第13話 入学試験!


 「ではシュライン学園入学試験、勉学の部はじめ!」


 俺たちは一斉にペンを取り、一心不乱に問題を解き始めた。


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 このシュライン学園の入学試験は三日間かけて行う。シュライン学園は魔法を使って、戦闘することを学ぶ学園だ。王都には他にも魔法で生活を豊かにするための学園などがあるので、この時期は生徒で王都がいっぱいだ。


 シュライン学園の入学試験は3種類の総合か、一芸特化によって決まる。『武術』か『勉学』か『魔法』だ。それぞれで優秀な結果を取れば、特待生として入学することが出来る。


 今日はその内の『勉学』の試験だ。明日は『武術』、明後日は『魔法』の試験がある。


 俺としては今日の試験は、歴史にさえ気をつけていればなんとかなるのだ。数学は日本での知識があるし、国語なんて教科は無いしな。


 この学園の試験はたくさんの人が受験する。今年は約8000人だそうだ。ここからどこまで絞るのかは知らないが、俺とシオンなら問題なく残れるだろう。


 よし、歴史の方は完璧だ。あとは数学だけだ。どうやら問題を見る限り、いわゆる四則演算と呼ばれるものばかりだった。俺なら全て問題なく解けるだろう。


 6+5=11


 3×3=9


 2+3=6


 6×2=12


 ・

 ・

 ・


 ふふ、完璧に解けてしまったぞ、私は…ッ!ハハハハハハ!


 「そこまで!後ろから回収しろ、もう書くんじゃないぞ!」


 「よし、集まったな。今日は解散だ。明日もまた頑張れよ!」


 よし、解散がかかったな。シオンのところに行って出来栄えを確認しよう。


 「シオン、どうだった?」


 「ええ、簡単だったわね、クラウンはどう?」


 「俺は、もちろんかんぺ…き…に」


 「ど、どうしたの?」


 そのとき俺の頭には2+3=6と書いたことが頭によぎった。


 「や、やばい。2+3を5じゃなくて6って書いたかもしれない」


 「え…クラウン、どういうこと?それ以外はちゃんと合っているんでしょうね?」


 「あ、ああ、もちろんだ」


 「ふふ、なら大丈夫じゃない。私についで2位よ、喜びなさい」


 「な、なら大丈夫か、はは。明日頑張ろ…」


 「ええ、その調子よ」



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 2日目。今日は、武術試験の日だ。昨日のことはもう気にしていない。寝たらメンタルはなんとかなった。


 武術の試験では、魔法を使用せずに純粋に体術や、剣術等の技術を計る試験だ。


 武術の試験は作戦を考えてある。それは『縮地で近づいて一撃で潰す』というものだ。縮地は俺がマンガから発想を得たものだが、実際に思いついて習得した奴もいるかもしれない。そういう奴はおそらく奥の手として縮地を使ってくるだろう。まあいないと思うが。俺たちは速さと言う部分でマウントを取れるのだから、存分に使っていくほかないだろう。


 「では、シュライン学園入学試験武術の部、はじめ!」


 武術の部では、生徒にバッジを与えて1人25枚獲得すれば、獲得した奴は合格、盗られたやつは失格のようだ。


 俺はまず、回りにいる敵を縮地を使い、1人残らず潰し、バッジを得る。これで14枚集まった。シオンはもちろん一緒に来ていたので、隣で一回り大きな円を潰している。俺は、直線上に縮地を使い、トップスピードで相手を潰しながらバッジを得る。俺とシオンがバッジを集め終わったのは、試験開始から12,3秒のことだった。


 終わったので試験官のとこに行くと


 「もう、終わったのか!?早すぎだろ!?魔法は使ってないのか!?」


 「はい、魔法の反応は出ておりません!」


 「うそだろ…。ま、まあいい。お前たち名前は?」


 「クラウンとシオンです」


 「わかった。お前たちは同率1位だ。帰って良し」


 「はい、ありがとうございました」


 帰り道で


 「なあ、シオン。どうだった?」


 「どうってあなたそれは…」


 「「弱すぎ」」


 「だよね~」


 「ま、いいじゃない。約束が簡単になったってことじゃない」


 「そうだね、うん、ならうれしいや。でもこんな簡単に合格できて入ったところで学ぶことなんてあるのかな…ボソ」


 「まあ、とりあえず明日も頑張りましょ」


 「そうだね!」


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 3日目。今日は魔法の試験だ。


 魔法の試験はいわゆる的当てゲームだ。うまく魔法の威力を数値化する魔道具に当てるのだそうだ。俺はどのくらい数値が出るんだろう。


 「この魔法の試験で使う魔道具はとても頑丈で壊れはしない。だから本気で当てるように。因みに4桁までならきちんと数値化されるぞ。終わったものは、順次解散だ。ではシュライン学園入学試験魔法の部、はじめ!」


 いろんな奴がいろんな魔法を使って的に当てていく。だが4桁はまだ出ていないようだ。貴族の坊ちゃん嬢ちゃんは3桁の後半とか出してた。今の最高は878。


 「次、クラウン!」


 「クラウン、頑張ってね」


 「うん、任せとけ!」


 そうして俺は開始線に立つ。


 「好きなタイミングで撃つといい」


 「わかりました」


 じゃあここで新魔法のお披露目だ。しっかりとイメージして…


 「『六枚の翼磁剣ゼクス・フリューゲル』!」


 この魔法は砂鉄を使って六本の剣を作り、それを自在に操る魔法だ。


 「ハァァ!」


 的に極を付与して剣を加速させながら当てる。でかい砂煙があがって、的が見えなくなる。砂煙が収まると…


 「的が壊れてる!?」


 「うそだろ!?」「ほんとなの!?」


 どうやら的が折れていたみたいだ。この場合判定はどうなるんだろう。


 「試験官、この場合俺の判定はどうなるんですか?」


 「うむ…、威力があって壊れたんだろう?ならば問答無用で合格だろう」


 「ほ、やったね」


 やったぜ、しっかり合格できた。シオンのほうはどうだろう。


 「『戦乙女の八重奏ヴァルキリー・オクテット』!」


 「フッ!」


 氷の剣が八本生み出され、的のほうへ飛んでいく。的から変な音がして的は壊れる。


 「うん、シオンも合格だな」


 「ありがとうございます、試験官」


 ちゃんと合格できたようだ。


 「お疲れ様、シオン」


 「ええ、お疲れ様、クラウン。あなたも的壊しちゃったんだって?」


 「うん、案外やわらかかったよ」


 「そうね、私のところもおなじだったわ。じゃあ帰りましょ」


 学園には無事入学することが出来たが、ちゃんと俺たちのためになることがまなべるのかな…?

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