2. PDCAサイクル
1
最初にPがいた。しかし本当はそうでなく、PはAに書き換えられていた。
Aがいた。しかしAはと言えばCに書き換えられていた。他方でCはDに、DはPによって書き換えられていた。
PDCAたちの相互書き換え合戦は熾烈をきわめていたものの、戦いのそもそもの契機はなんだったのか、今では全く知られていない。
2
『表徴の帝国』においてロラン・バルトは「東京の中心は空洞」と言い、田中角栄は「権力の中枢は空洞」と言った。
同様に、第二次世界大戦中、軍部の要請により構想に着手され、マウリッツ・エッシャー『描く手』に着想を得たと言われる〈PDCAサイクル〉と呼ばれる無限の円環の中心もまた、空洞なのである。
3
発展を続けるグローバル経済の潮流の中、ディスラプティブなイノベーターであり続けるために、PDCAは速度を増し続け、やがて光速を超えてゆく。
超光速のPDCAサイクル。直径プランク長のPDCAは無限の張力を持つために、強大な遠心力により無限に伸び広がり、ついには宇宙全体を覆い尽くすのだった。
4
PDCAサイクルを形成するP・D・C・Aの各々に固有の物語が形成されているように、丸広百貨店川越店屋上遊園地に位置する「わんぱくホイール」と呼ばれるPDCAめいた無限の円環が有する8つの籠の各々にもまた固有の何かがある、とボルヘス的な思考を巡らせてみると、何かがあるような気がしてはこないだろうか?
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