第171話 毒使い

深い緑色をした胸当てが見える。

ずっしりとした感触がして、今までの鎧よりも少し重い。


「どうだ、着られるか?」

「うむ……サーシャ、手伝ってくれ」

「はい」


今までは、首を通す穴をシャツのように着込む形だった。

しかし、アインツに渡された新しい鎧は、前後から装甲を装着し、ガチャリと組み合わせるような構造のようだ。


「慣れれば、1人でも早く着けられるはずだ」

「ふむ……。防御性能は?」


クマが出来て眠そうではあるが、アインツは目の奥を光らせて満足そうだ。


「前後からの攻撃には、かなり強い。渡された鎧だが、とんでもないな。意図の掴めない構造も色々あって……まあ、申し訳ないが、シンプルにさせてもらった」

「ほう? まあ、アインツに任せたのだから、文句はないぞ」

「分かる範囲でも、相当な拘りを以て作られたってことは明白だ。メインとなる素材はおそらく、良質な魔物素材だろう」

「何の魔物かは分からない、と」

「分からん。鉱物ならまだ分かるが、魔物素材というと、古今東西色々だからな……。おそらくだが、魔法も多少使いやすいんじゃないか」

「どうしてそう思う? 何の素材か分からないと言っただろうに」

「裏に、魔導のものらしい紋様があった。壊れて、途切れていたがな」

「ほう、魔導防具だったのか……」

「そっちはボロボロだったから、すまねぇが、削ったぜ。その分、柔らかい素材を挟んで動きやすくした」

「そうか。削ったという紋様は残ってないのか? アカーネに見せてみたいが」

「削り取った一部は残ってるが……すまない、そこまで気が回らなかった」

「いや、いい。渡す前に気付けば良かったが、気付かず渡したのだから俺の落ち度だ。それに、どうせ壊れてたんだろう」

「そうだな、素人目に見えても、使えそうな状態じゃなかった。で、横には、フックとか色々付けておいた」


鎧の横を手で探ると、確かにゴテゴテと色々付いているような手触りを感じる。

何用かね?


「ヨーヨーは長い剣を使うだろう。引っかけたり、吊るしたり、色々出来るようにしといた」

「ふむ」

「後ろに付けてもいいんだが、それだと野宿の時寝られないだろうからな。そこは、鎧の上に革の上着を着て、そっちに装着できるようにしてみたが」

「ほうほう」

「まあ、ヨーヨーはもともとベルトと、革のヒモみたいな奴に固定していただろう。それを拡張したようなイメージだ」

「なるほど」

「剣を着ける意外にも多用途に使えるように、ヒモを引っかける場所なんかも用意してる。まあ、細かいことは後で見てくれ。収納も増やしといたぞ」

「ポケットか?」

「ああ。上着にも、ベルトにも、色々入れたり下げたりできる。鎧の内ポケットもあるぞ。ちょっと取り出しにくいが、あまり人目に触れたくない物もあるだろう」

「なるほどな。確かに、実用性から考えるのが得意と言うだけある」

「まあ、ちょっとしたことだ。それと……1つ注意点だ」

「注意点? 聞こう」


アインツは、鎧の横腹のあたりを手で示して、険しい顔になる。

横腹のあたりは、緑がかっている胸当てと比べると真っ黒で、ゴムみたいな伸縮性を感じる。


「ヨーヨーは、見た限り結構激しく動き回るみたいだから、動きに干渉しないように気を付けた」

「ほう」

「だからと言っちゃ何だが、前後に比べて横の防御力は頼りにならない。まあ、脆いわけじゃないが」

「素材は?」

「魔木を似た奴を軸に、もとの鎧の素材で補強した感じだ」

「元の革鎧と比べると、どうだ?」

「ヒトによる」

「……ん?」

「今回使った魔木はな、補正やスキルの影響を受けやすいらしい。防御の補正がD以上あれば、それなりの革鎧より硬いと聞いたが」

「Dか……」


俺はちょっと例外として、従者組でD以上のステータスがあるのは、キスティの「攻撃」くらいじゃないだろうか。

結構高いハードルだ。


「まあ防御力より、動きやすさを重視した形だ。気になるなら、元の素材をさらに重ねることもできるぞ」

「いや、これでいい。動きやすさは大事にしたい」

「そうか……」


アインツは頷きつつ、少し不安げだ。

自分が拵えた防具の強度不足が原因で俺が死んだりしたら、夢見が悪そうだしなあ。


「それにしても……ここまで原型がないとはな」

「すまん、元の鎧を気に入っていたか? 色々考えたら、一度バラして、骨組みだけ利用した方が良さそうだったんでな」

「いや、別に思い入れがあったわけでもない。むしろ、丁寧に考えてくれたようだから、感謝する」

「そうか。俺も、普段は扱えないような素材を前に悪戦苦闘してみる経験が出来て、良かった。思いの他楽しかったしな」

「……アインツは、鍛冶職人というより、色んな素材を集めて防具製作をした方が、合っているかもな」

「そうかもしれん。だが、それも基礎の鍛冶技術があるとないとじゃ、出来ることの幅が全然違う。少しずつ、精進するよ」

「ああ」


クデンのおっさんの鎧から流用した、胸当て部分が目立つが、鎧はそこだけではない。

今まで、買ったり、襲ってきた敵から拝借した色々なパーツを組み合わせていた俺の鎧だが、アインツが1つの鎧として作り直してくれたので、大分すっきりした。

脇と、手・足回りは装甲が薄い代わりに、動きやすい。

それに、装甲が薄いと言っても、死蜘蛛の腕当て・すね当てを着けるので相当防御力は補えるはずだ。


更に、靴も装甲を着けた新品を下ろしてくれた。

こちらはもとの鎧からサイズを合わせて、最後の仕上げだけ残していたらしい。

幸いぴったり合い、微調整だけで完成する。


あまり合わなければ、靴の土台を作ってくれた靴屋に調整をお願いするつもりだったらしいが、その手間が省けた。

もともと使っていた靴も、予備として持っておく。

新しい靴も装甲は最低限だが、それすらも重いとなったときは、履き替えるためだ。


「じゃあな、アインツ。世話になった」

「西の国に行くんだったよな。戦士団から声は掛からなかったのか?」

「さてな。どっちにしろ、俺には合わんよ。魔物は魔物で怖いが、ヒトの争いは、薄気味悪い」

「そう、か……。なあ、ヨーヨー」


アインツは、目尻にしわを寄せて、眩しそうな表情で俺を見た。


「この鎧を作りながら、色々考えたよ」

「……。何をだ」

「お前が、俺を助けてくれた理由」

「……それは、色々と背景のあったことだ」

「決闘の道を作ってくれたこと、だけじゃない。決闘の時、色々手も加えてくれただろう」

「気付いていたか」

「後々になってな。情けないことだが、あの時は無我夢中で」

「気にするな。それとも、決闘に水が差されたことを怒っているか?」

「いや……まあ、あの細目の男にとっては、重大事だろうがな。不思議と、俺は何も思わない」

「そうか。まあ、俺のためにやったことだ。難しく考えるな」

「そうだな、そうなのかもしれん。案外な。ヨーヨー、俺は考えたんだ。お前にも立場があるんだろう。俺を助けたことも、何かの計画の一部だったのかもしれない。だが……それは、同時に他の意味があることを否定するもんじゃない」


アインツは、じっと俺を見たままだ。

居心地が悪くなって、わざと不機嫌な声にする。


「回りくどいな。何だ?」

「つまりだ。俺は、もしかしたら……いや、多分、お前は単に優しいだけなんじゃないかって、そう思ったんだ」

「……」

「気を悪くしないでくれ。俺が勝手に、そう思っただけだからな」


アインツは、俺が奴隷を買ってパーティにしていることなんかも知らないわけだしな。

いや、この世界だと、奴隷を買っているくらいで悪認定はされないのだっけ。


「別に嫌だとは思ってはいない。勝手に思ってろ」

「そうか。ありがとな」

「……世話になった」


二度目の挨拶をして、鎧を抱えて外に出る。


「おお、主! 鎧は出来上がったのか?」


村の道を向かってくる、キスティたちが見えた。


「ああ。ミヅカとの訓練は出来たか?」

「上場だ。あの御仁、なかなかの腕だぞ」

「それは良かった」


キスティに、鎧を持ってもらう。

華奢にも見える体躯で軽々しく持ち上げているので、違和感がすごいな。


「ほう。なるほどな」

「どうだ?」

「良い造りではないか。なるほど、動きやすさに考慮されている」

「そうみたいだな」

「手足は、各所に装甲を取り付けるような形か。不足しているのは……肩当てか」


肩のところにも装甲は付いているが、普通の鉄板だ。それに、敵の刃を止めるような突起のような防具はない。


「まあ、残りも追々強化していくさ。とりあえず、胸当てはかなり強化されたようだぞ」

「ふむ、そのようだ」

「サーシャ、準備はどうだ?」

「問題ありません」

「アカーネは?」

「ボクも特に……」


まあ、サーシャが食糧とかの確保をしているから、アカーネとしては特に仕事がない状態だ。

全員分の魔道具のメンテナンスをしてたくらいだが、それは旅中でもやってる。


「では、裏門に向かおう。案内人は着いてるかな?」

「まだのようです。ご主人様、門の所でその鎧も着込みましょう」

「そうだな……」


少し重くなったので、疲れないか心配だ。

最近は、もやしっ子だったアカーネも長旅にすっかり慣れてきてしまった。

バテバテのアカーネを見て、俺は内心同情しつつ、気を紛らわせることができたんだがな。


「……なあに?」

「いや、なんでもないぞ。アカーネ、その後”ガラクタ”はどうだ?」

「うん、まだ反応するよ。……多分、対になる魔道具はどこかに置かれていて、動かないんじゃないかな」

「何故そう思う?」

「反応が一定だから。いや、ブレはあるんだけど、ブレの範疇で収まるっていうか。そんな風なんだよね」

「ほお。まあ、魔道具を追ってる誰かが近付いているとかいうよりは、安心だな」

「うん、そうだね。でも、その分探すのは大変かもよ?」

「まあ、無理して探すつもりはないが。南の国にあるのだとしたら、諦める他ないしな」

「そうだね」


アカーネと意見交換しつつ、門の脇の小屋を借りて鎧を着込む。

傭兵団に支配されていた頃はかなり警戒していたが、最後は武装しないまま出歩くくらいには、安心して過ごせた。

俺が言うことでもないが、やっぱり正規の戦士団が統治している方が、安心感が違うな。


「おお、良く似合っているぞ」

「そうか?」

「うむ。その……マスクを着けると、途端に禍々しくなるがな」


キスティが、ヨイショなのかイジリなのか分からないことを言う。


「それにしても、クデンのおっさんがあそこまで堅かったのは、やっぱり鎧が良かったからか?」

「それもあろうな。ただ、どうやら魔具として機能させていたようだし、ステータス、技量、魔力操作まで含めて鉄壁を作っていたのだろう」


となると、俺が素材だけ頂戴しても、クデンのおっさん並の防御力は無理と。

それにしても、優秀な武具を揃えても、ステータスやスキルでひっくり返される世界か。

地球世界とは、武具の発展方式が全く違ったものになりそうだ。


地球世界では、技術発展と武具への影響が相互に関連し合って、文明が進んでいくようなイメージだった。

だが、ここではそう単純ではない。


……概念はあるのに、銃が流行らなかった理由も、案外その辺りにあるのだろうか?

銃の凄い所は、弓よりも訓練が要らず、火力を確保できる点だとききかじったことがある。

だとすると、この世界で銃を苦労して量産しても……少なくとも、防御職のスキルを抜いて貫通は無理そうだ。

更に、魔物相手となると、大型の魔物相手に鉛玉がどこまで通用するのか。


とはいえ、地球世界でもクマのような大型生物を銃で殺したりは、しているわけだし……。むーん。


「ヨーヨー殿」

「ん?」


考え事を中断され、呼ばれた方を向くと、ミヅカとリッカが立っていた。

文官を守って、共に護衛してきた戦士たちだ。


「ミヅカにリッカか。どうした?」

「我らが、貴殿を国境まで護衛することになった」

「何……? 無用だが」

「一応、形だけな。実際のところ、あっちの国境街まで偵察に出る」

「……なるほど」

「折角なら、一緒にどうかとな」

「ああ、問題ない」


リッカの索敵能力は、ありがたいしな。

国境の街までは、5日ほどで到着すると聞いている。

そこまでは一緒することにする。


「ヨーヨー殿、案内人が見えました!」


門の上にいた戦士から、声が掛かる。


「おう、今行く!」


門の外に出て、案内人を迎える。


近付いて来ると、その大きさが明らかになってくる。

2メートルは優に超える、巨人だ。

案内人というから、こんな武闘派な外観とは予想していなかった。


「おやおや、お迎えかい? ご苦労なこった」


予想外に高い声は、どうやら巨人の後ろにいた人影からだ。


「……俺はヨーヨーだ。案内人というは……」

「あたしだよ。こっちのデカいのは、奴隷」

「……」

「挨拶しな、ほら」

「……ジカチカという。荷物があれば、持つ」

「でかいな。巨人族か?」

「……」

「答えな、ジカ」

「……エート族だ。色々あって、お嬢の護衛をしている」

「そうか」


お嬢と呼ばれた案内人は、普通サイズ、どちらかというとやや小柄の女性である。人間族みたいだ。


「2人でこっちまで来たのか?」

「この辺は、だいたい来慣れてるからねぇ。まあ、安心しな」

「そうか。で、俺達は出来れば今日出立したいが」

「やれやれ。ゆっくり休息もできないね。だが、問題ないよ。一応、お殿様に挨拶だけさせておくれ」

「お殿様?」

「ブラグ家のお偉いさんがいるんだろ?」

「ああ、ジソさん」

「ここで待っててもいいし、待ち合わせしてもいいよ」

「やることもないしな。ここで待とう」


お嬢と、荷物を担いだ巨人が村の中に入っていく。

俺達はもう一度小屋に戻り、ルートについて話し合った。


小一時間もして、案内人たちが戻った。


「もういいのか?」

「いいさ。あっちも忙しそうだし、手土産だけ置いて帰ってきた」


ジソさんも大変そうだな。


「で、あんたの名前は?」

「そういえば、まだだったね。あーしはアーコルソー。アーコンとか読んどくれ」

「アーコン……まず確認させて欲しいが、ルートは決まってるのか?」

「ああ、鉄板のルートさ。ミザ・シトリまではね。そこから砂漠を抜けるまでは、色々ある」

「それは道中、聞かせてくれ。まずはその……なんとかトリまでだな」

「ミザ・シトリ。サラーフィーじゃ、まともに商売できる数少ない街なんだ、覚えといて損はないよ」


サラーフィーというのが、これから向かう国の名前だ。

サラーフィー王国。キュレス王国、ズレシオン連合王国、そしてテラト王国という南西の国に囲まれた小国である。

各国の緩衝地帯として機能している面が大きく、国力でも軍事力でも周辺諸国に後塵を拝している。


そうすると、王家も気苦労が絶えないだろうなと不憫に思える。

ただ、国内の体制を見ると、「それどころじゃない」というのが実情のようだ。


王家は一応存在するが、絶対的な支配は確立していない。

各地には部族が勢力を持っているような状況で、王家は有力諸侯の1つといった感じだ。

この王家と同盟している都市が点在しており、それが王家の力の源となっている。

王家や、諸都市は周辺国と交易するため、部族主義を廃している。

が、それ以外の地域は部族主義がまかり通っている。という面倒くさい状況らしい。


部族のいざこざに巻き込まれると大変そうだが、それ以外は緩衝地帯として戦争らしい戦争をしていない。

だから、ある意味平和な国なのである。

この国の都にでも行って、次の行き先を決める予定だ。キスティによると、その都こそが戦士家の話にあった「砂の都」なのだそうだ。


砂漠地帯のオアシスに、巨大な都市を築いており、周りが砂漠であることから、正攻法で囲んで攻め落とすことは難易度が高い。

だからこそ周辺地域の中心地となりえたようだが、同時に拡張性がないということになる。

そのせいで成長は頭打ちになり、非常に長い間、似たような政体で細々と続いているのがサラーフィー王国ということだ。


周辺の部族たちが、形式的に王家に頭を下げることにも理由がある。

帝国主義、つまり古代帝国の政策を引き継ごうとするドクトリンである周辺国家では、血族を絶対視する部族主義は弾圧の対象だ。

しかし、サラーフィー王国の配下であるということにすれば、緩衝地帯であるから、どの国も手を出しづらい。そもそも、他国の部族主義者までわざわざ懲罰を加えようとする酔狂な王家もなかなかない。

だから、形式上はサラーフィー王家に頭を下げて、いくらかの献上品を収めることで体制を維持しているのだ。


……というのが、キスティ先生とサーシャ先生による授業の内容である。

キスティは、なんとなく戦士家で言われたことを記憶している程度で、ここまで理路整然とはしていない。

キスティの知識を、サーシャが噛み砕いて整理してくれるので、こう言う事なんだろうと理解できたのだ。


サーシャ、優秀。キスティ、もうちょっと頑張れ。


それはさておき。

案内人のアーコンには、もう1つ確認しておくべきことがある。


「それで、アーコン。お前ら二人は、戦えるのか?」

「あぁ、やれるよ。あーしも、ジカも、ちょっと特殊な戦い方だけどね」

「どんな?」

「あまり手の内を探るような物言いをするんじゃねーわ。でもま、ジカのは知っておいた方がいいな」


ジカと呼ばれる巨人が、アーコンに目配せされて、何か瓶を取り出す。


「ジカは毒を使う」

「毒!?」


驚いた。

見た目から、完全に戦士タイプかと思っていたが。

いや、それだと巨人族=必ず前衛タイプってことになってしまうか。

当然、巨人族の中でも弓や魔法が得意な者もいるだろう。

それにしても、毒を使うとは。


「こいつは、毒に強い体質でね。だから、誤って自分が喰らうような間抜けはしねーのよ。でも、戦闘中に周囲でうろちょろされると、危ないからね」

「……なるほど。実際、どうやって毒を使うんだ? 遠くから投げるとかか?」


俺の疑問を聞いたアーコンが、ぬふふっと噴き出した。


「おもしれー事言うなや、そんな勿体ね~使い方はせんわ。毒を保存するのは瓶で、そこから武器に塗って使うわ」

「武器というのは?」

「槍。弓は流れて誤射が怖いからね」

「なるほど……」


実際に、どういう毒を使うのかも質問してみた。


「いろいろだけどなー、まあ、麻痺毒が多いわな」

「致死毒じゃないのか」

「致死毒なんて、高いし、扱い難しいし、誤って自分や味方が喰らったら事でしょうが」

「そういうもんか」


RPGとかだと、だんだんHPが減っていくのが「毒」だったが。

どちらかというと「麻痺」の効果が付いた武器を振るってるイメージ?

あんまり「毒使い」っぽい戦い方じゃあないなあ。


アーコンの戦い方は、詳細までは教えて貰えなかったが、得物はすぐ分かった。

出発するとすぐ、彼女が構えていたのがクロスボウだったからだ。


今度こそ、本当に出発だ。

後ろを振り返り、何だかんだと長い事関わった村を振り返る。


陽に照らされた、木製の壁が長い影を作っている。

ある意味で、ここが俺のスタート地点になったような気もする。

また今後、キュレス王国に戻ることがあれば、訪れてみよう。

歴史に名の残らぬ、小さな村の住人や戦士達にこそ、幸あれ。


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