第104話 戦光団
外はいつも通りのようにも見えるが、人通りがまばらで、どこか落ち着きがないようにも見える。
よく見ると、商品を並べていた食料品店の親父が慌てて店仕舞いの準備をし、小間使いの者らに忙しなく何かを指示していたりする。
道を行く人々も、何か異変を感じ取ったのか一様に不安げな表情を浮かべている。
前には銀色に輝く鎧を着込んだツツムがおり、さらにその前を、同じく武装した小柄な女性が走っている。
アカーネはギルドに置いてくるべきかなやんだが、何が起こるか分からないし、ギルドが戦闘場所になる可能性も高いので、結局同行させることにした。
今はサーシャの隣、俺のすぐ後ろの位置で警戒させている。
その後ろにテエワラ、そして最後尾で殿を務めるのがピーターだ。
シュエッセンは先に偵察に出ると言って離れている。
一番前の小柄な女性は、テエワラのパーティメンバーの人。シェトと呼ばれていた女性だ。本当に小柄で、150cmもないのではないだろうか。座っていても小柄な印象だったが、こうして立って移動するとはっきりと分かる。
シェトが一番前なのは、彼女が斥候職だからである。なんでも優秀な派生職で、「気配察知」も持っているらしい。派生職ということは『警戒士』ではないのか。
特徴的なのはその得物、武器である。左手に短めの直剣を握っているのだが、その持ち手から伸びた鎖の先に重りが取り付けられており、その重りを右手で持っている。
鎖鎌の、鎌部分を短めの剣に変えたような武器と言えば分かりやすいだろうか。
俺以外はあまり驚いていなかったので、それなりに市民権を得ているらしい。
そんなシェトを戦闘に、前衛としてツツム、俺、後衛としてサーシャとアカーネ、そしてテエワラと並んでいるわけだ。一列にというわけではないが。
最後尾は実力者を置いた方がいいということで、ピーターを配置。シュエッセンが戻ってきたらサーシャあたりの肩に停まって砲台となってもらう予定である。
「あなたたち、魔物狩りギルドの人らでしょう?」
ギルドから出て少し行ったところで、中年女性がツツムに話し掛けてきた。機敏に動くシェトが捕まらず、その後ろから来たおっさんに話し掛けたらしい。
「そうだが、どうかしたか?」
「いえね、ちょっと前から何だか騒がしいし、ギルドのところに色んな人とか、出入りしているって噂になってるからさ。何か知ってるんじゃないかと思ってね」
「一応、機密になるんだけどなぁ」
「それはそうだけど、せめて何か情報を貰えないのかい? どっかの店にでも避難すべきなのか、北の家まで戻るべきかも分からないんだよ」
「おばちゃん、悪いことは言わない。どこかに隠れておきな。大捕り物の最中でね。どこが戦場になるかも分からないんだ」
「そうかい……大人しく引っ込むよ」
おばちゃんは慌てた様子で道端に退くと、周囲に大声で「やっぱりなんかあるみたいだよぉ」と報告している。
いいのかね、あれで。
「住民の避難とかは、なされているわけないか」
ツツムにそう言いつつ、思わず自分にツッコむ。
「そりゃそうだ。こっちが作戦主導したなら抜かりなくやるかもしれないが、今回は逆だしな。そもそもテーバにいる連中に避難の必要があるのか、わかんねぇけどな」
ううむ。ああ見えてあのおばちゃんも、バリバリの戦闘職だったりするのだろうか。
再び小走りで移動を始め、10分と経たずにピーターが泊っている宿に辿り着く。
宿は特に火の手が上がっているなんてこともなく、戦闘に巻き込まれているわけではなさそうである。そのまま、一階ロビーでピーターが戻ってくるのを待つ。
「そういえば、敵ってどう見分けるんだ?」
待っている間に、ツツムに確認する。
戦士団や軍は紋章などで分かるかもしれないが、味方の魔物狩りなのかはどう判断するのだろうか。
「だいたい黒い革鎧を着こんでる連中だと聞いたぞ。後、この面子で言えばそっちの女が分かると聞いたが?」
ツツムはいつもより口数の少ないテエワラを指す。
「……そうだね。知らない団員もいるだろうけど、主要な面子だったら顔を見れば分かる。完全武装していれば兜で分からないかもしれないけど、その場合は鎧兜の形で分かるだろうさ」
「ばれにくいように変装している、なんて可能性はないのか?」
「そうなったら、流石に見逃すかもね。でも、そのためにわざわざ使い慣れた武装を変える可能性は低いんじゃないのかい」
「そんなもんか」
まあ、その場合あちらもむやみに戦闘をするつもりがないということになる。考えてみれば、強制依頼とかいって巻き込まれているだけの現状、その方がありがたいかもしれない。
あくまで目標は手柄を立てることではなく、やり過ごして生き残ることである。できればある程度手柄があると、収入的にも有難いことは間違いないが。
「ヨーヨー。あんた、適当にやり過ごしてやろうと思っているかい?」
「……ん?」
テエワラに思いっきり読まれていた。どう返事すべきかね。
「いや、普通はそうだろうさ。手柄を立てて一儲けするか、無難に立ち回って生き残るか、だいたいどちらかだろうからね。でも、すまない。今回に限っては、それはお勧めできないんだよ」
「どういうことだ?」
「すまないね。あたしのせいだよ」
「……ますます、どういうことだ?」
「あたしがだいぶ疑われているってことは分かっただろう? 多分だけど、そんなあたしと関わったせいで、あんたらも目を付けられてる可能性がある」
なにそれ。
なにそれ。
めっっっちゃ心当たりあるんですけどぉ!
「……」
「そうなるとね、ここであんまり消極的な動きをしていると、最悪あっち側の人間だったと邪推されかねない。あたしも、そしてあんたらも、可能なら1つくらい敵を潰すのが安全じゃあないかね」
「マジ、か」
「そんなつもりはなかったんだけどね。あんたたちにも、本当に巻き込んで悪かったと思っているよ」
「うん、まぁ……」
正直勘弁してくれ。
といっても、悪いといえば『龍剣旅団』であり、まさか彼らが軍事蜂起するとまでは、あの偉い貴族さんですら思っていなかったわけで。こうなることを想定して、絡まないで欲しかったなんていうのは言い掛かりになってしまうだろう。
「まあ、しゃあないか」
しかしそうなると、本気で敵を探す必要があるわけだ。
「テエワラ、彼らが行く先に心当たりとかはあるのか?」
「正直、ないねぇ……あたしは、団員と面識があるってだけで、活動に絡んだことなんてないからね。確実なのは、包囲されてるって言ってた代官邸のところかねぇ?」
「しかし、数が多いところに行くと危険が高そうだな。もっと、少人数で動いているゲリラ部隊みたいなのを1つ捕まえたいが」
「とにかく動き回って情報収集しつつ、シェトの索敵に任せるしかないかねぇ」
テエワラはそう言って、出入り口で外を警戒する素振りを見せている小柄な女性に水を向ける。
「……人相手は苦手なんだけど」
シェトは言葉少なにそう答える。白肌族のようにもともと表情がないというわけではないが、どうやら本人の性格として表情があまり動かないようだ。気配察知があると言っていたが、あれは動く物の存在を察知できるという代物だ。人か魔物かはあまり関係ないとうに思えるが、別のスキルがあるということだろうか。
「待たせたな」
ピーターが降りてきた。手には黒い剣身のロングソードと、シンプルな装飾のある幅の狭い短剣である。
「それが『対人』の装備なのか」
「……その中でも、1対1に特化した装備だな。今回は数的不利に陥る可能性は少ない。その分、格上が相手でも粘れる戦い方ができるものを選んだ」
ピーターって、いったいいくつ剣持ってるのだろう。
「そんなことより、これからの出方を決めようぜ」
ツツムが腰を浮かし、仕切る。
「さっきそっちの女が話してたように、動き回って探し出すのか。どっかに張って、待つのか。っと、ちょっと待てよ」
ツツムがおもむろにドアを開ける。すると、するりと丸い鳥と黒い鳥が舞い込んできて、片方はサーシャの胸にダイブする。
「ふぅー! ちょっと遠くまで行き過ぎちまったぜ。途中でギルドの遣いっぽいのも拾ったぜ」
「キィッ!」
ダイブした方、丸鳥族のシュエッセンが羽根をパタパタさせながらまくし立てる。
ダイブしなかった方、黒い方の鳥は空中にホバリングしつつ、ツツムに脚を向けた。
「おお、ご苦労さん。ふむ、こりゃあ敵の動きについてだな」
黒い鳥はもう一度「キィ」と高い声で鳴いてから、またドアを出て飛び去っていく。
「……なるほど、代官の方は完全に陽動っぽいな。包囲はしたが、中身がスカスカらしい。で、各地で小さな部隊に別れて行動してるのが確認されてる。……おいおい、『龍剣』に加担した他の傭兵団もいるってさ。大変だねぇ」
「それって大丈夫なのかよ?」
「まあまあ、傭兵団っても、大手のとこはいないみたいだしよ。実質『龍剣』の下に付いてた奴等だろうさ」
そこでピーターが顎を撫でながら口を挟んだ。
「部隊を小分けにしているということは、まともに戦っては潰されると判断しているということだな。安直だが、裏通りを張った方が見込みがあるのではないか」
「あるいは、どこかの門の周辺だな。ここは迂回できないからな」
「それは向こうも読んでいそうだがな……」
「奴等なら、地区間を移動する抜け道とか知っていてもおかしくはない。むしろ門から離れた場所を探ったらかち合うんじゃないか?」
意見百出状態となる。ぼうっとそれを眺めていたが、まとまる気配がないので口を出す。
「時間もないし、とりあえず外に出るか。ギルドに割り当てられた範囲で、適当に裏通りでも移動しながら考えれば良いだろう」
「それもそうだな。まずは動こう」
ツツムもそれに同意し、再度手信号などを確認してから外へ索敵に出る。
「待て、待て。俺らもギルド側だよ」
「……そうか? ギルドの説明会では見掛けなかった気がするが」
外に出て、大通りと裏通りを行き来しながら彷徨っていると、茶色い革鎧を着込んだ一団に遭遇した。戦闘態勢に入りながら一応降伏勧告をしてみたら、慌てたように弁解してきたという状況だ。
「俺らは依頼を受けたわけじゃねぇっ! だが、話は聞いたぜ。『龍剣』の馬鹿がやらかしたんだろぅ? なら、ここでギルド側に加勢すれば色々あやかれるってもんさ」
「なるほど、勝手に参加しているわけだな……」
ツツムが呆れたように言う。
「見た所、そこのおっさんはギルドの職員だろ!? 俺らを見掛けたこたねぇか? 『戦光団』っていうパーティだぜ」
「すまんが、俺はターストリラからの応援でな。タラレスキンドのパーティは分からん」
「なんだよ……」
「職員さん、一応、あたしが知ってる限り『龍剣』の面子じゃないよ。あんたたち、ギルドカードはないのかい?」
テエワラの口添えでギルドカードが提示され、一応敵ではないと判断された。
「お前ら、ややこしいときにうろちょろしてると敵と間違われるぞ。せめて、ギルドで正式に参加表明するなりして何か考えてこい」
「一度行ったんだけどよ、必要ないって突っ返されてな」
「なら諦めろよ……」
「へへっ、こんな美味しいときにじっとしてられっかってよ?」
紛らわしい一団を置いてより壁の方向へと再び動き出す。
と。
「ご主人様、先ほどの集団が距離を少し空けて付いてきていますね」
「みたいだな」
いつぞやの戦士団の後ろを付けていた俺達のように、こそこそと距離を空けて付いてきている。
「厄介な奴等だな。敵にしたら変な動きだし、こっちのおこぼれに預かりたいのだと思うが。どうする、ツツム?」
「仕方あるまい、放っておこう。最悪、挟撃の危険はあるが……」
「仕方ない、か。やれやれ」
後ろの連中は放って置いて、さらに索敵の範囲を広げる。
建物の向こうまで「気配察知」できるらしいシェムに、物理的に空中からの偵察が可能なシュエッセン。索敵能力はなかなかのものがあり、ギルドに割り当てられた地区は一通り見回ったことになる。
そうこうしているうちに、いつの間にやら後ろに付いてくる連中は人数が増えているようである。
「どうする? 壁の向こうは別の奴等の担当ってことになっているし。多少なら、はみ出てもそう問題はないと思うがな」
「あまり動いても、か。思ったんだが」
1つ、思い立ったことを提案してみる。
無暗に動き回るよりも、後ろの連中を利用して、ここらへんに薄く広い警戒網を敷くというものだ。
「……やってみるか」
ギルド職員のツツムを通して、後ろの連中と話を通す。
誰かが怪しい一団を見付けたら、ツツムのところに報せを入れて、情報を共有する。というだけの単純な作戦である。
「へへへ、報酬に期待してますぜ」
いつの間にか追随組のまとめ役のようなことをしていた『戦光団』の奴等はにやけ顔をしてそれを受けた。報酬はギルドが頭を悩ませればいいことなので、丸投げだ。
「さて、引っかかるかな?」
「なんか変なローブの奴等がいた! 作戦に誘ったら、にべもなく断って奥へ行こうとしてる。すぐに誰か来てくれ!」
どこかのパーティの1人が駆け込んできて、叫ぶ。
「場所は!」
「1本奥の、肉屋のところだ! 早く来てくれ!」
「近いじゃないか、急ぐよ!」
テエワラが叫ぶようにして、駆け出す。
陣形が崩れてしまうが、お構いなしに走っていく。慌てて俺達も彼女を追う。
「死にたくないやつは退け」
「おいおい、何すんだよ?」
奥の通りに向かうと、『戦光団』の1人が、ローブの集団と対峙している。周囲には蹲っている傭兵の姿が3つ。すでに少しやり合った後なのか、残りの連中は遠巻きにそれを見ているだけだ。
「あんた、ミルファだね!?」
真っ先に飛び出すテエワラ。ローブ集団の戦闘にいた人物は驚いたようにそちらを向くと、ゆっくり腰を落とした。
「何の話だい?」
「その声は聞き覚えがあるよ。すっとぼけんのはやめな!」
「……姐さんか。こんなところで会いたかなかったな」
ローブを脱ぐと、黒い革鎧で、同じく黒い兜を被った人物が現れた。
「あんたらっ、何してるか分かってんのかい!」
テエワラは、相当頭に血が上っているようである。憤懣やるかたないという様子で叫ぶ。
「姐さん、これが俺達の選択だ。部外者のあんたに口出しされる筋合いはねぇ」
「あたしのことはいいっ! でもね、分かってんのかい? 分かってんだろう! あんたらが下手なことをしたら、孤児院の子供たちはどうなる? 反逆者の仲間って後ろ指さされて、下手したら一味として扱わるかも知れないっ!」
「……」
「それに、分かってんだろう!? あんたらは、悔しいけど、あんたらがあの子たちの希望なんだよ!? あんたたちが……あんたたちは……」
「姐さん。俺も外から団に入った身だ。あんたの言うことも分かるつもりだ。でもな、結局。結局あんたは、こいつらの“仲間”じゃあなかったのさ」
「何をっ」
「団長、行ってくれ。姐さんの相手は俺がやる。おう、どこかで見た顔ばっかだな。この前誘った有望株に、『白肌』のに、『暴れ鳥』までいるじゃねぇか。くくく、相手に取って不足はねぇよ」
「……ミルファ、任せました」
ローブの集団の一人がそうミルファに声を掛け、先に進もうとする。
「待ちなっ! あんた、団長だね? あんたのことは気に食わなかった。気に食わなかったけどさ、冷静で、馬鹿なことはしないって信頼してた! あたしはずっと、あんたを評価してた! それなのに……それなのに、この体たらくはなんだい? 答えな!」
声を荒げながら、テエワラの瞳から流れるものが光る。溢れるものが留められない、そんな胸に迫るものを感じる。
「テエワラさん、ありがとう。道は違っても、うちのチビどもを助けてくれて、支えてくれて。煩いことは言われ続けて来たけど、貴女のことはずっと好ましく思っていましたよ」
「そんなことは……そんなことはどうでもいいんだよぉ!」
「ええ。なんでこんな馬鹿なことをするんだい? と、貴女ならそう訊くと思っていましたよ」
「あんた、分かってるのかい? こんな馬鹿げたお祭り騒ぎの後に、何が残るってんだい! あんた、こんなことが上手くいくと本気で思ってるのかい!?」
「さてね。団の主張が認められて、晴れて存続することを成功とするなら、成功する確率は1割もないだろう、ということは理解していますよ」
「なんっ!? なら、なんで!」
「テエワラさん。ミルファさんが言った通り、あなたは好ましい人でした。でも、仲間ではなかった。そういうことなのでしょう」
一瞬こちらに向き直りローブを捲った団長は、真っ赤な髪をした、意思の強そうな、しかしどこにでも居そうな青年だった。
「姐さん。王都の奴等が出した手打ちの条件はね、どれも“前提条件”があった。一言で言えば、そうですね、“今捕まってる仲間は諦めろ”ですね。それくらいで手打ちできるのだから、喜んで飛びつくと思っていたみたいですよ。笑えますね」
反乱分子と、それを討伐しようと集まったはずの傭兵たち。その間を、奇妙な静寂が支配した。
「俺たちは“仲間”だ……! そうやって生きてきた。そうやってこのクソったれな地を生き抜いてきた。仲間が理不尽な理由で殺されていく、それを指をくわえて黙って見過ごすような集団なら、それはとっくに『龍剣旅団』ではない! どれだけ細い道でも、仲間のために命を懸ける。それが『旅団』、俺達の“仲間”なんだ!」
再びローブを被った団長と、それに追随する何人かが動き出す。
「もう会うこともないでしょうが姐さん。今まで本当にありがとう。邪魔をするのなら、貴女も敵だ」
「……そういうことだ。姐さんたち、相手は俺が務めるぜ。異論はねぇだろう? 周りにいるコバンザメどももどうだ? あの団長たちのパーティは、死ぬほど強ぇぜ。それより、せいぜい三番隊隊長の俺を囲んだ方が可能性はあると思うがなァ?」
「……」
その通りと思ったのか、走り去る団長たちを追撃するパーティはいない。
俺達はミルファたちから完全にロックオンされていて、追撃どころではない。正直、できる状態でも俺は動かなかっただろうけどね。
「ミルファの相手は俺がやる。他は任せたぞ」
ピーターがずいと前に出る。
遠くから見守っている連中は、こちらに加勢する様子はない。あちらに付く様子もないが、完全に遠巻きにしている。なんのために出て来たんだ?
「おいおい、お前らなんだそのへっぴり腰は? 姐さん、使える奴はせいぜい10ってところのようだな? こっちも同じようなもんだ。さあ、殺り合おうぜ?」
ミルファは、兜を被っていて見えないが、獰猛に笑ったように思う。
その後ろのローブ集団も各々ローブを脱ぎ去り、黒い革鎧の集団と化す。
手にした武器を見ると、剣が半分くらいで、弓っぽいものを構えたのが2、いや3? 槍使いもいる。杖っぽいものを持った奴はいないから、魔法使いはいないのか。
「時間を掛ければ応援が来る! 無理はするな!」
ツツムが緊迫した声を上げる。
「くくく、良いねぇ。俺らが暴れば暴れるほど、敵を引き付けられるわけだ。精々暴れ回ってやろう」
ミルファはノリノリである。
こちらはピーターが正面に回ってきて、左にシェムとツツム。右に俺がいるという前衛。ちなみにすぐ近くに『戦光団』の1人っぽい剣士もいる。
ピーターのすぐ後ろあたりにテエワラがいて、後ろの方にサーシャとアカーネが固まっている。
サーシャの肩にいたシュエッセンが飛び立ち、氷塊がミルファに発射されたのが合図となって、両者が動き出す。
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