとしてもあれでも生きているんだ。生きていたんだ例え異形になっても私達が殺さなければあのまま。


「っ!駄目、異形達は今も苦しんでいる。死にたがっている。なら、殺るしかないじゃない」


私がある程度道の中を歩いていると。離れたところに2人の異形がいた。私はすぐに武器を出現させる。異形達はこちらに気づき私の方に向く。私は目を開く。そう異形になってしまった2人の女子供、8歳と10歳だろう、それが泣きながら私の所に物凄いスピードで襲って来る。


「こんな子供まで殺らなきゃいけないの!」


私は2人が子供だと知り一瞬体が動けないでいたが槍を構えてまず1人目を突き刺すがもう1人が来ている。私は突き刺した子を引き離しガードをする。だが、子供だが異形になった者は力が強く私は押し倒される。


「ぐ!」


私は地面に頭をぶつけて一瞬意識が飛ぶ。その間にも女子供の1人は私の首を噛もうとしている。例え噛まれても異形のウイルスが私の耐性より越えなければ問題ないけどもし越えてしまうと私までこの子達と同じ道を歩む事になる。私が突き刺した子が立ち上がりこちらに近づく。このままではまずい、何とか押さえられている子から引き剥がさなければ。2人は今も泣きながら苦しんでいる。だから私がこの子達を眠らせてあげなきゃ。


私を取り押さえてる子に電流を流す。すると悲鳴をあげながら私から離れる。私はすぐさま立ち上がり相手の心臓を突き刺すがこれで終わりじゃない、私はこの子にありったけの力で壁に突っ込んで電流を流した。私は突き刺した槍を引っこ抜きその子を見るとその子は微笑んでいた。私はその子にお休みなさいと言ってあと1人の10歳の子供に目を向ける。たった今、殺された子を見て泣きながら叫んでるのその子は私の所に走って攻撃してくる。しかも、今までとは違いドロップキックをしてきた。私は直ぐに回避する。するとその子は壁にまで激突してその壁は粉々に砕ける。それを見た私はゾっとする。


「あんなのが食らったら死んじゃうわ!気を付けないと」


その子はこちらに振り向いて砕けた壁の破片を掴み私に向けて投げる。


「!」


勢いよく来るので電流の壁を張り防ぐ。この子はさっきから他の異形と違い別のやり方で私に攻撃してきている。まさか、この子は考えながら行動しているって言うの?こんなのは初めてだ。知性があるならいつも以上に倒すのが厳しくなる。どうする、一旦逃げる?いや、あの子が私を逃がすわけない。なら、戦うしかない。


「はあああああ!」


私は一気に近づきその子に攻撃するが、その子は瞬時にその場をしゃがみ私の攻撃を避ける。そして、隙の空いた腹にパンチを猛烈に食らい後ろまで吹き飛び地面にバウンドして倒れる。


「がは!」


流石にこれはまずい。何なのあの子、幾らなんでもおかしい。急激にあそこまで強くなるものなの?余りにも異常過ぎる。その子を見てみるとこちらに近づいてくる。ヤバい、私は今度こそ終わってしまうの?なら、アスガはどうなるの?駄目だ、いけない、アスガをおいて先に逝くなんて絶対駄目だ。でも、体が動かない。このままじゃ本当に。


「ヒナガお姉ちゃん!」


「この声はアスガ?」


声のした方へ見るとアスガは弓と矢を出現させてあの子に目掛けて矢を放つ。その子はとっさに避け私から離れていく。


「ヒナガお姉ちゃん、どうして1人で無茶やっているの?約束したよね、どんな時でも2人で一緒に行動するって」


「アスガ······ごめんね、本当にごめんね」


「うん、だったら2人であの子を倒しちゃいましょ。ヒナガお姉ちゃん動ける?」


「ええ、だいぶ体も動けるようになったわ、ちょっとだけだけど」


私はゆっくりと立ちながらあの子を見る。アスガが来たことにより向こうは少し警戒するが問題ないといった感じで次の攻撃をしてくる。私は出来るだけこちらに近付けないように放電を放つ。そして、その隙にアスガが矢を放つ。その子はすぐさまアスガの攻撃を避け物陰に隠れる。


「ヒナガお姉ちゃん、何だかあの子いつも戦っていた異形と違うね」


「気をつけてあの子は考えながら行動してくる上に力がいつも以上に上がっているから気を抜くと殺られてしまうわ」


「そっか、でも、あの子は私の異能の力を知らないなら勝てる見込みはあるね」


「何か方法があるのね?」


「私に任せて!」


 ◈◈◈◈◈


僕は誰だ?ここは何処?どうして僕はこんなところにいるんだ?何故、僕は人を襲っている?あの2人は誰だ?何だか物騒な物を持っているみたいだけど。何だか怖い、そうだ、逃げればいいんだ。僕は今、物陰に隠れているんだから気づかないようにここから離れよう。僕はそっと子の場から離れようするが危険を察知してその場をすぐさま離れる。すると、隠れていた壁に大きな穴が空いていた。怖い!何なんだこれは!


「まさか、避けられた?」


「もしかしたら、危険を察知して避けたのかも知れないわね。これは、ますます厄介よ」


「ごめん、ヒナガお姉ちゃん、やっぱりさっきの作戦無理かも」


あの2人は何かいっているけどこっちは危なかったんだぞ!あちらが僕を殺すつもりでいるならこっちだってお前たちを殺してやる。僕は物陰から飛び出し弓を持っている方に駆けつける。


「ヒナガお姉ちゃん!こっちに来たよ!」


「!」


槍を持った少女がこちらに目掛けて電流を流すのを見て気にせず食らいながら突っ込み弓を持った少女の体を取り押さえる。


「きゃあ!」


「アスガ!この、アスガから離れなさい!」


うるさい黙れ、今すぐ殺してやる。僕は手を突き刺すような形にして取り押さえた少女の腹に突き刺す。


「······あ」


「アスガーーーーー!」


「ヒナガ···お姉ちゃん······逃げ···て」


「アスガ······ごめんなさい!」


そう言って槍の持った少女はふらつきながら血の流した少女をおいて逃げていく。一瞬追いかけようと考えたけどやめにする。まさか、おいて逃げるなんてね。もうじきこの子は死ぬだろう。僕はこの場から立ち去ろうとすると足を捕まれる、まだ生きているのか何かを喋っている。


「私は···世界を···救って···ガハ!···ヒュー、ヒュー」


世界を救って?何を言っているんだ。でも、何故だろう僕はこの子を助けたい。でも、どうやって?そう考えていると、とっさに体が動いてこの子を突き刺した場所に手をかざすと手から光が溢れてきた。すると少女の傷がみるみると治ってくる。僕はホッとするが自分がやった事に気づく。僕はどうしてこの女を助けたんだろう?こいつは僕を殺そうとした内の1人なんだぞ。だから、僕は死ぬ前にこの女を殺そうとした筈なのに、何故、自分は助けたいなど思ったんだろう。僕は異形なのに、······異形?何を言っているんだ、僕は人で···違う僕はそうだ思い出した。確か隕石が落ちてきてそれでどうなったんだっけ、急に苦しくなって息が出来なくてそして死んだんだっけ。そして、僕は異形になって僕は他の異形と一緒に行動していたんだ。


「は···ははは、あははははは」


少しだけだけどかすれた声で笑う。そっか、僕は変われたんだ、昔の自分じゃなく新しい自分に変わったんだ。僕は選ばれたんだ、このくそったれの世界に。ありがとうよ、だったらお礼に僕が世界を壊してやる。世界を壊すためなら何だってしてやる。だが今は、このままじゃ駄目だ。力をつけなきゃいけない。そうと決まれば行動するか、···その前にこの少女をこのままにしておくわけにはいけない。異形の少女、いや、少年は眠っている少女をかついで安全な建物まで移動する。例えこの女を助けたからと言って他の奴等などは関係ない。もし邪魔をするなら殺すだけだ。


これが異形の少年と2人の少女出会い。


{いやー、面白くなってきたよー、まさか、意思を持つ異形がいるなんてねー、これから一体どうなるか僕はゆっくりと見届けさせているよ}

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