第7章 我儘は女性の特権
ダンジョンの中は、壁の所々に
前衛にローク(騎士)
中衛にアニー(狩人)
少し下がり目にフローラ(ウィザード)とクロエ(神官)
そして後衛に俺、ショーヘイ(魔法剣士)という並びでダンジョンを進んでいた。
「ここは後方からの襲撃に注意が必要」と攻略本に書かれていたので、俺が
たぶん非力ながら
ここまでは順調、大きなトラブルもなく進んで来れた。
後はボス部屋へと続く分岐点が問題になってくる。
3ルートあるのだが、選択するルートによって出現するモンスターが違ってくる。
それと、他のパーティーが①のルートを選択すると、彼らがルートを抜け切るまで閉じられ、②と③のルートしか選択できなくなる設定になっていた。
「おし!分岐点だぁ~!」
ロークは分岐点手前の安全地帯へ誘導しながらみんなの方へ振り返った。
安全地帯は結界が張ってあり、ココにいる限りはモンスターからの襲撃を一切受けることは無い。
「ここで少し休憩しましょうよ~ふぅ~」
フローラは戦闘に疲れたのか、そう言って座り込んだ。
「そうだなぁ~ここで一旦休もう。中間地点だしね~ルートの確認も含め、補給もしておこうか!」
フローラの疲労度はMP消耗からきているように思えたし、ここで無理する必要なんて何も無いんだから・・・
『命のやりとり』に無理は禁物。これは戦闘における鉄則だ。
俺はみんなの顔を見渡しながら、一時の休息を摂ることを奨めた。
「よぉ~~し、みんな休憩だぁ~!」
ロークは疲れを知らないのか元気よく言葉にした。
・・・・・・・・
・・・・・・・・
「②のルートが閉じていますね。別のパーティーが通過しているみたい~」
クロエは表示したMAPを確認しながら、すでに閉鎖されているルートをみんなに伝えた。
攻略本からの確認事項
①ルート:スケルトンが主体
②ルート:コボルトが主体
③ルート:オークが主体
*共通:ゴブリンが横穴、隠し穴から出現することもあり。
昨夜のミーティングでは②か③を選択することに決まっていた。
①ルートを除外したのは・・・
「骸骨はダメ!」
「受け付けられない~絶対に!」
「
という女性陣の敵戦力を度外視した勝手気ままな
ロークは苦虫潰した顔で、ただただあきれ返っていた。
俺は、これは真剣勝負の『命のやりとり』なんだぞって言いたかったが、苦笑いで言葉を飲み込んだ。
・・・・・・・・
女性陣の消去法による選択で③ルートを進むことになった。
出現する主体のオークは、他のルートのモンスターから比べると動きが俊敏ではなく緩慢なタイプだが、デカイ図体から放たれる攻撃力は並々ならぬものがある。
中距離攻撃が主体のうちのパーティーでは、接近される前に処理することがセオリーとなる。
ロークが防御できるのは一体が限界だろう。
殴られ続けるとローク自体が消耗するので、それまでにアニーが得意の弓スキルでオークの影を縫って動きを止め、移動不可の相手に斉射する。
フローラと俺が魔術系スキルを同時に撃てば複数の相手にダメージが与えられるだろう。
クロエにはヒールと能力上昇系魔法でサポートしてもらう。
もちろん俺の役割は、後方と横からのゴブリン襲撃に備えなければいけないので遊軍的な立ち位置となる。
メンバーは、単に冒険者ギルドランクがD級なだけで個々の能力は十分に高い。
油断さえしなければ問題なく抜けられるだろう。
「みんな、もう大丈夫か?今から通路へ突入するぞぉ~!」
「了解!」
補給を済ませた俺たちは、安全地帯を後に分岐点へ進んだ。
③ルートに入ると同時に入口が岩壁で閉じられ、進む先の岩肌むき出しの薄暗い通路に松明が灯った。
・・・・・・・・
・・・・・・・・
斬った!斬りに斬った!!
かなりの量のオークやゴブリンを処理しつつ通路出口を目指す。
通路内は急に狭くなったかと思えば広くなったり、索敵できない隠し穴から襲撃されたりと・・・ここは、トリッキーさの中で無数に湧き出る敵をどう上手く
通路内には安全地帯が設置されていない。
戦闘後や移動中の補給のタイミングを誤れば危機的状況に陥る可能性があった。
俺たちはポーションローテを組みながら休むことなく戦い、そして前進し続けた。
「次が来たぞ~索敵できたのは前方に3体のオーク、後ろから5体のゴブリン!」
俺は索敵スキルで察知した接近中の敵を即座に報告した。。
「了解!前の3体は俺とアニーちゃんで、後ろはショーヘイとフローラ嬢に任せる。クロエっちは俺をマークしてくれ!!」
ロークはそう指示を流して前方のオークへと突撃をした。
「アニー了解です!」
「クロエ了解なり~!」
「フローラ、俺が敵に接近するまでに後方から範囲魔法を撃って少し削ってくれるかな。その後スラッシュかけて速攻処理するから!」
「フローラ了解しました!」
彼女は移動し始めた俺の後ろから即座に状態異常を引き起こす範囲魔法を撃ってくれた。
魔法の詠唱も高ランク魔法でなければ発動したい術名を唱えるだけで発動していく。
ゴブリン5体の動きが鈍った。
「ありがとうフローラ!この状況なら俺一人でも対処できるから、ロークの方をフォローしてやって!」
「は~い、了解しました。お後よろしくです!」
「ラジャー!!」
俺は走りながら、正面の1匹めを炎弾で撃ちぬき、すかさず右側の2匹目を斬る。
3匹目が背後から剣を振ってきたが、振り向きざま交わしつつ横斬りでスラッシュを入れる。
肉を切り裂く鈍い音と共にゴブリンは次々と倒れていった。
状態異常が解けかけた後ろの2匹は、前の3匹が瞬く間に倒されたのを見て逃げようとしている。
ここで散開され1匹ずつ追いかけるのは下策なので、左側の敵にすかさず炎弾を背中へ撃ちこみ、俺は右側へ逃げる敵を追いかけ脳天から両断した。
スキルの強弱加減は難しいが、自分なりには何とかこなせているように思える。
高ランクの技や術を使いさえしなければ、突き抜けた身体能力をベースに上手くやっていけそうだ。
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