第15話 入学式
寮で目が覚めた俺は、町でシオンが買ってきた薄めのグレーのパーカーを着て、黒いジャケットの制服とズボンを着た。コレが俺の学校での正装だ。
なんで今日、俺が正装しているかというと、今日が俺たちの入学式だからだ。まあ、俺は特・特待生だから、出席しなくてもいいがシオンが出るなら話は別だ。シオンがしっかり新入生挨拶をするのを目に焼き付けなければならない。
そんなこんなで、朝の支度をして部屋を出るとシオンに会った。というか俺とシオンは半ば同棲している。シオンは朝ごはんを作ってくれたり色々してくれるのだ。
「おはよ、シオン。朝ごはんありがとうね、忙しいのに」
「かまわないわ、新入生挨拶なんて簡単だしクラウンの朝ごはんより大切なものは無いわ」
シオンが不意打ちでそんなことを言ってくる。とてもうれしいが恥ずか死しそうだ。
「ほら、顔を真っ赤にしてないでぱぱっと朝ごはん食べなさい」
「わ、わかったよ。いただきます」
今日もいつもと同じパンと野菜のスープだ。いつも同じなのだが飽きずにいつまでも食べ続けられる。シオンの料理はそれだけうまいってことだな。
「今日もシオンのご飯はうまいな」
「ふふっ、ありがとう」
そうして朝ごはんを食べ終わって…
「よし、じゃあ初登校しますか」
「そうね、じゃあ」
「「いってきます」」
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そうして学校にやってきた俺たちは、1年Aクラスの教室に入った。大体8000人くらいを300人まで絞ってそれを成績順にA,B,C,D,E,Fに分ける。当然成績トップ2だった俺たちはAクラスというわけだ。1クラス50人になるが、正直覚えられる気がしないのでつるむ奴だけ名前を覚えようと思う。
教室には50個机と席があり、左前から成績順に座っていくみたいだ。一番前がシオン、2番目が俺、3番目がこの前出会ったカナリーだ。
「よう、カナリー。調子はどうだ?」
「応、クラウンじゃねぇか、ま、いつも通りってとこサ」
「今日はシオンの新入生挨拶だからな、しっかり聴けよ?」
「あぁ、もちろんサ、俺より強い奴の言うことはしっかり聴くサ」
「おう、頼むぞ」
このくらいが、俺がつるむ面子だろう。といっても、シオンとカナリーだけだけどな。
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「お前ら~、体育館に集合だ」
入学式の集合がかかった。
「シオン、カナリー、行こうぜ」
「ええ」
「応」
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そうして体育館に集まる俺たち。ここでも、もちろん成績順だ。この学校は実力至上主義みたいだ。
粛々と進んでいく入学式。そしてついにシオンの出番がやってきた。
「新入生挨拶、1年Aクラス、シオン」
「はい」
がんばれよ、シオン。シオンはしっかりとした足取りで、ステージの上へ上がっていく。上がって演台のところに立ち、はっきりした言葉でしゃべっていく。
「新入生挨拶。私は今年の新入生の全てに勝ってここに立っています。次は先輩方、あなたたちです。私と、クラウン以下全ての人間があなたたちの立ち位置を狙っています。特に順位持ちの方々、気をつけてくださいね?以上で挨拶を終わります。新入生代表、1年Aクラス、シオン」
会場は騒然とし、俺たちも騒然としていた。騒然としていたが俺は確かな面白さを感じていた。
「シオン、お疲れ様。かなり面白かったぞ?」
「ええ、すこし緊張したけど面白かったわ」
「じゃあ一緒に狙いますか、この学校の頂点」
「もちろんよ、あなたと一緒にね」
ああ、確実に面白くなるな。授業はどうかわかんないが、順位戦は面白くなるだろうな、楽しみだ!
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