第2話 魔法鑑定

 そうやって来る日も来る日もシオンと遊んでいると2年がたっていた。俺もシオンも3歳になったのだ。そしてこの世界で3歳になることは重要な意味を持つ。それは、自分の魔法を鑑定してもらえるのだ。その前に色々説明しないといけないな。この世界には魔法が存在しており、1人にひとつ魔法があるのだ。珍しい魔法などもあるので、ぜひともその珍しい魔法であって欲しいものだ。

 俺は今、お母さんと一緒に魔法鑑定を受ける準備をしている。おめかしの途中なのだ。


 「クラウンは、どんな魔法なのかな~」


 「ん~、どうなんだろうね?できればかっこいい魔法がいいな!」


 そう、俺はしっかり喋れるようになったのだ。やっぱりしっかり意思疎通できるのは楽しい。


 「今日もシオンちゃんと一緒なんだよね?」


 「そうよ~、今日のシオンちゃんは可愛いわよ~」


 可愛いシオン…、楽しみだなぁ。



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 「お~い、こっちこっち!」


 お、どうやらシオンたちも来たみたいだな。今、俺たちがいるのは田舎村の中央にあるでかい広場だ。ここで魔法鑑定をするみたいなのだ。俺たちの他に結構人はいるのだが、鑑定を受けるのは俺たちだけだ。周りにいる奴らはお祭り騒ぎしたいだけの奴らだ。


 「どちらから鑑定を受けるのだ?」


 そう聞いてきたのは、この村の村長だ。村長の家には鑑定できる魔道具なるものがあるらしい。魔道具というのは、魔力を流すと、その魔道具に設定された魔法が発動するというものだ。日本でいうと、電化製品みたいなものだな。


 「シオンちゃん、どうする?」


 「ん~、私が先にやってみてもいいかしら?」


 「うん、どうぞ」


 先にシオンがやるみたいだ。


 「では魔道具に手を乗せてくれ」


 ファーという神々しい音とともに丸い水晶のような魔道具のなかに文字が浮かんできた。そこには『氷魔法』と書かれていたのだ。


 「クラウン君!私氷魔法ですって!」


 「すごい!かっこいいじゃん、氷魔法!」


 「いいでしょ?」


 「いいなー、いいなー」


 すごいな、シオンは。ホントに氷魔法ってかっこいいな。


 「次はクラウンだな。手を魔道具の上に乗せてくれ」


 「はい!」


 よし、おれは一体どんな魔法なんだろうな!


 またしても神々しい音とともに文字が浮かび上がってきた。するとそこには『磁魔法じまほう』と書かれていた。


 「シオンちゃん、俺は磁魔法だって!」


 「クラウン君、磁魔法ってなに?」


 「よくわかんない!でもなんか面白そう!」


 「これにて今年の魔法鑑定は終了だ!2人ともしっかり修練に励むんだぞ」


 「「はい!」」


 こうして俺たちの魔法鑑定は終わった。


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 魔法鑑定が終わってから両親に俺の磁魔法のことや、魔法の練習の仕方について聞いた。磁魔法のことは2人ともわからなかったが、魔法の練習の仕方はいろんなことを教えてくれた。まずはとにかく魔法の元になる魔力の扱いに慣れることから始めろと言っていた。魔力が出せるようになったら魔力を限界まで使って回復して、また限界まで使うという作業をするみたいだ。これで魔力容量が多くなるそうだ。そして、どんな魔法を使うかというのをイメージするみたいだ。魔法をイメージしたらその魔法に名前をつけると良いみたいだ。そうすることで、名前とともにイメージが頭の中に浮かんできて、魔法が失敗しにくいそうだ。

 そういうことなので、まずは魔力を上手に扱えるようになることを目標に、シオンと一緒に練習する。まずは、魔力をお腹の奥の方から生み出し、それを身体全体に行き渡すようなイメージで…。結構難しいけど、俺もシオンも練習すれば出来るようになってきた。

 だが、ここからが大変だった。そう、魔力の限界までの行使だ。これが疲れること疲れること。俺もシオンもヘロヘロに毎日なったのだ。

 魔力が回復している間に、魔法を使うイメージをする。俺の磁魔法は、文字面を見ると磁力を操る魔法のように見える。実際そうなのだろう。俺の両親も、俺の魔法に磁石みたいな効果があると予想していた。そこで俺はある練習を開始した。

 ところで瞬間移動とか、縮地とかいう言葉を知っているだろうか?俺はもちろんマンガで見たので知っている。この技は日本に居た頃、大好きだったので俺はこの練習を始めた。俺の読んだマンガによると、『入り』と『掴み』が重要だと書いてあった。だから俺はまず足を手の如く動かせるように特訓した。特訓し、実際に縮地をしてみる。最初は全然、それこそ普通に歩くより少し早いくらいだったのだ。


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 魔法の練習をし始めてから2年くらいがたった。俺もシオンも5歳になった。魔法の練習の方は魔力容量が限界まで上がったので、もっぱらイメージとイメージしたものの行使しかしていない。縮地の方はだいたい5メートルほどは出来るようになった。両足で出来るようになったから、疲れるまでずっと縮地をすることもできるようになった。シオンも俺が練習していたらするようになってきて、俺と同じくらいまでできるようになったのだ。シオンすげぇ。シオンは氷魔法もだいぶ出来るようになってきて、村のみんなからは天才って言われてるみたいだ。俺もそう思う。シオンの使う『氷玉アイスボール』は、木をえぐるレベルで強くなっている。

 俺のほうの魔法はというと、縮地と、磁魔法を組み合わせようとしていたのだ。磁魔法で物に極を付与できるみたいなので、それを使って自分の足と着地点を逆の極にして、引力を発生させて加速するのだ。それに縮地をあわせる。めちゃくちゃな加速をするがとても面白い、ぜひ物にしたいのだ。俺はこの磁魔法と縮地の合わせ技を『瞬磁動歩モーメントステップ』と名づけた。今のうちは極の引力を弱く設定しているので、怪我はしないが引力を強くすると着地の衝撃に足が耐えられず骨折してしまうだろう。大きくなってから、引力を強くしよう。

 

 最近はうちの父さんと稽古したりする。これがまた楽しい。シオンも一緒だ。基本的にまだ素手だが、もう少し大きくなったら2人とも武器を使うようになるだろう。そのときもまた楽しいんだろうな…。

 父さんとの稽古中も魔法を使う。たとえば拳と父さんの身体のどこかに極を付与して引き寄せながら殴るとか。シオンは拳に氷を纏わせたりしていたな。めっちゃかっこよかった。どうやらこの国には魔法学園なるものが存在するようなので、大きくなったらシオンと一緒にそこへ入学するつもりだ。これにはシオンも同意見で、「クラウン君と一緒にいく!」と言っていたのだ。超うれしい。シオンはどんどん可愛くなっていくしな。


 「よし、じゃあ父さん、いくよ!『極拳きょくけん』!」


 「うおっ、またこれか!だが父さんは何度も同じ手は食らわない!ほっ!」


 「うまくよけたね!じゃあこれはどうかな、『砂鉄棘さてつきょく』!」


 「まだまだぁ!『エアプレス』!」


 エアプレスは上から強力な風で押しつぶす魔法だ、父さんはこれで砂鉄棘をつぶす。だが、


 「『瞬磁動歩モーメントステップ』!終わりだ、『極拳』!」


 ドゴォ!


 「ふっ、父さんの反応をなめるなよ?だが、最後の『瞬磁動歩』は良かったぞ」


 「ありがとう、父さn「コラー!!!!」やばい、母さんだ、さすがにやりすぎたかな。逃げろー!」


 まだまだ魔法の練習をしなきゃいけないな!

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