@yukihodori

DAY1

蚊がいる。

暗闇の中、ぷぅ~~んと耳障りな音を立てながら私の周りを回っている。

バシッ!

音だけを頼りに手を叩く。

訪れる静寂。

―――やったか?



ぷぅ~~~ん



再び聞こえる蚊の存在証明。

うっとうしい。

仕事を終わらせ、食事をすませ、シャワーを浴び、自室で電気も付けずにベットの上でノートパソコンを開き過ごす。これが私の一番幸せな時間なのに。


バシッ

バシッ

バシッ


…ぷぅ~~~~ん


「はあ…」

私はため息をつき、体を起こし電気のスイッチを入れた。

部屋の中央に立ち蚊を探す。

―――いた。

直ぐ近くのテーブルの上に蚊は止まっていた。


バシッ

一撃で蚊を屠る。

電気さえつけてしまえば蚊など容易い。

私は再び電気を消し、ネットサーフィンを楽しんだ。大好きな動画を流しながら。

―ああ、幸せだなあ。

私は満たされて眠りについた。


朝起きると腕と足が一か所ずつ蚊に刺されていた。どうやら網戸が少し空いていたらしい。


「…」


ポリポリポリ…

かゆい。


なにか釈然としない。

私は網戸をしめ食事をし、着替えて出社した。



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