学園編
第12話 王都と…
俺たちがスーレネム村から出て2週間、俺たちは王都に着いていた。馬車で1ヶ月かかるって聞いてたんだけど、もしかして俺たちって馬車より速いの?
「よし、シオン、頑張ろうね。約束のためにも」
「ええ、頑張って約束を守ってね」
約束と言うのは王都に来るまでの2週間で結んだものだ。まあ、簡単に言うと、特待生が取れたら初夜って感じだ。俺も大変なんだ。シオンは可愛いし、よくくっついてくるから第二次性徴が来てからものすごく大変だったのだ。むしろ、ここまで我慢した俺を褒めて欲しい。よくやったぞ、俺。
そんなこんなしていたら王都に入るための検問に着いた。そこには衛兵がいて入門チェックしているみたいだった。
「次の奴!」
「「はい」」
「お前たちは、学園入試を受けに来たのか。王都では受験が終わるまで受験生の宿泊は無料だからな、飯は朝晩が無料だ。しっかり飯を食べてよく寝て頑張ってこい!」
「「はい!」」
どうやら、王都は教育にお金をかけるみたいだ。ありがたいな。
「よし、王都に入ったことだしまずは宿探しかな?」
「そうね、私たちは速めに来たからまだ空いてるんじゃないかしら?」
「そうだな、じゃあ学園から近いとこから行ってみるか」
だから、まずは学園に行ってみないとな。
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学園から一番近い宿に着いた。
「すいませーん、今から受験終わりまで泊まりたいんですけど、いいですか?」
「あ、はい。いいですよ、それにしてもずいぶん速いんですね」
「ええ、まあ急いできたら速く着いちゃっただけですよ、じゃあ受験終わりまでお願いします」
「はい、かしこまりました。お客様は207号室をお使いください。2階の奥にありますよ。あ、3階以上は貴族様専用なので絶対に上がらないでくださいね」
「わかりました、じゃあシオン行こうか」
「ええ、そうしましょ。特待生を取るために勉強しないとね」
「特待生を狙ってるんですか!?へぇ~、優秀なんですね~」
「はは、まあシオンのほうが優秀ですね、天才なのに努力もするんで手に負えないですよ」
「何言ってるのよ、クラウンのほうが優秀でしょ。じゃあ、あ、名前教えてもらってもいいですか?」
「ああ、私はサナです、よろしくお願いしますね、シオンさん、クラウンさん」
「ええ、よろしく。私のことはシオンでかまわないわ。クラウンのこともね」
シオンが俺の呼び名まで決めるのか。まあいいけど。
「じゃあ、よろしくお願いしますね、サナさん」
「ええ、こちらこそ、ではようこそ『森の木漏れ日亭』へ!これから受験終わりまでよろしくお願いしますね」
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俺たちは無事宿を手に入れることが出来た。看板娘もついているという良いところをゲットしてしまった。これは縮地を覚えた甲斐があったというものだ。
しかし、お貴族様と一緒の宿か。なんか騒動が起きなかったらいいんだけどな、シオン絡みで。俺とシオンの武力だけで収まる範囲ならまだマシか。
「特待生って、『勉学』『武術』『魔法』の3つのうちどれかが良かったらなれるんだっけ?」
「ええ、そうね。でもそれじゃ特待生のランクが低いの。全部の科目を高得点で取らないと授業費免除とかにならないわよ」
「なるほどな、魔法と武術はなんとかなるとして、勉学は歴史が不安だなぁ。暗記苦手だし」
「じゃあ歴史を中心に勉強していきましょ。大丈夫、まだ2週間ほどあるわ。地道にやればクラウンの忘れているところの穴も埋まるわ。あなたは優秀なんだもの、できるわ」
シオンにそういわれちゃしないわけにはいかないだろ。
「わかった、一緒に勉強付き合ってくれる?」
「ええ、私も一緒にやるわ。一緒に特待生取りましょうね」
そこから2週間、207号室では時折サナも混じって勉強会が続いた。
そして、学園入試がやってくる…。
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