第8話 魔物遭遇

 俺たちは今村の外にある森を歩いていた。本当は走って行って、即魔物を狩って勉強がしたいのだが、いかんせんこのデュエグというオッチャン、俺とシオンの縮地に着いて来れないのだ。

 

 というかデュエグのオッチャンは俺たちが使っている縮地というものを初めて見たらしく、稽古のときに使っているのは魔法だと思い込んでいたそうな。まあ、俺のは半分くらい魔法が入っているのだ。


 まあ、こういうわけで俺たちは森の中を歩いていると言うわけだ。


 「なあ、デュエグのオッチャン、まだ魔物はこないのか?」


 「まあ、テキトーに歩いてたら出てくるさ」


 その、歩いてるのがもう飽きてきそうなんだが…。


 「シオンちゃん、どんな魔物が出てくるんだろうね?」


 「さあ、わからないわ。でもきっと面白いわよ」


 「そうだね、そうだといいねー」


 「そういや、坊主どもは魔物を怖がらねえな、どうしてた?普通子供なら怖がると思うんだが…」


 「まだ、会ったこと無いからな、どういう奴かわかんないから怖がろうにも怖がれ無いんだよ」


 「へー、坊主。お前ほんとに6歳か?全然そんな風に見えないんだが」


 「まだ、6歳だわ、失礼な」


 「ははっ、すまんな」


 たわいない話をしていると、森からガサガサとした音が聞こえてきた。まあ、全方位森なんだが…。


 「坊主ども、どうやら来るみたいだぜ。準備しな!」


 俺とシオンは杖を構え、背中合わせになる。シオンが背中を守ってくれるってだけで、とてつもない安心感だな。


 「キシャー!」


 そうして現れたのは、緑色の子鬼のような生物。ファンタジー風に言うなら『ゴブリン』だろう。


 「どうやらゴブリンがお出ましみたいだな。気をつけな、相手は5体。背はちっこいが数がいるというのはそれだけで、力だ。わかったな」


 「ああ、じゃあ」


 「ええ、そうね」


 「「いくよ(わ)!!」」


 こうしてゴブリンとの戦闘が始まった。


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 俺とシオンは手近なゴブリンに向かって縮地で向かっていく。その間に、杖のフックみたいなところに俺は砂鉄で、シオンは氷で刃を作る。


 杖のフックに相手の首をいれ、思い切り切り裂く。2人とも、綺麗に切れたようだ。


 手ごたえはあまり無い。だが、今そんなことを考えているならすぐ死ぬということを俺もシオンもわかっている。すぐに思考を切り替え、次の敵と対峙する。


 杖のフックを相手に向けて、改めて構えなおす。もちろん相手の動向に気をつけてだ。


 今度はゴブリンから攻撃を仕掛けてくる。持っている棍棒を振ってこちらに当てようとするが、そんなやわな攻撃に当たるほど俺もシオンもヘッポコじゃあない。綺麗に避けて、今度は杖の下先で突いてみる。当たりはするが、ダメージはそれほど無い。まだ筋肉が付いて無いんだろう。すぐにフックでの攻撃に切り替え、相手を切り裂いていく。杖を長めに持ち、棍棒の射程圏外からの攻撃。フックにうまく首を入れて切り裂く。シオンのほうもどうやら2体目が終わったみたいだった。


 「シオンちゃん、じゃああと一匹。一緒にやる?」


 「いいわね、そうしましょう」


 そう言うとすぐに最後の一体のところへ向かい、シオンは首、俺は腰にフックを当ててそのまま切り裂く。ゴブリンが3つになったところで戦闘終了。


 「お、おう。すげえな坊主ども。こんなあっさりゴブリンが殺れると思ってなかったぜ」


 「シオンちゃん、どうだった?」


 「簡単だわ、こんなの。クラウン君との稽古のほうがよっぽど危険度が高いわね」


 「そ、それは喜んでいいのかどうかわからないけど、まあ確かに簡単だったね」


 「それはそうと、坊主ども。吐き気とかあったりしないか?」


 「ん?無いよ、シオンちゃんは?」


 「特に無いわね」


 「そ、そうか。お前たち精神も強いのかよ…。まあいっか。坊主ども、怪我は無いか?まあなさそうだが一応聞いとこう」


 「「ないよ(わね)」」


 「よし、怪我も無し。それじゃあ帰るぞ、ゴブ共は俺が持って帰ろう。お前たちはその強さなら大丈夫だろう。先に帰ってていいぞ」


 「お、いいのか。じゃあ先に帰ろうか。ね、シオンちゃん」


 「ええ、そうしましょ」


 こうして俺たちの初めての魔物討伐はあっけなく終わった。


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 俺たちは今村に帰って家にいる。森の魔物狩りについて聞かれているところだ。因みに俺の家のほうだ。


 「じゃあ、本当に2人とも怪我は無いのね。よかったわ~」


 「母さん、心配しすぎだよ。俺たちはもうそれなりに強いんだよ?」


 「それでも、親はいつまでたっても、どのくらい強くなっても子供のことに関しては心配なんですぅ~」


 「ふ~ん、そういうものなのか」


 「そういうものなの。まあ今回は2人とも怪我も無かったし、初めての魔物狩りができたってことで、晩御飯はご馳走よ!」


 「「おぉ!」」


 「じゃあ準備するから待っててね」


 「「はーい」」


 今夜はご馳走だった。


 それにしてもゴブ戦は簡単だったがそれなりに楽しかったな。俺は戦闘狂バトルジャンキーじゃあないはずなんだが…。戦って勝つっていうのはやっぱり楽しいんだろうな。今夜はぐっすり眠れそうだ。じゃあおやすみなさい。





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 あとがき失礼します!


 累計PVが100を突破いたしました!ありがとうございます、ありがとうございます!これからも頑張っていきますので、ハート、コメント等で応援よろしくお願いします!

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