ドッペルゲンガー殺し その他の超短編

ラモーナ・アンドラ・ザビエル

1. 鳥居

西暦10億173万年。

進行する温暖化の影響により海水は蒸発し、干上がった海から前世代文明人である第六文明人の遺跡が出土した。

発見されたのは、鳥居と呼ばれる高さ約8.5メートルの硬質塩化ビニールで構成された巨大な門。

そのことから、第六文明人の身長は、現行人類の約5倍程度であったと言われている。

「第六文明人は」と第六文明の専門家である考古学者の齋藤学氏は語っている。「われわれ現行人類よりも巨大で運動神経に優れ、さらに攻撃的な性格であったことが知られています。この門はある種の関所であり、部族ごとの縄張りを示すために建てられました。鳥居のある場所。つまるところそれは、第六文明人たちにとってのを意味していたのです。さらに言えば、それは同時に、でもありました。それがどういうことかは、自分で鳥居をくぐってみればわかることですよ」

鳥居と呼ばれる巨大な門。齋藤学氏の言うとおり、これは、第六文明の主要エネルギーであった〈呪術〉と呼ばれるエネルギーで駆動するロボットでもあり、緊急時には変形・合体することがわかっている。

門であると同時に兵器でもあるとは、第六文明人はどこまでも攻撃的であり、そして合理的な人種だったのだ。

ところで、話は逸れるがここだけの話、私はサイボーグである。

かつて斎藤氏の話を聞いてウキウキと好奇心を働かせた私は、こっそりうかつに鳥居をくぐってしまい、変形した鳥居たちの襲来を受けたのだ。

間一髪、奇跡的に左半身と小脳の一部を失うだけで済んだものの、危ないところだったのは間違いない。

だから、覚えておいてほしい。

たとえそれが前世代のものであったとしても、侮ってかかればこうして痛い目に合うこともあるのである。

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