自分勝手に生きて

「こんな俺を雇ってくれた恩があるから……。」


 目の下に隈を作った友人が、頬を引きつったような笑顔でそう答えた。


 他人に優し過ぎるが故に、自分に厳しい人はたくさんいる。


 口癖のように「迷惑が掛かるから」と呟いて、差し出された手をそっと突き放すのだ。


 もういい、ここまでよく頑張った。


 ここからはもっと自分の為に人生を使ってみてはどうか。


 親にもっと頼れ。


 友人には迷惑を掛けろ。


 その分倍にして返せばいいだけの話だ。


 周りを巻き込んで幸せになれるように、私は自分勝手に生きる。

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