第6話 魔王
魔法による転移が終わり見えたのは黒く堅牢そうな城門
「ここはどこですか?」
そう訪ねるとサムライがここは魔王城だと言った。
え?どういう事だ?魔王討伐の勇者モノって少ない金貰って旅を続けて中ボス倒したりしながら強い装備集めて恋愛イベントがあったり別れがあってそれでも冒険続けて魔王城に乗り込むんじゃないのか?
「何をしておる!さっさとこい!」
考えているとドワーフに怒られた。
エントランスと思われる場所まで進んでいた彼らに追い付いたが魔物の姿が見えない。
それどころか城に入っているのに戦闘も起こらない。
血や斬撃の後だろうか所々に戦闘の形跡はあるのだが...
「あの...これは一体?あ、僕佐々木って言います。」
......
...
あれ?なんで誰も答えないんだ?
「あの―――「うるさい!黙って欲しい!喋るな!!」
エルフの少女に怒鳴られた。
「すいませ...」
そこまで言うとギロリと睨まれたエルフってこわい...
「まぁまぁ、落ち着いてくださいフローレアさん。あ!私はユーアって言います。」
よろしくお願いしますね佐々木さんと庇ってくれた
流石僧侶、神に仕える者だ。
ユーアが紹介してくれる
「リーダーの魔法剣士がオーリンさん。魔法使いのアルカさん。弓兵でレンジャーのフローレアさん。中央大陸の秘術ケンジュツを使うサムライのナツユキさん。彼は異世界人ですよ?次にドワーフのモルガナイト・エス・グランズ・エフパールド・テス...モルさん。北方神聖法王国の僧侶でヒーラーのユーア、私ですね!
皆さん魔王を倒すので気が立っている様なのでごめんなさい。」
上目使いで謝られた可愛い。
「いえいえ僕の方も配慮が足りなかったですし」
等とユーアさんと会話を続けていると黒い大きな扉の前でパーティーは止まった。
「この中に魔王がいる。ついに...ついに成し遂げるんだ!」
オーリンが言うと皆が頷く
僕は城で貰った剣の柄を強く握った。
そしてオーリンが言う「行くぞ!」と
その言葉と同時に扉を開けて中に入る。
いた!
あれが魔王か!!
「は?」
言葉が自然と漏れた。
そこに居たのは美しい。されど頭に黒い黒曜石の様な角の生えた女性。
いやいやいやいや!おかしいだろ!
魔王と思われる女性は十字架に張り付けにされ傷だらけであった。
「ようやく来たか勇者よ...これでやっと終わる」
彼女はそう言って微笑んだ───
十字架に張り付けにされている女性はおそらく人間ではない。
白い髪に黒い黒曜石の角、されど片方は半ばから折れているし服もボロボロ。
少し発光している矢が手に刺さり十字架から動けないようだった。
「これ...この人が魔王ですか?」
誰に聞くでもなく言葉が出た。
「はい。こいつが武器を司る魔王。ミカゲ・ケイです」
ユーアが冷たく一切の感情を込めずそう言った───
魔王が言う。
どうせ“死ぬ„んだし勇者と二人で話をさせてくれ。と
最初は渋っていたがアルカとユーアが一緒ならば、とオーリンが許可をだし彼らは部屋を出ていく。
部屋に残されたのは僕とユーアとアルカ...そして魔王の四人。
「いやー初めまして!私の名前は御影ケイ。魔王だよ!」
そう嬉しそうに喋るミカゲさん
「佐々木康介です...一応勇者です。」と、どうしていいのか。この状況の読めない僕は簡単な挨拶をする。
自ら魔王だと名乗っているし実際に人間では無いモノ
人間より遥かに上位の存在であるとビシビシ伝わってくる。
「まず魔王について教えるね」
そう言ってミカゲさんは語り始めた───
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